第257話 フィギュアの王国はオタク人族に支援されているようです
「オタク人族?」
1体のフィギュア、アンリから聞かされた。
我がフィギュア生きるフィギュアは元は精霊から生まれたと。
フィギュア精霊族という分類になるが、最初はオタク人族に作られた存在だという。
どちらももとは魔物だ。
フィギュア精霊族は精霊と言う立ち位置かもしれないが、オタク人族は違う。
最初は類人猿のような感じだったがダンジョンの中に町を作り出したのが約20年前だ。
ダンジョンは異世界に存在するがオタク人族は最初化け猿族という名前だった。
オタク人族は同じくオタクの青年によってつけられた。
オタク人族はある日、人形を作ろうとした。
猿だった彼ら彼女らは自分たちの理想の人形を作ることに精神をかけた。
すると魂が籠り精霊がフィギュアに憑りついた。
そしてフィギュア精霊族となった。
そこからオタク人族フィギュアの町とオタクの町を作り上げた。
そして二つの種族は交流を深めていると。
「よくできた話だな、でもその二つの種族にちょっかいをかけている種族がいると?」
『はいノゾムさん。いえノゾム。あなたなら話そう。あいつらは人じゃない化け物だ!! 私たちを殺すことしか考えてない」
どうやら屍獣という魔物がフィギュア精霊族とオタク人族を殺そうとしているらしい。
◇
「ミルミル殿!! 逃げるでござる!!」
「いやよ平太郎! 私はあなたを捨てたくないあなたのパートナーだもの!」
ミルミルと呼ばれるフィギュア精霊族の女性と平太郎と呼ばれるオタク人族の男性が屍獣に狙われていた。
ミルミルは精霊魔法を放つ。敵に光弾を放つ。
平太郎はオタク術を使いガスバーナー術を使い敵を焼き殺そうとする。
だが効かない。
平太郎はこれでも一塊の紳士だ。戦士でもある。オタク人族の戦士でもある。
剣を持ち敵を屠ろうとする。だが屍獣は強い。
ミルミルが平太郎に防御精霊魔法を使用する。
ミルミルは総ての魔法を操れるわけではないが、フィギュア精霊族の中ではかなり強いほうだと自負している。
だがここで仲間が増援が来た。
「大丈夫か?」
「総長殿!! 来てくれたでござるか」
「あたぼうよ、俺が来たら勝てるあんなやつ」
「私も来たわよ!!!」
「レミィ!! あんたも来たのね」
「ミルミル訓練サボってない? 精霊魔力落ちてない?」
「ぐっ痛いところをつくわねあんたは」
レミィと呼ばれるフィギュア精霊族の少女と総長と呼ばれるこの男。
名をグレフェンボルクと言う。
最強のオタク人族の長をしている。
戦士系で大剣を使う。
だがタフネスが完璧でどんな敵も粉砕する。
相方のレミィもフィギュア精霊族の中で抜きんでている。
だが、ここに到着したカリミヤノゾムとナナナとナナカが。
「私まで来る必要あったの?」
「もちのろん。ナナカの力あってこその私のためでもある、寂しい妹がいないと」
「私のほうがお姉ちゃんでしょ? 違うどっちが姉か忘れちゃったかも」
「私こそがビックシスターだ!! どん!」
ナナナはナナカとじゃれているすきにカリミヤは霊波動を放ちガザを追い払った。
そしてグレフェンボルク総長から話を聞くことにした。
◇
「ここがフィギュア精霊族とオタク人族の交流の大都会の街。フィグメント・アキハバラ・ニッポンバシのオタロード、という長い名前なんですね」
「フィグメントとお呼びください。アキハバラとニッポンバシは関東と関西の二大拠点だから名前がついたんですよ」
フィグメントはダンジョンの中にある街にしては巨大ではないが、そこそこの要塞都市のように感じるが、自然も多く、大量の草花とか木が生えている。
それだけにオタク人族とフィギュア精霊族の交流の深さが目に取れる。
店はオタク人族とフィギュア精霊族のパートナー同士の店が多い。
二人とも手に取りお互いを高めあう。
最有のパートナーを見つけているように感じる。
オタクとフィギュアというある意味最高の組み合わせを見ているようだ。
僕だって羨ましい。
自分もフィギュアを集めているがこんなに生き生きとしたフィギュアは始めてだ。
僕はフィギュアを買いたたく悪徳商人を許さない。けど自分のお気に入りの店だとそれは否定する。
100円でも買い取ってくれるあの店、古本市場は贔屓している。
自宅から歩いて10分もかからないその古本市場は最良の僕のお気に入りだ。
「何せフィギュアがいつでも手に入るからね僕のお気に入りも安く売っている」
「声に出てるのんかりみん」
「かりみやさんキモイ……今どきフィギュアぐらいで熱を出している子供みたい……」
ナナカちゃんがきもそうな目で僕を蔑むように見てくる。
ああナナカちゃんは中学生? 高校生にしては? ぞくぞくする。
くぁわいいな。
「ゾクリと来たわ……」
「心の中はお見通しなのんかりみん」
「そういえばいつでも見れるんだっけ」
「かりみんが見て欲しくないなら見ないのん」
「それよりどうですかうちらの街?」
とあるフィギュア精霊族の少女が飛んできて声をかけてくる。
「アスナじゃない!? どうしたの遠征から帰ってきた?」
「そうだよ遠征疲れたな。腹減ったから酒場でお肉食べたい」
「旦那は? どうしたん?」
「もともとうちの旦那のアルはニートでしょ働いてるけど」
「じゃあネオニートじゃないか」
僕がつっこむ。それで何で稼いでいるんだ?
「ゲームのデバッカー? 普通に働いてるじゃん」
「でも家でひたすらゲームするだけだからニートと一緒だよ、私がごはん作ってるし」
「幸せ者だなこのこの~~~☆」
「幸せなのん?」
「ちょっとまんねりかんある」
でもアスナは旦那のことを悪く言わないで酒場で飲んで帰ると消えていった。
オタク人族の女性にも出会った。
「あなたがカリミヤノゾム様ですか??」
「僕のことを知っている??」
「あなたの小説のファンです!! 結婚してください!!」
「無理です。モンスターと結婚って……」
「私は亜人です。まだ人に近い容姿をしているでしょ? 醜いのは知ってますでもノゾム様の小説が好みなんです……うっぅ」
泣き出したオタク人族の亜人の少女は独り身のようだ。
親はフィギュア精霊族の父を持ち、オタク人族の母を持つとか。
二つの種族は特殊な方法で子を成すという。
大いなる大樹【ナロールアニメマンガラノベテツ宝樹】という大樹にお互いのパートナー同士でキスをするだけで子を成してくれる。
お互いがお互いを愛するなら相手は複数持ってもいいが、浮気という概念はこの世界に無いらしい。
キスは挨拶というぐらいにお互いするそうしてフィギュア精霊族の体はオタク人族が作るが、オタク人族はこの大樹から生まれる。
大樹が今危機に陥っていることを肌で感じた。
屍獣にこの街が狙われているという現実が俺たちに残された課題だ。
カリミヤはどうしたもんかと考えていた。