第87話 激突
雪兎はミリアとシロンを月名に任せて、自身は飛んだ。
ある人物を探していた。
消滅を時間に、凍える結晶を綺麗に破壊して波動する。
千里眼で隈なく世界を見通す。
雪兎は修羅になっている。
超聴覚でさらに聞き逃さない。
そしてついに見つけた。
謎のヒーロー稲荷仮面を。
「見つけたぞ……稲荷仮面、俺と戦え!」
「いきなりなんだ君」
稲荷仮面はいきなりの挑戦者に驚きもせず、冷静に対処した。
雪兎は心中伝えるべきか悩んでいた。
謎の強敵が現れたことを意味もなく伝えるべきかどうか。
そんなことも重要だが、この男だ。
意を決して雪兎は超念波動この男にぶつけた。
躱されたと思ったら背後にいた。
稲荷仮面はは掌底をぶつけて黙らせようとしていた。
雪兎はそれを念動バリアで防ごうとする。だが突破される。拳が貫通した。雪兎はすぐさま冷気を放つ。放たれた冷波動は稲荷仮面を凍らせようとする。稲荷仮面は高速で移動する。
そのまま雷神の力で拳を構える、振り出すように放つ。雪兎は念動力でそらそうとする。雷の力と念動力がぶつかる。重なり合う力が激突する。
稲荷仮面は息を吐く。雪兎は念動力で稲荷仮面を捕まえようとする。
気怠そうに稲荷仮面はひょいっと雪兎の頭を掴む。雪兎は離れようとする。
「もうやめとけ」
稲荷仮面は呆れたような警告を出す。
しかしそれでも雪兎は止めない。
暗黒の波動と超念波動を重ねてさらに冷気を折り混ぜて、放った。
稲荷仮面は瞬間的にスキル【竜掌】を放つ。
互角。五月雨に決まる二度も、三度目に雪兎が氷乱撃を撃つ。稲荷仮面が火蜂を生み出した。またもや互角。そのつどそのやり取りが3回ほど繰り返される。
膠着状態が続く。将棋の千日手みたいなやり取りになるが稲荷仮面が超スピードで拳を雪兎の腹に打ち込んだところで勝負が若干だが決まる。
超人的な体力もあるのか雪兎は気を失わない。
「くそっ…………だが負けないぞ……………………」
しかし目を瞑って動かなくなる。
眠ってしまった。
「さあてこいつをどうするかな…………なんだよこいつ、結局何が目的だったんだ……」
稲荷仮面である拓郎は心中悩むこの少年をどこに放置すればいいのかと。
なぜ喧嘩を吹っかけてきたのかわからんが、それでも放置していいのか問題だ。
今は魔刀を犯人にした黒幕がどこにいるのかその手掛かりを探していた最中だった。
だからこうして手間暇探しているのだが……
…………
西の方角!!
雷の槍が飛来する。
音が木霊する。
未曽有の災厄が来訪しているのか知れない。
雷の螺子首輪に頭に雷の輪っかが止まっている。
「油断した」
飛来する雷の魔術師。
天使のようにも見える。
そんな魔術師が槍を手に持ち空中から高速で拓郎に迫る。
天雷の破砕。
雷を槍のような形状にして天から降らす。そのような雷の雨を降らして交錯する波動を天から飛来させる。雷の魔悪人ゼルスは不敵に笑う。この世界は我々の物だ。醜悪な普通人共に平和を貪らせるだけの世界だけではない。このような完全世界は我々のような魔神人が支配するのだ。
アリスは魔神人を魔悪人と呼んだ。
彼らは自分たちを人間とは別種の人類と考えている。
神の力を使えるから魔神人と名乗っている。だが人からすると魔悪人だ。そのような悪魔のような神のような人。神テルと邪神ロムが子をなして出来た魔神人の世界の最初の神人がミルと呼ばれた。
その後人類と混ざり合い。テアギムたちは生まれついての魔術、魔法を扱えた。言葉を変えると異能を使えた。そんなテアギムたちを変貌させる。
魔術の力に溺れていった。その後彼ら彼女らは別の世界に魔術を使用して移動して支配を繰り返していった。ほかの世界からの彼ら彼女らは魔悪人と呼ばれていた。
悪魔的に敵を殲滅する姿から魔悪人と呼ばれていた。
彼らは魔神人と名乗っていたが。
拓郎は謎の魔術師に苦戦を強いられていた。お荷物が一人いるのだ。
ここで華麗に気絶している白髪の少年が。
ええと名前は白夜雪兎か……こいつを起こさないとな。
拓郎は気合を込めて腹に気を送り込んだ。すると雪兎が起きた。
「ぶはっ!? 何をした稲荷仮面!!」
「気合を入れただけだ」
「絶対違うだろ色々と体が熱いぞ」
「そんなことより協定だ」
「協定?」
「あいつを倒すまで俺たちは仲間だ。そうしたらまたいくらでもお前の挑戦を受けてやる」
雪兎は稲荷仮面と争うつもりはない。むしろ仲間になるなら大歓迎だ。ただ自分が挑戦者という立場じゃないとこいつは手を組んでくれないと雪兎は思っていた。
雪兎は善処すると答えた。そして協力関係になった二人は。
拓郎は遠慮はいらないという感じでオメガフレアを放った。ゼルスは雷の槍を奮う。バツ印に斬るように動かす。そして雷の波動砲を放ってきた。拓郎は魔法障壁を展開する。雪兎はそのすきに超念動でゼルスの腕を折るように圧をかける。
ゼルスは魔術を自在に扱える。雷の力で自由自在に天候を変えることもできる。
だが超能力だけは予想外だった。
ものを自在に動かす魔術はあるが人に直接干渉する魔術はかなりの高等魔術だ。そんな魔術を超える念力でゼルスの腕は折れた。オメガフレアをもろに喰らう。
だが回復魔法をかけるゼルス。だがそれでも火傷は治せない。ダメージは回復するが。拓郎は剣を出す。そのまま直接斬りかかる。ゼルスはそれを手を鉄のように固くして受け止める。拓郎は剣を崩壊させて近距離でオールゼロを放つ。
ゼルスはそれを瞬間移動の魔術で回避した。
雪兎は五つの奥の手があった。
零氷の妖精魔帝と精冷氷王と神霊の絶醒念化と空想神具と無限神滅空間だ。
六つ目の最終奥義と七つ目の完全形態と八つめの神の領域の状態になる力の解放はまだ未完成だ。最終奥義も完成率50パーセントで完全形態なんて10パーセントの力が出せるかどうかだ。
神の領域の力の解放に至ってはあの時に一瞬成れたのきっかけでいまだにあの状態になれない。
神の力というが僕は神様にあったのはエスカマリ様だけだ。
ならば今はこれしかない。
精冷氷王になりつつ、空想神具で神の道具……アーティファクトを出すしかない。
精冷氷王……氷の力をこの時200パーセント使える。
アーティファクト展開。【ノアルフルゼータ】。
左手につける小盾だ。
こんなものが神具だと?
拓郎がすぐさまそれを見た瞬間血相を変えた。
「それを俺に貸せ!!!」
雪兎からそれをひったくった。
左手につけて拓郎はゼルスに突貫していった。
「無駄だ! 雷神砲!!!」
拓郎は左手につけた盾を前に向けるだけだった。
するとどうだ盾に雷神砲が吸い込まれるようになって力が消失した。
そして拓郎は渾身の力でゼルスをぶん殴った。
ゼルスがはるか後方に吹っ飛んだ。
そして気絶した。
「よしっ片づけたぞ」
「つまりこの盾は……」
どうやら全ての魔術的攻撃を無効化する盾のようだ。
ゼルスはしばらく起きないだろう。
今のうちにみんなと合流しよう。
拓郎は雪兎を連れて転移した。