第233話 朱家紫福は俯かない/トラネはワイルドに生きるにゃ!
魔視美夜のピンチに駆けつけることになった、朱家紫福は憂いていた。
(なんでこの私が増宮のしりぬぐいを…あの豚野郎。いつのまにか異能者として覚醒しやがって)
だがシブキはそこまで面倒だとは思わなかった。なぜならこの猫島の妖魔は弱い。
狐の微獣などおそるるに足らん。だが不穏な気配を感じる。
シブキは妖魔退治屋として昔からお兄様のもとで修業をしていた。
家に戒律は厳しいが意外にもルーズな部分もあるが、例えば買い食いは必ずしなさいとか。武器は常に携帯しなさいとか常識はずれな部分もある。
式神も常に携帯しとかないとだめだと言われている。
私の式神は血の妖魔【流血喰らい】と呼ばれる噛付きの妖魔でいわくつきだがかなり役に立つ。
私は血をコントロールすべを持っている。
血流操作と言えばいいのかな? 自身の血流を操作して運動能力を高めるのだ。
気を操ることも会得しているのでかなり使える身体能力強化の妖術は。
妖魔退治士だが妖魔の力を借りて妖術を行使するのが我ら朱家の血筋だ。
退魔士なるものもいるが、それは魔を祓うことができる特別な職業だ。
魔を祓うことができないから刀や拳など武器で妖魔を殺すしかない。
それが間違いだとしても、私は自分の道を曲げない。
そしてシブキは血の水球を踏み台にして空を駆けた。
血の水球はシブキに吸収される。壮大なる世界を渡らないか少年よ。
●●
トラネが大人しくなった。だが完全に四足歩行の猫というより虎みたいになっているトラネだけに?
とまあ冗談はさておき。クロンとシロンも心配だから探すがなかなか見つからない。
探知系のスキルを併用しているがなかなか見つからない。
だがやっと霧の中にクロンとシロンがいた。
「クロン!! シロン!! 大丈夫か?」
「なんか変ですよ~拓郎!?」
「だめにゃぁだめにゃぁ!! やられちゃうにゃぁ!!!」
シロンがかなり慌てて錯乱している。
どういうことだ? 俺は周りの場の空気を読んだがわからない。
ええいマリンはまだか!? アグニスもスランも召喚呼び出しができない。
現在この場にはトラネと俺とクロンとシロンしかいない。
「トラネお前の力が必要だ!!」
「わかっているにゃあ!! だから私を信用するにゃあ☆」
トラネの虎の姿で佇む最高にワイルドになっていくトラネ。トラネの眼光が光っている。
「おいおい二人はなんかに操られているように感じるから?? あれっ力が抜けるような気がする」
トラネはこの時本能的恐怖を感じたがすぐに死を回避する魔法を考えた。
「そこにゃあ!! 雷電爪声想刃」
トラネの雄たけびの爪のような雷電の波動が何かに襲い掛かる。
そして敵の正体が露見する。
「しまった、ばれちまったか。くそっ撤退だ」
「魔て逃がさんぞ!!」
俺は回り込むトラネはクロンとシロンを背中に乗せて距離を取ってもらっている。
「何者なんだ貴様は?」
「聞きたいか? 増宮拓郎」
俺の名前を知っているのか、まあいいそれは関係ない敵の正体を【鑑定】!!
……見えないだと!? 鑑定妨害のスキルを持っているのか?? ならば霊視!!
薄暗い灰色のような霊はいない。
それより何か嫌な予感がする。
そして黒いフードの男? はこう言い放った。
「我らこそはこの世界を混沌に落としいれる幻暴の悪魔様アルドネス様を信仰する魔術結社【ボルクインメーサー】と名乗れば良いかな?
聞いたことないな~? アルドネス様 悪魔崇拝の幻暴の魔術結社ねえ。
俺は魔術結社に狙われる運命なのか?
ならば正面から叩き潰す。
拓郎は目の前の敵を粉砕しようとしたが、住んでのところで転移で逃げられた。
あの野郎。俺に名乗るだけに現れたのか?
まあいいクロンとシロンとトラネを連れてもう帰るか。
マリンとイルミナには連絡を入れとくか……イルミナが敵と戦っている感じがする。
俺は摩天楼の新月で戦っているイルミナの姿を見つけた。
マリンも気になるが今はイルミナだ。
俺はクロンとシロンを堕落王の空間に放り込んで、行こうとしたが。
「トラネも行くにゃ!! 行かせ手にゃあ! 拓郎!!」
「行くか! 頼むぞ相棒トラネ!!」
「ばっちり任せておけ! 拓郎!!」
俺とトラネは摩天楼の月の上で戦っているイルミナを追いかけた。
トラネは翼を出して、空を跳んだ。
飛翔ってやつか? まあいいか土壇場に能力が目覚めるのは普通だ。
俺は飛んだトラネに跨って空を跳躍した。