第231話 トラネは過去の思い出を語る/神獣の襲来/マリンとイルミナの共同戦線
猫の島に来たのに浮かれないにゃぁ。
私はいつもこの時をまっていたのにゃぁ。
普段通りにすごいたのにゃぁ。
でもそんなことないのよ。
拓郎は最近冷たいんだ。
私の商品はお前のために使えと言ってるにゃぁ。
竜の吐息でも売ろうかにゃぁと思っていたが、貴重なアイテムを売るわけにはいかないにゃぁ。
これでも、私はトラネは狡猾にゃぁ。
狡猾で残忍な猫魔人にゃぁ。
昔は獲物のネズミを一人で爪で取るぐらいの残忍さで敵を打つにゃぁ。
猫の魔人は、昔は獣人と呼ばれていた。
獣人は猫の姿により近かった。
だが時にして彼ら彼女らは人間と対立していた。
それでもトラネの部族虎猫魔族の獣人は対立を悩んでいたにゃぁ。
その時のことを話すと思う。
◇
トラネが子供の時5歳のころ……
「お父様!! お魚を取りに行きたいです。駄目ですかお父様?」
「いいぞトラネ。いっちょまえになったじゃねえか」
私のお父様は里のリーダー的存在で周りから信頼されている。
虎猫魔族は本来狂暴性が高く、人間を敵と思っていたが、そこまでじゃない。
うちの家は家族が5人おる。
父と母と爺様とばあ様と私だ。
私は一人っ子で里では一人っ子は珍しい。
普通兄妹などの2人ぐらいは産むのだが、うちはひとりやったにゃ。
でもうちは幸せにゃあ。一人でも温かい家族がいるから。それでいいにゃあ。
晩御飯の準備で漁にでたにゃあ。
お父様は漁師でもあるにゃぁ。魚がうちらの主食で昔は肉をとることもあったんだけど。
まあそれは他の部族がいるにゃぁ。
それで漁の日に私は家で留守番なんだけど。
「トラネ、今回の漁はかなりの長期間になるようだな…だから待ってろよ」
「お父様! トラネ待ってます」
「ああ、行ってくる。トラネ! 待ってろよ! 旨いお魚取ってくるからな!!」
「はい、お父様!!」
だが父はかなりの間帰ってこなかった。よくない知らせが届けられた。
西の狼魔人に襲われただと!?
「狼さんたち怖いの~~~??」「怖いのですかにゃぁ??」
そして私は西の部族の村に行くことにした。5歳でだ。
そこでロウガという1人の狼魔人と出会うことになる。
その少年はとても自然が好きだったようだ。
「よお~~俺も里のリーダー的母親に甘やかされたんだが、なんだおまえちっこいのに、どうしたんだ? 飯でも食うか? リンゴルだよ喰うか?」
「いらない!! お父様を返せ!!」
私はロウガに5歳ながら、勝負を挑んだ。
でもそれは間違いだった。
5歳の私が相手は10歳ぐらいにしか見えない。そんな少年の狼男に勝てるわけがない。
私は無謀だった。でもそんなロウガは私をやさしくしかってくれた。
「なんだよちっこいのう…俺っちよりも弱いくせに俺に挑むとは? なかなかの度胸だな?」
「それよりお父様はどこなの!!!!!」
「もしかして虎猫魔族の長のことか? ならばそこの俺の家で看病しているぞ」
「!?? 看病って? どういうこと」
「なんだ知らねえのか会いに行けよ早く」
私は指さされたロウガの家に行くことになった。
そこにはボロボロの包帯を巻いたお父様がいた。
「トラネまさか狼魔族の里まで来てたとはな……」
「お父様!! どうしてここに」
「なーに、船が難破してしまって、たまたまここのロウガムラ様の家の畔の川に流されてこのロウガの家に拾われたんだよ」
「ほらいったじゃないか」
ロウガがコーヒーを入れている。その姿は優雅に佇んでいる。ディーラーのようだ。
私は多少混乱している。
私は生まれたときは忌み子と呼ばれていた。
忌子とは怨霊に憑りつかれかけたと言われている。
本当なら里の風習で生贄に出されるところだったと言われている。
でもお父様とお母さまと爺様と婆様は私を必死で守って改革の、里の古い習慣を改革した。
よって忌子を生贄に出すという野蛮な習慣は無くなった。
だから私はまだここにいる。
拓郎のことを心配したくないからうちは……うちは…もっと猫のために動きたい!!
時は現実世界の2023年6月1日に戻る。
猫島に旅行に来ていた拓郎たちは猫の島で怨霊の類を確認した。
もう一人来ていた。
魔視美夜詠だ。
ヨミは買い出しに島の外に出ていた。
だからこそこの異変に気付かなかった。
「結界が張られている? つまり拓郎の次元転送の魔法がスキルが使えない?? 封印結界か!?」
戻るヨミ。
ヨミは走る。空を跳ぶ。空翔歩行。
空を歩くように走る。
跳んでいく。
駆ける駆ける。「行かないと拓郎がまずい!!」
それでもまだよかった。
拓郎の契約武器であるマリンが海を滑っていた。
「ご主人のやつ私を旅行に連れて行かないなんて幸いに居場所を聞いておいたからこのスマフォのグーゴルマップというやつでわかるのだが…なんか変だぞ??」
空が暗い。空が暗転の星空なのに星が徐々に消えていく。
そして空から一人の女の子が振ってきた。
「ってイルミナ!? なんでこんなところに自分探しの旅に出たんじゃないのか??」
「すまないわね今お兄様(仮)と交戦中よ」
「お兄ちゃん見つかったのか?」
「……わからない本物のお兄様なのかまだわからない」
「でもこのままだと負けそうだからあんたの力を貸しなさいマリン!」「いいよ、ちょっと腕がなまってたから」
マリンとイルミナが手を組む時、セカイが揺れ動いたように感じる。
激闘の幕開けだった。