第214話 溢れる波動を感じさせる存在
北海道ダンジョンの中は広大のようだ。雪景色の中に氷柱が埋まっている。白と銀が灰色に染まって静かに寒空の中冷凍庫のような感覚に襲われる。
無味の著しい苦しみの欲望を刺激されそうな塩梅を止めることができない。明暗の暗き揺りかかる暗黒の太陽が上に2個も浮かんでいる。蜀を牛怪する怪人が現れる。銀色の牛魔人だ。手には大剣が握られている。
後ろにいつの間にか銀牛魔人がいた。物凄い勢いで大剣を振っている。雪兎がサイコガンで狙い撃ちしている。だがそれを銀牛魔人が躱す。その動きは身軽な牛というより小鳥のように動きが読めない。素早さはチーターよりも反射的で時間すらも飛び越そうとしている。
ナナナが言をつむぐ。「牢屋」、「矢」、「矢」
「矢」
「矢」
「矢」
「矢」
矢矢矢矢矢
矢矢矢矢矢
矢矢矢矢矢矢矢
矢矢矢矢矢矢矢矢矢
矢矢矢矢矢矢矢矢矢矢矢
矢矢矢矢矢矢矢矢矢矢矢矢
矢矢矢矢矢矢矢矢矢矢矢矢矢
矢矢矢矢矢矢矢矢矢矢矢矢矢矢
矢矢矢矢矢矢矢矢矢矢矢矢矢矢矢
矢矢矢矢矢矢矢矢矢矢矢矢矢矢矢矢
矢矢矢矢矢矢矢矢矢矢矢矢矢矢矢矢矢
矢矢矢矢矢矢矢矢矢矢矢矢矢矢矢矢矢矢
矢矢矢矢矢矢矢矢矢矢矢矢矢矢矢矢矢矢矢
矢矢矢矢矢矢矢矢矢矢矢矢矢矢矢矢矢矢矢矢
「ヤバイ砲撃」
「起動兵器発動」
「うどん」
つるつるとうどんを啜りながらナナナは銀牛魔人を無数の矢で刺した後起動兵器とかいう無茶苦茶な物を出して寛いでいた。
「ナナナ……流石にそこまで強くない敵にここまでしなくてもいいだろ?」
「ユキトはそういうつまらないことを言うんだ……拓郎お兄様はそこまで困った顔してないのねん」
「はははっそうだななんでもまあでも確かにそこまで強くない……いやなんでもない」
俺は先ほどの銀牛魔人を思い出していた。回避性能こそ高いが攻撃力とか防御力はそこまでじゃないが知能が高かった。ナナナが本気を出してる様子はないからそこまでじゃないが、もう少し奥に行くと厄介な敵が出そうに感じるだが……まあこれだけの人数だ。
最悪アグニスやマリンにアルマゲルにスランにマイカにサクラにデュランを出せば余裕だと思うが……念のためにテルネアスやイルミナにリュートにダクセルとかにも連絡をしておいたほうが良いかもしれない。
その後北海道ダンジョンでの強力な敵はあまり出ずに先に進む。
タケルが止まる様にみんなを制止する。
「どうしたんだ? タケル?」
「ここから異常なまでに霊力が溢れている……だろ?」
「このくらい問題ないだろ」
「いや弱く偽装しているぞこの……モンスターか何かわからないが」
俺は気配察知や魔力を感じとる間隔を強大にしていく。
霊力は俺でも感じとることが少ししかできないので増幅する。
これは……異常なまでの霊力……? だよないや霊そのものか……これは?
そして目の前に一瞬で現れる怨霊のようなモンスターだが……見た目は鬼のようなかぐや姫のような霊体だ。
「およよよよよよよよよよよよ………………!! ずっとここで暮らしているのに誰も来ないやっと来たと思ったら…………もうムカつくのじゃ! だから襲わせろおらああああ!!!」
するとその鬼のようなかぐや姫? みたいな霊体の少女は俺に憑りついた。
俺はゾクッとする感覚に襲われた……なんだこれは……霊に憑りつかれるのは初めてのようだが……くそっどうすればいいんだ。
(何っあんたの思い出面白いわね……でも見えないところもあるんじゃな…………ここくつろぐには快適なのじゃ……ずっとここにいさせてね)
ふざけるな……!! おまえはそもそもなんだよ! どういう霊なんだよ!!
(私? 私は大昔の鬼と人間の末裔だったが……人間に迫害されて殺されたんじゃ……1000年ぐらい昔の話じゃ……ずっと彷徨っていたのじゃが最近ここの迷宮に入り込んで……そのまま居ついてしまったんじゃ)
『たくにぃ……私の介入をしているけどこの霊の少女を追い出すことができない……どうすればいいのかな?』
心空が俺の心に話しかけてきた。久しぶりだな常に見ているとは思うけど心交代をしてもこの霊の少女は憑りついているのだろうか?
(そういえば霊の少女? 鬼と人間のハーフだっけ? 名前は?)
(名前などとうの昔に忘れてしまったのじゃ……そうだなお主がつけてくれないか?)
(そうだな……じゃあ『カグヤ』っていうのはどうだ? なんかそんな感じがしてな)
(カグヤか……いい名前じゃな……お主のために働いていこうと思うのじゃ……ではいくぞこのだんじょんというのを攻略したらいいのじゃろ?)
霊の少女のカグヤが仲間になって俺のダンジョン攻略はさらに捗るだろう。
カグヤ……よろしく頼むな!!