第144話 神日本橋ダンジョンその2
148階層のレドワスグリゴンが大翼を掲げて上から降ってきた。
マリンが杖を振り、大海を呼び寄せる。
幽海の狭間から取り付けられた車海老のような、荒々しい動きでグリゴンが大翼を振りかざして、戦風を頬り投げしてレドワスの聡明を騙した。
大永の海を切断して気を取り直している。
アルマゲルも禁術を行使している。
マリンの海のような大水を呼び寄せる魔術もかなりの破壊力だ。
殲滅の狼煙を上げろ。後悔の水池を破壊しろ。
マリンが覚醒した。
大海杖のマリンは巨海の波動を無理やり破裂させた。
アルマゲルは殲滅の波動を大幅に強化して放った。
「繕砲雷河!!」
レドワスグリゴンが大翼を大きく広げ、魔法を反射する。
だがマリンの魔法とアルマゲルの魔法の勢いが勝った。
仙気を含有に大幅に上昇させていく、戦慄の刃を上昇させる。
マリンには頑張ってもらいたい。
アルマゲルも禁術の発動速度がもう少し早くなって欲しい。
スランもマイカも頑張っている。
150階層では超剣死士が出現した。
流れる様に速い動き。力強い眼。戦慄の波動を感じる。
超剣死士がナナナに高速の速さで近づいた。
「なぬっ? ナナナの視界に残像を……?? ならばこれで致しかねぬん!!」
ナナナはバナーナソードを繰り出して超剣死士と対峙している。
ナナナのレベルは高くない。だがそれでもこの子はかなりのポテンシャルを秘めている。
残像を生み出しているのはナナナだった。
ナナナはこの瞬間の一歩手前にドーピング用のバナナ(スピードとか色々上がる)を食べていた。
よってかなりのステータス上昇を得ていた。
破壊的剣圧が超剣死士を襲う。
一撃ではないが……ほぼ一撃で敵を打ち取った。
151階層まで来た。
ギュラングルとかいうゴブリンのような鬼が駆けだした。
ギュラングルはスランの粘弾で撃ち落とした。
「もっと~もっと~敵倒す!!」
マイカも触手で切り落とした。
「私にも任しなさいよ!!」
152階層から155階層までギュラングルが大挙として押し寄せた。
一度に25体くらい出てくるから俺が流石に相手した。
エナジーがものすごくあふれ出る魔物だ。
速さに腕力に耐久力魔力こそないが……かなりの力を持っている魔物だ。
クロンが戦武の舞を踊りつつ、安道の舞を流し踊りする。
シロンがクロンに身体能力強化魔法『レスピードファン』をかける。
クロンがミスリルナイフを手に、炎魔法剣を生み出す。
クロンの攻撃態勢が強化される。優雅に舞踊るように突き刺さるミスリルナイフが半端ないほどにギュラングルに突き刺さる。
「グサリッ!!」
そして魔法剣で攻撃力が上がっているのでなかなか強力な威力だ。
シロンも苦手な星魔法を使い、敵を各個撃破している。
「シロンも負けていられません!!」
「そうだよ私はまだ優雅に舞える!! この感じを忘れない!! 敵を打ち滅ぼすために!!」
クロンの自信が上がっている。
油断大敵ではあるが今は大丈夫だろ。俺たちもいるし。
156階層のギュアルナイトが破壊的剣技を仕掛けてきた。
だがアグニスの剣技の前では赤子も同然だった。
俺のヒカリの光爆剣ですら余裕の相手だった。
マリンとかアルマゲルもナナナもナナカもユキトも遠距離から爆散していた。
すでにナナカも言霊を直接行使することで七星星魔法を使用していた。
「炎を集え! 敵を撃て!!」
これだけで炎は炎髪灼王の極みでナナカの髪色が一瞬赤くなる。
炎の魔法を使用する瞬間は髪色まで変わるのか……なんだこいつ。
ナナナが羨ましがっていて……気合で自分も染髪したらしい。
「ナナナはナナカの力を代理で使えるのだあははははははは!!」
「ナナナ……流石にそこまで答えるとは思えなかったわ」
「お姉ちゃんは嫉妬深いのだ!!」
「嫉妬深いのか……?」
ユキトですらボヤくぐらいにツッコミが入る。
「お前ら仲いいよな……」
「どうしたんタクロウっちも仲間に入りたいのかうんうん? さみしがり屋さん? 拓郎?」
「そんなことはない」
「いえこれはそうですね……かなり拓郎は遠慮深いのですねたぶん」
「そうなのタクロウさん?」
「クロンそんなことないぞ」
「なんで否定するのん」
「俺はいつだってみんなのヒーローじゃないといけないんだ。だからこんな遠慮深い性格ではないと思わせないと……」
とまあそんな茶番を繰り広げているうちに159階層まで来た。
ギュラングルは相変わらず出てくる。
ギュランダルナイトアーマーとかいうやっかいな固い敵が出てきた。
こいつ魔法も効きずらいし、打撃が通りずらいし……ナナナが素手で吹っ飛ばしている。
あいつもたいがい出鱈目な力持ってやがるな……ユキトは氷結の力でなんとかしている。
俺はまあ物理でなんとか。
とまあヒカリとリーフルでなんとでもなるし。
ヒカリが暴れん坊だ。
リーフルの地味に強い効果もさることながら……スランもマイカもいるので怖いものなしだ。
そして160階層の暴君『アバレタリナインベアー』とかいうユニーク中ボスが開幕破壊光線放ってきたぐらいでなかなか固いし動きも速いし……なんだこいつスランが体当たりと粘弾とマイカの触手カッターで倒していたが……まあ弱くはなかった。
暴君の業火なマントとかいうドロップ品が出た。
マリンが欲しがっていたので上げた。
こんなダサいマントなんで欲しがるんだろう?