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第92話 心想の操神獣



 地獄の犬。餓狼の殲滅。心臓を握りつぶされそうな威圧感。黒煙に舞い上がるオーラのような紫電が昇る。時間が過ぎ去る感覚が極限に遅い、圧力が違う。絶望の淵に沈んでしまうほどの虚無感に追いつめられる。天涯孤独の身にされたような破壊をぶつけられた。


 咄嗟に心の波動を限界まで極限まで上昇させて心の心音を波動にして響かせた。


 犬の魔獣に対して多少は効果があったようだ。闇の世界から生まれた魔獣なのだろうか、暗黒の闘気だけが体から染み出ている。


 想い。心の形。見るだけでわかる。あの人は心に魔獣を飼ってしまったんだ。


 そこに邪悪な霊なのか悪魔なのか謎の存在に憑りつかれて体がおかしくなって、人生が変わってしまった。


 私がどうにかしないと思った。


 世界が変わったがあれを止められる者はここには自分しかいない。


 魔獣が絶望的に強力な破壊を行った。闇の波動を放ったようにコンクリートの壁が滅ぼされていく。不可能的に世界を壊していく暗黒の破壊の波動。


 私は心魔の具現を試みた。


 心の魔獣に喰われてしまうなら、心の魔の力を神化させて神獣を作り出すことができるはず。


 私の心に眠っている心の神獣を生み出す。


 限界まで操作の力を使い、心の対話を試みる。


 自分の中に眠る魔を滅する力。


 それを起こす。


 ただそれだけのことだった。


 自分の中には明確な想像イメージが出来上がっていく。


 そして希望を見出して、世界にも語りかける。


 全ての想いを載せて、自身の心獣スピリアを生み出した。



 生まれた心獣スピリアはデカい猫のような虎のような豹のような猫だった。


『ご主人に呼ばれて登場だぜ…………で? このいぬっころを殺してしまっても構わんのだな?』


「あなたは!?」


『俺の名前は黒紅丸だ……黒みがかった赤い毛が特徴だからだ…………あんたの心空の想いが俺を生み出したんだぜ』


 私は黒紅丸にあの人は人間だから殺さないでと言った。


 黒紅丸はなんとかしようじゃねえかと猫なのにカッコよく言っていた。


 


 少しだけ攻撃しても元に戻せないかと考えていた。


 そうだ私の心理操作で心を元に戻してしまえば何とかならないかと考えた。


 でもそれでも魔獣に姿を変えた原因がわからない。


 たぶん倒すことは容易だ。


 私の力でも倒せる。


 音を操作して特定の周波数を出すことで相手を眠らせることができるし、空間を操作すれば敵を動けないままで足止めすることも出きる。


 悩みどころだ。でもまあとりあえずやってみるか。




 やろうとしたところで邪魔が入った。結果的には良かったが。


「おりゃあ!!」


「キャンッ!??」


 なんだかいきなり仮面をつけた人が現れて魔獣の犬を殴ってしまった。


 吹っ飛んだ犬はそのまま人間の姿に戻った。


 仮面に見覚えがある。



 あれは確か今巷で話題のヒーロー。


 稲荷仮面だ!!


 まさかそんな大物のヒーローに出会えるなんて!


 しかも私が見つけた魔獣を退治してしまうなんて!


 お礼を言わないと。



「あの!!」


「君は?」


「あっえっと怪盗……怪盗マインドハートです!! ありがとうございました!!」


 しまったなぜかいきなり咄嗟に考えた怪盗の名前怪盗マインドハートと名乗ってしまった。


「怪盗マインドハート……? ってことはつまり悪い奴なんだなお前は……」


「えっちがいま……」


「問答無用……」


 そういって稲荷仮面が攻撃を仕掛けてきました。


「マインドハート!!」


 黒紅丸が名前を呼ばないです。なかなか出来る猫ですこの猫は。私が生み出した心獣スピリアですけど。


 稲荷仮面の炎の蜂が無数に飛んできて私の服を溶かそうとします。


 うわあっ~なんでですかいやらしいです。稲荷仮面さんいくらなんでも女の子にやっていいことと悪いことの区別くらいとか言ってる場合じゃないです。


 マインドハートが対抗手段として心音の音を弄って稲荷仮面を眠らせる音を出してみた。


「うん……? なんだいきなり眠くなって……」


(効いている。。。)


 よしさらに眠らせる方向で……


 しかし稲荷仮面が自身の顔を自分の拳で殴った。


「よっしゃ……眠気が吹っ飛んだぞ……お前なんかしただろかなり高等な芸当だな俺を眠らせようとするなんて」


 まさかの痛みで眠気を吹っ飛ばすなんてーーーー!?


 何ですかこの人はむちゃくちゃです。


 どうしたらあわあわあわあわ……


「マインドハートに手を出すな!!」


「おっとそういえば従魔がいたんだな……これはやっかいだな、ならばこっちも……マイカ!!」


「呼ばれて飛び出てぬるっとスライム!!」


「スライム!?」


「そうよ私こそが稲荷仮面の最高の相棒のスライムで恋人でもある最強のスライムよ!」


「恋人は余計だな」


「なんで~よ!! 稲荷仮面!! 帰ったら朝までハードポンプバキュームよ!! 耐久ぬるぬるぬるぬるよ!」


「ふざけんなあれはお前だけが気持ちいいだけで俺は気持ち悪いんだぞ!!」


「お肌がすべすべになるのに?」


「俺はすべすべを望んでいるわけじゃない!!」


 マインドハートはこのやり取りの間に時間を操作しつつ、肉体操作に感覚操作に空間操作で瞬間移動しつつ超スピードで逃げ出していた。


 流石に色々と操作していたので何とか逃げ出せた。


 ついでに記憶操作もしておいたが私の怪盗の部分認識を消すだけで記憶までは消せなかった。


 この稲荷仮面って人何者なのいったい……


 操神心空はこの時知らなかった、稲荷仮面のとんでもない凄さはまだまだこんなもんじゃないことを。


 一方稲荷仮面こと増宮拓郎はというと……




 あの時のええとマインドハートとかいうたぶん女だよな雰囲気でだが……なんで俺はあいつに勝負挑んだんだっけ……何故か思い出せないな……顔は夜だから暗くて見えなかったが……たぶん強そうだったんだろうな……でも何かが引っかかる…………まてよ? もしかして精神操作系の能力者なのかな……ヒーローだと思うけど。


 やるなあの野郎……いや女だと思うから野郎じゃないか……いいな俺の仲間に出来たら助かるぞ色々と。


 今度会ったら、無理やり俺の家に連れてきてやるか。



 少女略取の宣言をしていた。普通に犯罪なんですけど……


 心空の運命はいかに?

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