続第241話 マリンと怪傑サンダーは大海の覇者を倒すようです
東樹!! 助けてくれーーー!!
「河井中尉ーーー!? なんで海で溺れているんですかーーー!?」
「私は泳げないんだぞ~死にそうだブクブク」
緊迫した船上の上で村正東樹は意を決して海に飛び込む。
冥王化を使用して自身の修羅を何倍にも膨れ上げさせる。
「河井中尉ーーー!! 目を開けてくださいーーー!!」
河井中尉は女性の海上自衛官だ。実は東樹が信奉している自身の先輩でもある。
年齢は俺より少し上としか知らない程度の中だがここで死なれたら目覚めが悪い。
人工呼吸の仕方は習ってる。さらに心臓マッサージにAEDを持ってきて……AEDが全部使えないだと!!?
今にも河井中尉は死にそうだ。どうする??
「東樹さん!! どうしたんですか??」
「ルミル来てたんだな!!」
そうであるルミルが来ていた。
ならば安心だルミルは神官の職業で回復魔法が使えるからなんとかなるだろ。
「そのことなんですが……何故か回復魔法が数日前から使えなくて……」
「どういうことだ!? ルミルお前の力が必要なんだ!! 頼むよ!!」
「そう言われましても……」
うつむくルミルの目は何かで汚れたように虚ろだった。
どうも何かあったような気がしてならない。
でもルミルは自分の翼の羽をむしり取った。
「これを私の羽は奇跡の羽と呼ばれていて。痛いですけど自分の羽を死者もしくは衰弱したものの胸に貼り付けたらどんな死すらも覆すという効果があるんです実は」
!?? 俺は驚愕した。 ルミルの底知れない実力に。そしてその綺麗な瞳から虚ろの表情すらも消えていく。
河井中尉を助けるにはもうこの方法しかないのか?
俺は迷っていた。色々と……
そこでレウナが到着していた。
「レウナお前も来てたの?」
「海に落ちたことによる海面性ショックを受けている、人工呼吸を再開」
レウナは河井中尉をもう一度人工呼吸を開始した。
なんか絵ずらが卑猥なんですけど~!? と俺は一瞬だけ思うがすぐに自分を自制して、まじめに考えた。
そういえば脳内酸素の濃度が上がれば助かるよな人間は。
酸素濃度が不足しているので風を送り込めば……でもどうやって?
俺の中で脳内の何かのリミッターがはじけ飛んだ。
もう15分も目を覚まさない河井中尉は。
どうすんだよ!! フザケンナヨ!!!!!
なんでだよーーーーーーーー!!!!!
世界は俺に何をさせたいんだよ!!!!!!!!!!!
【コード49497TN3Iを実行。これより休命王ノ軍を開始します。よろしいですね?】
はい。
いいえ。
どっちでもいい。
【あなたの結果がすべてを覆すのです。それでもこの行動を選択するんですね??】
ああ良い。それですべてが丸く収まるなら。
紅蓮の硝煙と暁の波動が全てを木霊した。百雷の稲妻は大海の精霊と巨人の悪鬼を殲滅した。
東樹は世界をぶち壊すために、月に飛んだ。
月にいる神様に会うために。月の世界に飛んだ。
文字通り世界を飛び越えた。
そして……
●
「なにものだ! 名を名乗れ」
「俺は村正東樹一等兵。日本東京自衛隊陸軍所属だ!!!!!!!!!!」
「なぜに私に会いに来た?」
「河井中尉が目を覚まさねえから神様を倒せば!! 俺が世界を変えれると思って……」
東樹の目には悔し涙があふれ出ていた。このくらいのことで何かが治るとは思えない。
月の女神なら何かしてくれると思ったのに……
「なくな、東樹お主の行いは立派だ。泣くな東樹……お前のために私は力を貸そう」
月の女神アルテミスは東樹が来るのをずっと待っていた。いまこそ力を貸そうと思いアルテミスは東樹に加護を与えた。
そして河井中尉は目を覚ました。といってもレウナが献身的救命行為をしたことによることのほうが大きいが。
だがわからないことだらけだ東樹は護衛艦の上で目を覚ました。
「東樹さん起きてください東樹さん!!」
「ルミルか……どうしたんだいったい? 俺は一体?」
「ずっと寝てましたよ東樹さん船の上で護衛艦の上の仮眠室でずっと!」
そうなんだ。でもなんだろうずっっと疲れていたんだよな。あれ? 疲れが無い。吹っ飛んでる。なんで?
「東樹君起きたの、ありがとう私を助けようとしてくれて」
河井中尉も目を覚ましていた。
良かった。本当に良かった。
(ふふふっふ、本当に良かったのう。私のおかげだなんて考えなよ。私は月の女神だからないつでも夜は見守っているからな)
アルテミス様!? あれ声が聞こえない。
そういえばもうすっかり夜だ。
夜9時くらいだ。もうそろそろ9時なる。
そしてそのまま護衛艦は神奈川の横須賀基地に戻ってきた。
そうして横須賀基地で別れた。
普通に家に帰宅した。そこにはルミルとレウナが待っていた。