第220話 口惜しい陥落
カリミヤは駆ける。正直なほどにまっすぐだ。どれだけ転ぼうが前に進む。だが余裕のなさが感じられる。それだけ、カリミヤは冷静になれる。
だが、ここで日本橋に異変が起きていた。騒動的な申し子が威圧的に物事を納めようとしていた。だがそれがかえって迷惑になることを本人は自覚してなかった。しかも衝撃的ほどに威圧的な感じで弱いわけではなく普通だ。そんなチンピラが魔物を屠っていた。
その梧桐サバトはモンスターを倒していた。だがサバトは弱いモンスターも倒していた逃げ出しているモンスターすらも、だからカリミヤはモンスターの味方になりたかった。だが地震が発生する。地面が揺れる。一斉に窓ガラスが割れて激しく地鳴りがする。それだけ破壊的な衝撃が襲いかかる。そんな感じで怒気の交じる波動が生じる。
むちゃくちゃなことが起きる。赤い大きな機械のような虫が現れた。
機械的で人々を光子的なレーザー光線で人々を焼いていく。
俺は憂鬱でそれどころじゃなかった。サバトは一目散に逃げ出した。
そのまま消え失せた。チンピラらしいともいえる。
攻撃を仕掛けてこない。カリミヤには手を出さない。
小さな少女がいた。だがふんわりと磁場のような感覚が違う。
その少女は黄色のシュメールのようなオーロラをまとうように伏せていた。
「怖いの……怖いのーーーーーー怖いからあなたは逃げてほしい……」
「どうしたんだよ君は……逃げろよ早く」
「私はもう逃げれないの」
「なんで?」
「もうそこまで来ているの……」
歩道の遊馬はたいそうに痛んでいた。
少女を守るためにカリミヤは目の前の恐怖を取り除こうと思っていた。
恐戦士と呼ばれる半人半魔の魔人が現れた。
無限の恐怖が日本橋の遊歩道を刺激していた。
人々が見ている。見せ物じゃないが固唾と見守っている。逃げた方が良いだろと思うが、そんなレベルはとうに越えた。
空白の時間が生まれるが、まだ逃げるのは早い。目の前の化け物を倒さないとこの少女も守れない。
僕は夢じゃないかと思われる光景を見た。
アマリちゃんが目の前で僕たちの前に躍り出た。九楽楽さんもだ。ナナナちゃんもいる。
「かりみん! 守ってくれてありがとー!」
「お助けしましょう」
「しょうがないやつだよ本当に、あたしがいないと駄目なんだね……」
そんな僕でも仲間がいる。でもそれだと駄目なんだよ。女の子に守られてばかりだと。自分が皆を守れるほどになりたい。
今は甘えていろ。
どこから声が聞こえてきた、そんなわけないのに。幻聴が聞こえるほどに追い詰められていたのか僕は。
そして恐戦士はナナナちゃんたちに倒された。だがまだ終わりじゃない。
どうする、僕が守りたい。
前から……あれったお……れる……
カリミヤは地面に倒れ伏せた。心労がたたったのかもしれない。
その後カリミヤは病院で目を覚ました。