第155話 ミスズちゃんのダンジョンパノラマゴックンステージ
お熱が出るかもしれない。
私はミスズ。水から生まれた魔物でモンスター。
原種名はアクアスライムらしい。
お熱が出るかも。なんか体が熱い。
うん。この男性を見たときから体が熱くなる。
種族的に強い男性には惹かれるのが宿命なのかもしれない。
この拓郎とかいう男性……強い。
私より圧倒的の強者だと感じる。
熱に紛れるかのように強さの隠蔽が凄いし力は無駄がなくすっとしているしなんか心も安定している。
魔力的回路も純烈で波導がしっかりしているし、反則的に覇気が高い。
私はと言うと水のように透き通っているけどお熱に悩まされる体質で、なんか流動的に心が変わる。
癒しの力は強い反則的な水の攻撃力で敵を粉砕するけどなんか水しか魔法が使えない。
氷の魔法は最近覚えた。熱を使うこともできる。
ゴックンして敵を取り込むことができる。
そして敵のスキルを吸収して取り込むことができる。
ただし強い敵は倒さないとゴックンできない。
でも私ちょっと前に破壊竜とかと戦ってゴックンしたから、破壊竜のスキルがあるよ。
破壊のスキルに壊滅の波動息に轟力とかね。
ゴックンはなにも敵を殺すための手段じゃない。
スキルの丸コピという本来の目的があるのだよ。
この人たちの仲間も強い人ばかりだ。
あっ敵だ。
インセクトスパイダーとかいう雑魚だ。
ステータスもそんなに高くない。
破壊。
水泡に破壊水泡だとか喰らわせよう。
なんだろ? 拓郎が褒めてくれる。
やさしさの中に強さが滲み出ているねこの人。
リスティが喜んでいる。
あの娘も可愛いから好きだな。
エネルギッシュな活動をしたい。
ふんぬっ!! 壊滅的殴り攻撃。
ミスズは何時にもましてがんばっていた。
なお拓郎はこのような心境だった。
このミスズちゃんは水から生まれた魔物だとか聞いたリスティから。
でもなんか色々なスキル持っているモンスターだし。
というかスライムなんだよな。
うわ~~~仲間にしたい。従魔にしたい。めっちゃ仲間にしたい。
でもなんか自由に生きているような感じがするから仲間になってくれるかな?
くそ~~~この娘が欲しいな。
(っていうのを隠さず考えているわけだ……どうするんだろ拓郎は……欲しいのか私が……う~~~んでもまあたまにならいいか)
ミスズは拓郎の溢れる欲望を聞き逃さないでいた。
でもそんな拓郎の欲望を利用しようとは思えない。
ミスズはドライだが可愛くありたい。
それでいて孤高の人になり、覇道のある最強の人間を目指している。
言い訳よりも実績だ。そんな揺ぎ無い感情を取り戻したい。
粉潰しして敵を磨り潰すよりも、味方の覇気を上げろ。
戦慄の意思を見せろ。惑わされるな。英気を養え。
とまあ耳障りの言い言葉を多用するが、なんといっても強さがものをいう世界だ。
圧倒的強者しか先が見えないのだ。それを超えないといけない物を全てだ。
全てを凌駕して先を目指して、共に進める人がいないと、何にもならない。
ゴックンして敵のスキルを奪い取ることしかできない私だけど。
そんな私を大事にしてくれるのは拓郎しかないのか。
見たことの無い景色を見せてくれるのかな……
善の無い無の世界。悪の無い良しとする健全な世界。
悪意には悪意をぶつける人もいる。作動するシステムを愚かに崩す作業員は意味をなさない。
狂気のある力を従えて世界に断りの意味を見出す。
夢のある行為から世界をまたに駆けて可能性をぶつける。
好都合な展開を用意してくれる神がいたとする。そんな神でも間違いは起こす。
善の無い悪意も無い、システムエラーと言う名の事故は起きる。
前方から黒の弾丸が降り注ぐ。破滅する破壊の残像が狂気を振りまく。
苦しみから解放される敵の魂の歌声が鱗粉のように天から注ぎ降る。
心を破滅させるような強大な天響の叫びが舞い踊る。
クロンと言う黒猫魔人の少女が敵に崩されそうとしていた。
蒼威と呼ばれる少女も敵の攻撃を受けそうだった。
ミスズは咄嗟に蒼威を庇う。
正面に出て、対物理障壁を展開する。
黒の弾丸はそこで止まる。
敵はハイデダークブライガンナーだ。
だが様子が可笑しい。強すぎる。
手持ちの悪魔銃が無類の強さだ。
弾に籠める魔力が異常に高い。
しかも語りだした魔物が。
「俺の弾丸を止めるなんてな……かなりやるようだな」
「魔物の癖に喋れるんだな……」
「ああっ……俺は異常中の異常だからな」
「面白い奴だな……どうだ俺の仲間にならないか?」
「断るね……俺は一匹が好きなんだよ、こんなところで死ぬわけにはいかないからな」
そう言うとハイデダークブライガンナーは霧のように消えた。
転移でもしたのか……なんだろう特殊な魔物だった。
こんなこと初めてだ。しかし……クロンと蒼威ちゃんが負けそうになっていた。
俺でも守れるか不安になる。
さらに不安を持たされることがあると思うと気が滅入る。
ミスズは今日から家に来ることに。
だが三日後また出て行ってしまった。
また戻ってくるからと言い残して。
なんか気まぐれな娘だ。
でもなんか楽しそうになるな。とまあ特訓をしないといけないなうちの仲間のな。