第206話 オタクたちの挑戦
紅蓮の拳とサバ味噌とキリリンは日本橋ダンジョンの97階層を進んでいた。
自分たちはあれから兼武を積んで紅蓮の拳はかなりのレベルアップをした。
さらに仲間としてダークエルフの少女……幼女だと思うのエナが紅蓮の拳に懐いてしまい付いてきてしまった。
あの時の機械神との戦いに挑戦できなかったのは痛い。
エナはサバ味噌とキリリンのことはあまり好きではなかった。
なぜなら自分を見る目がなんか汚らわしい眼で見てくるからだ。
「エナちゃん拙者はそんなロリコンではけっけっ……決してないでっござるよ!!」
「そうですな!! サバ味噌氏……我はソードマスターを目指すものだから斬るのはお得意ですな」
「お前らはエナをどんな目で見ているんだよ…………まあいいか」
「紅蓮の兄貴はなんか変わってしまったですな……」
「そうでござる……拙者たちよりレベルの上昇率が違うでござる」
「ちげえよ俺は一人でソロでたまに日本橋ダンジョン潜ってるからだ……ていうかお前らは最高到達階層63階層だろ? 俺は97階層まで来たんだぞ一人でだから連れてきてやったのに……」
サバ味噌氏のレベルは57、キリリン氏のレベルは58である。
しかし紅蓮の拳のレベルは123まで上昇していた。
エナは何気に87まで上がっている。
エナはダークエルフの賢者だ。
殆どの魔法が使えるのでパーティに必須級である。
サバ味噌氏はパワータイプの金槌を獲物にしている重戦士タイプの職業だ。
職業はちなみにパワー系オタク戦士というユニーク職業。
力と耐久が上がりやすくなる、なおオタク職業というユニークな技を覚える。
キリリン氏は速攻系オタクの職業。二刀オタク軽剣士というもの。
剣や刀を二つ装備できるオタクなら憧れの職業だ。
速攻系のスピードタイプでなんでも敵の攻撃を躱しまくるスタイルだ。
何度も攻撃することで敵を切り刻む。攻撃力より俊敏にステータスを振っている。
そんな感じでみんなは97階層を進む。
紅蓮の拳は力と体力に極振りしている。
一撃の威力を強化して体力を底上げすればかなりの耐久力になる。
力だけなら800ぐらになり、体力は1500ぐらいだ。
しかも紅蓮は腕っぷしだけでここまで来ているのだ。
波半端ない精神力すら持ち合わせている。
それだけサバ味噌やキリリンのことが大事なのだ。
オタク同士の友情は果てしないのだ。
波導を極めれば超人になれる。
紅蓮の拳は波動を放てるようになるために普段は瞑想をしている。
それと脳内でなんかかめ〇め波みたいなものが出ないかのイメージを妄想する日々。
そしてついについに何かのエネルギー状の弾が出るようになった。
ほんのり青い弾が出るだけでもかなりのものだ。
青だとつまらんから赤に変えた。
紅蓮弾と名付けたそれは牽制には使えるようになった。
紅蓮の拳は敵を拳で殴りつけて紅蓮弾で牽制してさらに殴るという戦闘スタイルだった。
だがサバ味噌とキリリンも確実にレベルアップしている。
エナの魔法がかなり強力だが頼りになる。
「グレン……あなたのマナかなり熱い…………でも寂しい感じもっと頼って欲しいな」
「エナ……俺はいつも君に頼りを出しているよ…………今もかなりの活躍ぶりじゃないかエナ?」
「グレン…………大好き……もっとナデナデしてグレン」
「エナちゃん拙者がナデナデしてあげましょうか? えへへへ」
「いやいやわたくしがナデナデしてあげますでござる」
「サバ味噌は脂汗匂う……キリリンは特にないけどガリガリだからもっとご飯食べて太って欲しい…………まあナデナデは気持ちいいからいいけど」
サバ味噌とキリリンはエナをナデナデする。
意外にもグレン以外にも優しいエナなのであった。
99階層まで来て凶悪なモンスターを倒しまくるオタクたち。
そして100階層に来た。
大きな扉が目の前にあるどうみてもボス戦のようだ。
紅蓮の拳は少しだけ不安だった。だがサバ味噌とキリリンは調子に乗っていた。
「このくらい楽勝ですな」
「ええモンスターたち弱いですな」
そこでエナが諭す。
「ボスは想像を超える強さだよ……サバ味噌、キリリン…………油断していると死ぬよ……」
底知れない暗黒の眼でサバ味噌とキリリンを見るエナ。
ぞくりとする二人。エナの眼が幼女とは思えないほど闇を知った眼だった。
身構える二人だった。
紅蓮は少しだけ気が晴れたのである。
(エナは実際は何歳なんだろうな? ほんとはダークエルフだし結構年なのかな……)
エナは何かを感じ取ったのか、グレンにこう言う。
「レディーの年を詮索するのはマナー違反だよグレン……」
どうしてバレた!? 顔に出てたのかな……とエナの勘の鋭さに感服する紅蓮であった。