第196話 ダークセル
突如として悪魔のように来訪したその細胞のような塊。
東京の渋谷に崩壊の狼煙を上げるかのように周囲を巻き込んで黒い塊は世界を飲み込んだ。
東京の渋谷は爆増するダークセルの悪魔みたいな暗黒の塊が増大する。
拓郎が駆けつけたときはすでにダークセルが増大した後だった。
「なんだよこれ……!? いくらなんでも無茶苦茶だな……」
「こいつはまたもや正体不明な敵? だな」
雪兎もあまりにも大掛かりな敵なので不可思議に思った。
「これはなんでしょうかね? 潰しますか? ご主人様?」
「むむむ……強そうですがなんだろうね……これは?」
「腕がなるのだ!!」
リュートとミスズとリスティが一緒について来たがどうなんろうか?
ダークセルと呼ぶことにするが分裂と増大を重ねて莫大にデカくなる。
破壊をするわけではなく、デカくなり続ける暗黒の塊。
だが周りの建物を取り込んでいくその姿は圧巻だった。
速くなんとかしないと取り返しがつかなくなる。
俺はオメガフレアをぶちこんだ。
雪兎はサイコガンで何十発も撃ち込んだ。
ミスズは水圧弾を放った。
リスティは爆炎弾を放った。
リュートはドラゴンブレスをぶちこんだ。
だが壊れる気配が無い。それどころか徐々にデカくなる暗黒の塊もといダークセル。
ダークセルはこちらを熱心に見ていた。
ついには自我が芽生え始めた。
「あんこくせいじんあんこくせいじん~」
「!? なんだこいつ喋れるのか?」
「ほお~面白うそうだなこいつは」
雪兎がかなり驚いているが俺は冷静だった。
「あんこくせいじ~んあんこくせいじ~ん……ほにゃららら~わたしはあんこくまじんだにゃん」
そのダークセルは少女の形になった。
「あなたたちはだれ? わたしをどうするの?」
「お前が暴れるならたぶん殺すぞ」
「やめてほしい、せっかくうまれたのに生きたい……なにかしたい」
ダークセルは人間とコミュニケーションをとることが出来るようだ。
だが俺はこいつを本能的に危険だと判断しているが……だが教育を施せばなんとかなりそうだと感じていた。
「暴れるな……俺の言うことを聞くんだ……そうすれば生きていられる」
「そうなの……? ユアマスターと呼べばいい? でも殺したいあの悪魔を」
「悪魔? ああそこで隠れて見ている奴のことか」
俺は雷針を何発か放つ。空間に隠蔽を施していた悪魔を見つけた。
「くっ……よく私の居場所を見つけましたね……そのダークセルを我々悪魔の王ビアス様に献上したいと申しますね」
雪兎はすぐさま超念動力で悪魔を捕まえた。
「こっちのほうが敵っぽいね」
「殺しますか?」
「ご主人様こいつどうします?」
「ひええすいません殺すのだけは勘弁してください……」
「離してやれ」
悪魔の下っ端君はどこかに消えていった。
ダークセルは俺の家に連れて帰った。
人型になることを覚えさせた。
何故か少女の姿に固定させた。
本人的に少女の方がなりやすいと感じたらしい。
こいつはダークセルだと呼びづらいからダクセルと呼んだ。
ダクセルはマンガ本を読み漁りラノベを読み漁りネット小説を読み漁り、日本橋に行くようになる。
すっかり謎の生命体はオタク文化に触れてオタク少女と化す。
なれるの速すぎだろ……この暗黒生命体は……こいつどこから来たんだろ?
「拓郎~ポテチ取って~~マンガこの新しいやつ買ってきて~拓郎~~~」
「ああ~もう自分でやれよダメダクセル!!」
「じゃあバトルしよう拓郎勝ったらラーメン食べに行こう拓郎のおごりで」
とまあ戦うことになる。堕落王の空間で。
だがこいつかなり強い暗黒の塊らしくなんか重力操るし暗黒の弾丸何発も撃ってくるし、攻撃当てても効かないし……なんかもう反則的強さ。
俺に懐かなかったらこいつと敵対してたらヤバかったな。
勝てそうにないぞこいつは。
ダクセルは分裂までして俺の攻撃を躱す。
そして死神の鎌を作り出して俺の首を取りに来る。
だが俺も体に対する物理攻撃は無効だ。雷神炎帝の効果で体は雷炎と化す。
だったら闘気による攻撃はどうだとしたら若干だが効いた。
そしてダクセルがギブギブともう死んじゃうとギブアップした。
「オナカスイタ……拓郎ラーメン食いに行こう?」
「いいけどさ……俺のお気に入りのところだぞ?」
そうしてダクセルと飯を食いに行く。
そんな非日常的な日常を繰り広げているうちに悪魔の王が日本に進行しているなんて考えもしなかったわけだ。