第62話 夏休みその一
わーい夏休みだー俺は夏休みが大好きだぜ
今日から夏休みということになっている。
ダンジョン攻略もなかなか順調だ。
現在自宅ダンジョンは237階層まで来ている。
マリンもかなり成長している。
相変わらず水魔法しか得意な魔法はないが。
アルマも禁断の魔導書らしく自己流の禁術を開発している。
230階層のボスルミナールという魔女をアルマが開発した破壊の焔雷破導鳳で一撃でぶちのめした。
235階層でも中ボスが現れたが灼熱の滅双槍でアルマが倒した。
俺もその禁術を教えてもらっているが魔力使用量がかなり多い。
だがそれでも俺の出鱈目なステータスだと何の問題もない。
とまあ戦いづくめでそろそろ休憩も欲しいと言うことで、今日から夏休みということにした。
みんなでどっかに行ったりして、美味しい物を食べたり、色々とイベントを楽しもうと思う。
それでどこに行くか決めている。
ちょっと離れているが広島に行こうと思う。
広島に2泊3日の旅行に行こうと思う。
海水浴とか秋の宮島とかに行きたいから。
既に計画は立てていたから旅館の予約とかはとっている。
蒼威ちゃんにリスティにクロンにトラネに俺の従魔と契約武器達を連れていこうと思う。
後はそう……想美を誘おうと思う。
理由はあまり聞かないでくれ。
俺があいつを楽しませたいと思っただけだ。
想美の居場所は当日探知のスキルを使い探そうと思う。
もはや無理やり連れていこうと言う感じだ。
さて当日のお楽しみだ。
広島旅行当日。
みんなで駅に集合して電車が来るのを待つ。
想美はその辺を歩いていたので捕まえて連れてきた。
もちろん想美は最初から俺の誘いを断った。
だが俺が条件を飲むことで了承した。
その条件と言うと……それはまたのお楽しみと言うことで。
電車に揺られながら、みんなでこれからの話をする。
「旅行なんてほんとに久々ですね!」
「トラネは旅行なんて初めてにゃ」
「私も」
「ふふっ、私はヨルデアの赤い海に行ったことがあるぞ。あれは最高だったぞ。素潜りして魚やタコを取りまくった。魔族の住む地の魚介類はここ地球の魚に比べて負けず劣らず美味しいぞ」
「なんだとそれは聞き捨てならないなリスティ」
俺はリスティに異世界の魚介類について聞いた。
どうやらこの世界にはいない魚もいるらしい。
クジラみたいにデカいブリのような味のホーライリグガとかいう魚もいるとか。
脂の乗りが半端ないとか。
俺は思わず唾が出そうになる。
だが地球の魚も負けないはず。
でもリスティの居た異世界に行ってみたいと言う欲望も出てきてしまった。
異世界の魚か~それに異世界の魔物の肉も美味いと言う。
ダンジョンに出てくるモンスターも美味いが野生の魔物の肉はさらにワイルドで野性味溢れる味だそうだ。
ドラゴンの肉が絶品らしい。
ドラゴンは多種多様の種類がいて、強い奴ほど肉も美味くなると言う。
ドラゴンの肉のステーキはどんな黒毛和牛より絶品だと言う。
なおリスティは黒毛和牛を食ったことが無いらしい。
今回の広島旅行で旅館で広島産の和牛が初日に晩御飯で出るらしいが。
リスティはあまり感動しないだろうな。
とまあマリンもマイカも眼を輝かしている。
「ご主人! なんだこれ!? 海が物凄く綺麗だな」
「なかなかの景色ね。広島はとても海が綺麗なのかしら。とても楽しみなのね」
しかしアルマはなんだが興味なさげだ。
一人で本を読んでいる。
文学らしく難しいSF小説を読んでいるようだ。
「アルマはどうだ? 旅は初めてだろ? 楽しいか?」
「楽しい……でもまあ本を読むことと新たな術の開発が私の使命だし。でも旅の激動な一日が私の研究を加速させるのなら……楽しみね」
アルマがなんだがマッドサイエンティストみたいなことになっている。
最近自室に籠って魔術の研究をしている。
魔道具の作製も行っているし、なんだがアルマが自由だ自由すぎる。
もはや魔術なのか科学なのかわからないものが出来上がっている。
好きな時に紅茶を飲める謎の魔法瓶を作ってしまった。
正確には紅茶以外にも緑茶、麦茶、ほうじ茶、ジャスミンティー、ルイボスティー、コーヒー、オニオンスープ、コーンスープ、カボチャスープ、コーラ、牛乳、豆乳などなど……の数えきれない飲料水を飲むことが出来る魔法瓶だ。
仕組みはもちろん魔術を使用している。
水は水の魔石を使用して魔力を通すと水が出るからそれに茶葉を加えればいいのだが……茶葉は魔術で生成すると言う。
コーラも錬金術で生成しているという。
飲みたいときに中身が麦茶にと念じて魔法瓶のふたを押すと変わると言う。
これまた便利なものを作ったと言う感じだ。
既に全員分有るのでみんなもってる。
アグニスは食べ物のことを考えているようだ。
昼ご飯はどこで食べるかまだ決めてない。
まあ回転寿司とかでいいだろ。
広島の回転寿司は確か結構美味いはずだと思う。
とまあ電車に揺られながら旅路を過ぎていった―――
広島駅に着いた。
そして時刻は12時半ぐらい。
とりあえず回転寿司屋を探して入った。
なかなか美味かった。
やはり海が近いからか品ぞろえが豊富だった。
それでみんなで出て少しだけ広島を観光した。
海に行くのは明日だ。
今日は観光名所を少しだけ回る。
秋の宮島に行くことにする。
ここもなかなか綺麗だった。
そして4時くらいに旅館を訪れてチェックインを済ませて、少しだけゆっくりする。
大部屋を取ったので、広い。
晩御飯も豪華で美味しかった。
夜はまくら投げ大会が勃発しててんやわんやだった。
それでもみんな夜は大人しく寝ていた。
俺は夜中の4時くらいに目が覚めた。
ふと見ると想美がいない。
もしかしたらと海岸まで出てみるといた。
一人黄昏て海辺に座っている。
三角座りでちょこんとしている。
俺は想美に話しかけた。