ナナナとナナカの母親と父親の日々
幼稚園のころ。私は親に内緒で田舎に帰っていた。
幼稚園に行くのが怖かったから、最初はなんでそんなに怖いのか両親に尋ねられた。
「だって幼稚園だと勝手にお弁当でバナナ持ってくと怒られるのん……だからバナナもってけないのん」
「そんなのその幼稚園がおかしいわよ。そんな幼稚園こっちから願い下げだ」
「まてレイユウ……違ったおまえなそういうことは子供の前で言ったらダメなんだ」
「あなたこそタイヨウさん。あなたは子供に甘やかしすぎなのよ」
「レイユウ……旧姓で呼び過ぎた。まあいいリンおまえのことは好きだ。だから今度三人で旅行に行こう」
リンはタイヨウのことが好きで好きでたまらなかった。
リンはリンで最強の言葉が使える。
「私はあなたのことが好きよ。だから子供に厳しくできる。違う?」
リンは言霊を発することで現実を修正する能力を持つ家系なのだ。
レイユウ家は不思議にいつも不幸に見舞われたが、いつも元気だった。
だから、あの時もあの時もいつもレイユウリンは謎ときが好きだった。
「パンはパンでも食べられないパンは?」
「腐ったぱんなの~」
「いいえ違うわフライパンよ」
「二人とも違うわよ正解はげき糞不味いパンよ」
「そうなのん?」
「聞いたことないわ」
「二人とも鈍いわね不味いパンよ品質の低いパンのことよ」
「優雅!」
「音楽聞くね」
「あらあら二人ともなんでそうなるの?」
ここで太陽さんが喋る。
「おまえの教育方針に俺は口出ししないけど厳し過ぎたらだめだぞ」
「わかってるわよ。質の悪いパンが嫌いなのよ」
「でも本当はパン好きだろ?」
「嫌いよあなたが好きだから」
「ママ喧嘩やめてなのん」
「お母さま喧嘩はやめて」
二人の子供が母親のために奮闘する。子育ては大変なのかもしれない。
「タイヨウさんはどうして? 私のために頑張れますの? なんて冗談ですわ」
太陽さんは何も言わない。でも毎日汗水たらして苦労しているのはタイヨウさんだ。
実はタイヨウさんはこの時パン会社に勤めていた。
それでパンの会社でパンを作っているのだが、いつも二番手なのだ。
それであの会社には敵わなくて悩んでいた。
(ヤマザキパンに勝つにはどうしたら……どうすれば勝てるんだろう?)
太陽さんはフジパンの平社員だったのだ。
フジパンの作るパンは凄く美味しいのだ。
とても甘くておいしいパンを作る会社。
それでいてとても辛いパンも作れる。
一流の二番手の会社だ。
なんでいつも勝てないんだ。。。
フジパンのことを知らない七七七と七歌は不思議と思っていた。
フジパンはいつも凄いパンを作るのに良いパンなのに。
といかんいかん。
会社に行く時間だ。
太陽さんは会社に行った。
朝食はそのへんで済ますようだ。
朝のソバ屋にでも行くようだ。
レイユウリンは体がとても弱かった。
でもそれは二人の娘を育てていたからで、彼女は悪くない。
「お母さん眠いわ~ナナナ、ナナカ二人で楽しんで人生を生きて頂戴」
「ママ……」
「お母さま…」
「「死んじゃいや!!!!!」」
その時ナナナは初めてバナナを出せるようになった。
ナナカは歌を歌えるようになった希望の歌を歌えるようになった。
母親は天寿を全うしてこの世からいなくなった。
でも母親はすぐに二人のもとに戻ってきた。
幽霊となって。
「お母さん二人の守護霊になるから」
「グッジョブ母」
「流石ですお母さま」
というわけで七星家の守護霊となったレイユウリンだったのだった。
めでたしめでたし。