第179話 黒雲の魔術師は虐げられていたようです
今日も日本橋ダンジョンに来ていた。黒雲当夜はどこにいるのか探した。
と言っても事前に連絡して待ち合わせしているんだけどな。
当夜は食堂にいた。すでにカレーライスとかつ丼とカレーうどんとハンバーグを食べていた。
「すげえ食うんだな当夜……」
「ああっ……もぐかなり魔力の運用には腹が減るだろ……もぐもぐだからこれだけ食べないと魔力の活用がままならないし……もぐもぐ」
「食いながら喋るなよ、俺も何か食うか」
俺は特かつ丼とカレーライス大盛とスパゲッティナポリタン大盛を注文した。
「拓郎も食うじゃねえか……」
「そうだよ俺もかなり腹がすくんだよ、だからたくさん食うんだ」
「マリンも食べたい」
「私も食わせろよ何か」
「スランも!!」
「マイカも!!」
マリンとアグニスとスランとマイカが何かを食べさせることを要求してきた。
仕方ないのでかつ丼とかオムライスとかハンバーグとかカレーライスを注文する。
そうしてみんなで日本橋ダンジョンに潜った。
611階層から潜るからなかなか難しいのである。
だが前方から人の気配がしたまたもや。
おいおい俺より先を進んでいるのかよ。
まあ俺は片手間に自宅ダンジョンの攻略がメインだし、秋葉原や愛知とか広島とか福岡に北海道にアメリカのダンジョンも攻略しているから進みが遅いのかもしれない。
そして前方の人がいるのでそそくさと通り過ぎようとしたら。
話しかけられたのである。その時当夜は何かに怯えたように表情が曇っていたのだ。
「おいおいおい……こんなところで無能の当夜に会うなんてなぁ……」
「まさかー!? あの無能の当夜? 魔法の威力が高いだけで発動が物凄く遅いしノーコンな当夜!! 嘘でしょ信じられないキモすぎる~!!」
「あの嘘みたいに弱い当夜かこの俺の目の前から消え失せろ……」
「死ね……」
「おいお前らいきなり出会って罵詈暴言ばかり言いやがって……当夜が可哀そうだろ!!」
「なんだてめえ……当夜の新しい仲間か~? 無能なのに仲間ができるのか~?」
「そうだよ仲間だよ俺が当夜の新しい仲間だ」
「やめといたほうがいいよ……こいつ物凄いお荷物だよ、間違って私たちに魔法を撃ち込んできたこともあるくらいだし」
「そりゃお前らみたいなくずがいたら撃ち込みたくなるだろ」
「はっ! 弱者の言い訳だな!! みすぼらしいぜ!! 行くぞお前ら!!」
そうやって暴言パーティたちは進んでいった。別の分かれ道で右のほうにいった。
なんだったんだあいつらは酷い奴らだったな。
「当夜あいつらは何もんだよ……お前の元仲間だったのか?」
「一時的に組んだパーティだったんだ……そのころは実力が不足していたし、実力を隠していたから無能と虐げられたのかもしれない……」
しかもよく聞くとあまりにも暴言を吐かれていたのでキレて魔術をパーティメンバーに放ってしまったらしい。
なんとか避けられて無事だったが探索者通しの争いは処罰の対象になるので注意しないといけない。
そうして色々あって最近になってパーティを抜けたのだという。
殆ど追い出されたようなもんだと当夜は言っていた。
しかし当夜はソロでここまで潜れる実力があるほど強いはずなのに……実力を隠している節があるのは俺も同じだがここまで差があるのか……
そういえば当夜は刀を持っているのに戦闘で使うのは魔術ばかりだ。
1回だけリザードマングレネードを倒すときに使ったぐらいだ。
その理由を聞いたらこう答えた当夜は。
「俺は刀を使っているときは魔術が使いずらいんだ……だからその欠点を治すために潜っているのもあるから……」
どうも刀を使うときに魔術を使いずらいらしいのは本当のようだ。
しかし俺と一緒にモンスターを倒していっている当夜は少しずつ実力が上がっているような気がする。
そして刀を使いつつ魔術を発動して見せた。
威力は相変わらず高いが命中力が確かに低いな。
でも発動が遅いというのはそこまで気にならなかった。
オーガジェネラルが5体も出現した。当夜はダークジュピターで黒い霧のような波動をぶつけた。
オーガジェネラルたちは苦しんでいる。俺は土魔法ストーンスプラッシュをぶつけてオーガジェネラルたちを倒した。
612階層まで来て荒ぶるジャイアントアントが出現した。
巨大なアリ体長5メートルはある。俺はオメガフレア(極滅覇道)で燃やし尽くす。
当夜も極大の魔術をぶつけている。当夜は暗黒殲滅弾を放った。
ジャイアントアントは死滅した。光の粒子となって消滅する。
巨アリの牙に巨アリの鋼皮がドロップした。なかなか優秀な素材のようだ。
当夜と折半した。そうして進み続ける。
どんどん進み続けていく。
615階層まで来てしまった。ギガントアイアンにトロールジェネラルが出現した。
だが当夜が普通に暗黒魔術で倒してしまった。当夜の実力がかなり上がっている。
当夜の魔力の質が上昇していると感じている。純粋に魔力量が上がっているしなかなかの質の変化が起きている。
そうして刀を奮い手を振りかざして暗黒の槍が飛ばされる。ベルベローゼという化け物が鋭利な槍に抉られて壊滅する。
当夜は正直雪兎に次ぐほど強いと思う。少し落ちるが雪兎並みに強いだろう。
今は仲間がいないのが正直不安だ。よい仲間が見つかればいいのだが……
俺たちは中級エリクサーを手に入れるために日本橋ダンジョンを進み続けた。
ここまでお読みいただきありがとうございます。
これからも頑張って書いていきますので楽しみにしてください。
ブクマ、評価は随時受け付けています。感想とかも書いて貰えると作者のやる気が上がります。
是非ご覧ください。