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第59話 アリスの変容

やっちまった

 アリスたちがオークの隠れ里に戻った時、オーク達が倒れていた。

 アリスは驚愕していた。

 ロウガは冷静に状況を分析していた。

 オルクは統領を探していた。


 すると少し遠くの方でオルクは統領を見つけた。


「へっへっへ……オークキングの牙は高く売れるし、肉はかなりの美味だからな……なんだお前たちは」


「統領を離すだ!!」

 どうやら統領はまだ死んでないようだ。


「まだオークが残っていたか……じゃあ死んでもらうぞ」


「駄目よ!! このこたちは悪いオークじゃないのよ!!」


「なんだ小娘、悪いオークじゃないだと? なんだ悪くなければモンスターは狩ったらいかんのか?」


「そうよ」


「じゃあそんなモンスターの味方をするお前を俺は殺す。それでいいな?」


「アリス様に手は出させないぞ……」


 ロウガがアリスの前に出る。

 相手の男性は舌で唇を舐める。

 そして驚くほど冷静な声色でこう答えた。


「モンスターごときで俺を止められるかな……」


 男が走る。棘道を吹き飛ばす勢いで疾走する男が、剣を構えながらロウガを狙う。


 串刺しにしようとロウガの右肩を狙う。

 ロウガは男の背後に移動する。

 男もそれに気付き、背後を振り返る。

 ロウガは爪を鋭利な状態に変化させる。

 そのまま男の首を狙う。

 だが男も首を逸らして体を捻らして、物凄い体勢で剣を振り抜く。


 ロウガの肩に剣がかすれる。

 ロウガは一歩引く。

 そこを狙われた。

 剣が伸びた。

 ロウガの腹に棘のように伸びた剣は突き刺さる。


「グフッ!?」


「痛いか……苦しまずに死ねよ」


「ロウガ!?」


 アリスは魔導銃を抜いた。

 アリスは男の頭を狙う。

 だが引き金を引く前に男がアリスに照準をつける。


 アリスは引き金を引いた。

 男の足をかすめた。

 だがアリスの前に既に男がいた。

 そして剣で切り裂かれた。

 アリスは咄嗟に暴壁を作り防いだ。

 だがそれでも驚愕した。

 魔法も使わずに一般の探索者が自分よりも速く動いていた。

 この男かなり戦いなれているとアリスは感じた。


「ちっ……次は外さねえぞ」


「お願いだからもうやめてお願いします」


「アリス様らしくない……いつものあなたなら問答無用でこの男に容赦ないでしょう」


「ほう……そんなにもう人を殺しているのか貴様は」


「!!」


「アリス様どうしたんですか!!」


 アリスは素の本来の少女特有のものが出てきていた。

 人を殺したのは半分不可抗力みたいなものだった。

 実際最初は殺すつもりはなった。

 ただ襲われたので仕方なく殺した。

 そうやれとロウガに言われたからというのものある。

 そこまで自分は狂ってない。

 人殺しなんかなりたくない。

 魔女王? なにそれ……人間と敵対するなんてそんなこと……


 ロウガは相手が悪い奴なら容赦するなと教えてくるけど……悪い奴なら殺してもいいのかな?


 わからない。

 でも、私はいつも不安だなと思う。

 この人も相手が悪いモンスターだと思い込んでいるから殺したのだ。

 いや、まだ統領は死んでなかった。

 でも、でも、私はこの人を殺すなんて出来ない。

 でも殺さないと殺される。


 どうすれば……


 どこからともかく声がするアリスだけに聞こえる声がする。


【いいじゃないか……この世は弱肉強食だ。だからこの状況を打破するためには……この男を殺すしかないんだ……アリス、殺るんだ、殺れアリス!!!】


(この声は邪神ゼノラード! またあんたなの……あんたの指図は受けないからね)


【無駄だ……我の指図は受けずとも我の加護は与えたのだ……我の力をさらに与えてやろう】


(嫌よ、絶対…………何これ暗黒の力がだけどまだこの前のよりも強い!!)


 アリスに邪神の力が注がれる。

 アリスの眼の色は黒く濁る。ピカリと光った。

 アリスは邪神の加護を受けた。

 アリスの思想も邪気に染まる。


 そうね。こんな人でなしは殺すに限るわね。

 ふふふふふふふっ……


「アリス様が邪気に染まっている……これはなんといううことだ!!」


 ロウガはアリスの変容をまじまじと見ていた。

 ロウガも人など最悪で醜悪なものと思えるようになる。

 そういう最低な人間には慈悲など与えないと考えていた。

 そうだ糞みたいな人間には同情などせず、屈辱を、敗北を与えてやればいい。


「なんだ黙って……俺も流石に幼気な少女を殺す道理はないからお前だけは生かしてやるよ……さっきは殺すとか言って悪かっ……た!?」


「油断したわね」


 バキュン!! 男は魔導銃で腹を撃ちぬかれた。

 ほぼ即死だ。

 男はなんで……と呟いている。


「自業自得よ……私に剣を向けたことを後悔しなさい」


 ドン! ドン! ドン! 魔導銃から三発さらに発射される。

 男は死んだ。


 アリスはやりきった顔をしている。

 だが直ぐに我に返るが。

 既にもう眼の色は赤黄色く濁っていた。


 この男は殺してもいい奴だった。

 だから殺した。

 でも殺さなかったら私だけでなくロウガやオルクまで殺されていた。

 だから仕方なかった? いや、そうじゃない。

 私の前で障害となる人間や魔物は殺しても問題ない。

 そうに違いない。


 アリスの思考能力は既に黒く染まっていた。

 だがまだ理性は残っていた。


 悪には悪を。

 正義など無い。

 そこにあるのは力だ。

 力が強い者だけが勝つそんな世界。

 この男は運が無かっただけだ。


「さあオルクついて来なさい」


「アリス様……」


「統領は直しておいたわ」


 アリスはなんとか生き残った統領と数名のオークを治療した。

 そしてオルクを連れて、オークの隠れ里を出た。

 アリス達の旅はまだ続く~からまた続くから、、泣きたいよこの気分何でだろ?


 お兄さん。

追記 デスエンドは望まない。2022/08/07 日曜日

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