ナナナとナナカの父親と母親の日々2
お母さんが幽霊さんになった日から生活はそこまで激変しなかった。
この世を去るときに母は体をコールドスリープしていたから肉体は無事にあった。
だから魂だけの存在になってもレイユウ家の母親レイユウキリンによって魂を肉体に留めてくれた。
よってリンは死んだことにすらなっていた。
だからただ単に低体温になるという加護がつけられた。
だから普通よりも低体温なのだ。
よって子育てもできる良かった。
幽霊になっても子供は産める。
だから安心して太陽さん。
倫はその時初めて涙した。
まだこの世でやり直せると誰も死んでない。
太陽さんもそのことには納得してくれた。
双子の娘ナナナとナナカも納得してくれた。
ナナナはアホでバナナのことしか考えられないけど根は良い子。
ナナカはお稽古が好きで歌や踊りやバレエや絵の練習が得意な女の子。
「お姉ちゃんはアホだからそこでシリトリしてて」
「言うな~~お姉ちゃんだもんしりとりしようよナナカ」
「アホ」
「ホタテ」
「手」
「手羽先チキン」
「はいお姉ちゃんの負け~」
「負けちゃったな~お姉ちゃん弱いから~」
あれっ……でもあそこにホタテと手羽先チキンが置いてあるよ。
「うんそうだね」
「でも買ってきた覚えないのに……」
「うんそだね」
お料理できないけどいいじゃないとナナカは考えていた。
でも料理か……料理ができる魔法でも出来たら……
「おっと娘たちよ……邪魔したな」
「お父さん!!」
「パパ……」
「帰ってきたぞ」
マイダディが帰ってきたよ。仕事を切り上げて早めに帰ってきた。
お母さんはというと寝ている。
無理もない幽霊になったので持久力とか落ちるから。隣で寝ているだけだ、家事ができない。
でもパパが帰ってきた。
これでご飯が食べれる。
そしてパパはそこにあった手羽先チキンとホタテで簡単な料理と家にあるサバ缶を開けてでも野菜を買ってきていたキャベツだ。
キャベツを千切りにしてザクザクと切って、サバ缶と組み合わせて、ごはんができる。
煮てしまえば問題ない。
うちの父親は料理が得意だった。
まだかな~~~まだかな~~~~
「スイカ!!!!!」
空中から一玉のスイカが出現した。
それが転がっている。父親がびっくりしてスプ―んを落とした。
「ナナナ……まさかお前まさか……生み出したのか?」
「そうだよスイカ食べたいと念じたらスイカさんが来たんだよ」
「呼びよせた? 生み出した? どっちなんだ?」
「妄想の世界のスイカさんが来たのかも……」
七星太陽が驚いたのはそこじゃない。自分も昔生み出したことがある。今は忘れてしまったような気がする。
だって昔自分も太陽を生み出して、セカイを救ったことがあることを忘れていた。
自分たちの子孫が生み出せることができる。食料を。
自分は熱すらも生み出して世界は昔寒冷化していた、そして凍えるような世界で私はタイヨウを生み出して、自分の世界を救ったようなことがあったような……
「妄想のスイカ……? 食べられるのか? ナナナ?」
「そりゃあ食べられるよパパ……現実のスイカさんだから」
「はっはっはっはっは。現実のスイカさんか! そうだな。食べるかスイカでも」
こういうのは俺の仕事だとしてスイカを大きい包丁で切る。
そしてあっという間にスイカができた八等分だ。
半分は虹咲家におすそ分けしよう。近所に住んでいるから。
後で分ければ問題ないだろ。
「ぴんぽーん」
「誰か来たな。なんだ従兄弟のさっちゃんだ」
「おーすナナナちゃん元気?」
「おじさん☆」
「はっはっは可愛いな」
虹咲咲良通称さっちゃん。七星太陽さんの従兄弟で大親友だ。
子供もいる。
子供も一緒だ。
「ナナナにナナカいるな……おまえらのこと心配だから」
「美咲兄来てたんだ☆彡 上がって上がって」
「私美咲兄苦手なんだよね」
「よーゆうわ俺がいないとお前ら生活できないだろ」
美咲兄はなんだこれといった感じでトランプを持ってきた。
「ババ抜きしようぜ! 今度こそ俺が勝つ」
「勝ようちが」
「私のババが見えたなら勝てるわよ、歌いながら勝利してやるわ」
◇
虹咲美咲現在27歳。職業はバイオリンの調律者。でかつバンドマンをしている。
とあるバンドのグループサウンドをしている。
最強の兄ちゃんでありたいからナナナとナナカを護ると決めたから。
あいつら何してんだろうな?
後ろをふいに見るとナナナが走っていた。
「おいナナナ……」
速すぎる。どうしたんだあいつ? しんどそうにしてたけど……
美咲はとても繊細な若者に成長した。
だからナナナとナナカが心配だ。
あいつらマジで何してんだ?
美咲は親父に連絡を取る。
咲良に連絡をすると。
「ああナナナとナナカは今現在モンスターと戦っている」
「!??! …………そんな馬鹿な確かに家の家系は確かにだけど……ダンジョン化した世界では自衛隊が頑張ってるってテレビで……」
美咲に激痛が走る。
記憶の先読みの先にある自身の欠点が浮き彫りになった。
「もっとかまってやればよかったのに……あいつらのこと何も…わかってなか…た……」
美咲は大人になって自分のことに集中していた。バイオリンの調律者になることが夢だった。ついにその夢を現実にしたの。
バンドマンとして活動もしている。
世界が普通に見えたのに……なんで。
【空心警報発令中!! 速やかに逃げてください!!】
謎のアラート。だがこれの後には何かが来る!!!
ズドンっ!! 巨大な鬼がその場に現れた。
●
「美咲兄守って見せるのねん」
「そうよ美咲兄だけは護るわよ」
「そうだナナナとナナカ頑張らないと死ぬぞ」
「タケにいも心配しすぎよ、この程度の敵眠ってても倒せるわよ~ふわあああ」
七星ナナミも到着していた。
竹谷竹ルも到着していた。
もう一人待っているが・・・なかなかに来ない。
来た拓郎だ。稲荷仮面の格好だいつも通りだ。
「タケル。今回はガチのようだ」
「ああそうだなあの巨大な鬼は妖魔のようだ」
妖魔。大丈夫だ。みんなで挑めば勝てるはず。
行くぞ!! みんな一斉にかかれ!!