第159話 反逆の魔物は人類に反旗を翻すようです
なんだろう、もうね……退屈なんだよな。こんな暗い迷宮にて生活するのも飽きたんだよ。
だからもう少しだけ俺は邪魔者を殺したい。こんな欲望を抑えきれないから俺はちっけえんだよな。
糞喰らえと思っているけどどうにも止められない。魔物の奴らもクソしかいない。意思疎通の出来るやつらは皆無で、仲間のゴブリンですら小さい奴らしかいない。
ニンゲンは不味いから殺すだけしか意味がないとか言うし。でも中にはゲテモノ好きがいて喰いに行くやつもいる。
でも俺たちもバイソンとかブルしか倒せないから人間はそこまで喰いたくないんだよな。人間に対する恨みは多少はある。
親や妹が人間の探索者に殺されたからだ。だからこそ人間に対する底知れない悪意と恐怖の感情があるにはあった。
ゴブリンジャガーのジャゴンは人間を倒すべき悪意の存在と認識していたのである。かなりの重度の恨みがあるわけではないが、結果的に殺してしまっても仕方ない存在と思っていた。
そして行動を開始した。外に出るためにダンジョンを上る。上を目指す。外に出たい。
道中のモンスターは弱いモンスターは結局他の強いモンスターに襲われる。
弱肉強食の世界であるのには変わらないのである。棍棒で殴りまくる。勢いよく殴打する。力強く破壊する。炎をぶつける。剣に切り替えて斬る。
こうしてダンジョンの階層を上っていくのであった。そしてついにダンジョンから外に出ることに成功する。
だが、そこにジャゴンの邪魔者が大勢いる。探索者たちが一斉に襲い掛かってきた。すぐさま逃げ出すジャゴン。
ジャゴンはなんとか命からがら逃げだしたのである。そして人間たちに復讐するのであった。
人間を夜な夜な襲いだした。だが上手くいかないときもあった。
コンビニを襲撃して飯を奪った。人間の作る飯も結構美味いなと感じていたジャゴンだった。
地上に出て3日経ったある日、謎の人間がジャゴンのもとに来た。
狐の面を被り変な格好をした人物。なんだこいつ? ふざけた野郎だなと思い攻撃した。一撃だった。殴られて死んでしまうかのような怪我をした。
そしてすぐになんとか逃げ出した。なんだあの化け物は死んでしまうじゃないかと恐怖した。
そしてそれからはさらにこそこそするようになった。
ジャゴンの行方は知られていない。
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先ほど一匹のゴブリンを倒しそこなった拓郎は少しだけ疑問に感じていた。あの程度のゴブリンを逃がしてしまうとは……俺の腕も落ちたのか、あのゴブリンが以外にも強かったのか? わからないことばかりだ。
最近人間が殺されるような事件が起きているからパトロールしているが、なんだが物騒だな。
拓郎はさらに気を引き締めていくことにした。
そのころ自衛隊対ダンジョン体第三支部は日本橋ダンジョンの305階層を攻略していた。隊員は総勢26名の大要員。ショットガンやマシンガンなどの装備をしていてさらに近接戦闘隊員たちもいる。大剣や魔法を扱う隊員もいる中、武道家スタイルの隊員もいた。
305階層にまでなれば敵のモンスターの強さは計り知れないものである。なかなかに26名の総勢で挑んでも苦戦するのである。
隊員たちは306階層にまで到達しそうになっていた。だがそこで物凄い強敵に出会うことになるとは夢にも思わなかっただろう。
その日自衛隊対ダンジョン体第三支部は半壊した。
一匹のドラゴニュートにより。
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拓郎は自宅ダンジョンの359階層を進んでいた。イルミナとアグニスとデュランで敵のモンスターを倒していた。
もちろんアルマゲルにマリンは俺の手中にいる。武器空間の中に特別にな。
スランもマイカも頑張っているからかなり楽だ。
特にまあ暇なんで適当にヒカリでビーム系の攻撃で倒していると少しは骨のあるモンスターが出現したようだ。
ダークコーヒーカップ。
まさかのコーヒーカップを模したモンスターだ。だがその底知れない実力は見ただけでたぶんわかる。
そして回転しつつレーザー光線のような黒いビームを撃ちだしてきた。
回避にはそこまで苦労しなかったが発射タイミングが読みづらいので少しだけ苦労した。あとそのまま体当たりしてきて自爆してきた。
かなり手強かったがそこまでではなかった。
「なんじゃあのコーヒーカップは!! 死ぬかと思ったぞ! 自爆するなんてなんていう敵だ!」
イルミナがなんか文句言ってるけど気にしないことにした。
今度は360階層で面白そうな敵が出てきた。
暗黒のマジックブックである。
ようするに宙に浮いた魔導書なんだが複数出てきた。そして魔法を暗黒魔法を放ってきた。全て絶対防御壁に天雷の覇道壁で防いだ。
そして黒破雷をぶつけて倒した。
地味に経験値が美味いモンスターのようでレベルがかなり上がった。
現在727になっている俺のレベルは。
いつの間にかこんなに上がったんだろうな。
地味に毎日自宅ダンジョンに潜って、モンスターを狩りまくればこうなるわな。
今日は368階層まで攻略を進めた。
家に戻り、テレビをつけていると分身したスランのパトロール隊が不審なモンスターを確認したようだ。
俺は現場に急行した。
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人々が恐怖おののき逃げ惑う姿が滑稽だと認識しているその存在はゴブリン。
ゴブリンなどもはや探索者たちにとっては雑魚に過ぎないと思われていたが。
短期間で人間の魂を喰らい、血を啜り、肉を喰らったゴブリンは進化することがあると伝説にある。
すでにゴブリンジャガーとなっていたジャゴンはすでに進化の条件を達成していたのである。
ゴブリンジャガーのジャゴンは駆け付けた自衛隊の隊員を殺してゴブリンデストロイヤーへと進化に至った。
体がスマートになり厳つくなる。だが無駄な筋肉など存在せずにより戦闘向けの体つきになる。
拓郎が駆けつけた時には現場に来ていた自衛隊は壊滅していた。
拓郎は久々にやる気になる。少しだけ気に入らない奴が現れたのである。
「てめえみたいな凶暴なモンスターは狩るに限るな……こいよジャゴン」
「人間め……貴様らなどの餌食になるとは思えんが……ヤッテヤルゼ! 狐の面の不審者め!!」
「誰が不審者だ! 俺は稲荷仮面てっ名前があるんだよ!!」
「ふんっ笑止……俺様のこの新たな最恐の力の前には誰も勝てないぞ……」
「どうかな? やってみないとわかんねーぞ?」
拓郎はヒカリを出した。
『稲荷仮面……私の光の力を思う存分に使って!』
「まかせろ」
俺はヒカリに光のエネルギーを貯める。そして振り抜く。光雷波動飛刃を放った。
飛ぶ斬撃は光と雷のエネルギーを貯め込んでおり、かなりの衝撃だ。
ジャゴンはそれを炎の魔法で打ち消した。
なんだと!? 俺の渾身の一撃を止めただと!?
あまりにも意外だったので拓郎は少しだけ驚いてしまった。
その一瞬の隙をつかれた。背後に一瞬で回り込まれて棍棒で殴られた。だが致命傷にはいたらなかった。
「痛ってえな……」
「死にやがれ……!!」
近距離で炎魔法を喰らう。
「デスフレア!!」
「喰らうかよそんなのオメガフレア!!」
拓郎はなんとか反撃した。
依然互角の状態が続く。
だが、拓郎はここで瞬間的に『雷炎神帝』と『超越覇王』と『殲滅魔王』と『神滅の魔術師』と『錬瞑の賢者』のスキルを全力で展開した。
そして全力で光爆剣で神光爆破斬を放ち斬懐した。
意外にもあっけなかったが……
『ゴブリン破壊者を破壊する者』の称号をゲットしましたという世界の声が木霊した。
拓郎は少しだけやる気を取り戻したようである。
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