防衛戦後
旧ダージリン王国 ランズ・エンド防衛基地
私は防衛基地の壁の上から見ていた・・・。
本来は思ってはいけないはずの魔族に対して同情をしてしまった。
そこは地獄だった。
魔族達は確かに我々を殺そうとしてたのだろう。
20万の軍勢でやってくると報告を受けてたし、我々も死ぬ覚悟はできた。
だが
だが
これはなんだ・・・・。
ニホンという国はアトランティアからの支援で建国した国だと推察してた。
ちがうちがうちがう
アトランティアでも不可能だ。
ではなんなんだ?ニホンは?
だが・・・・
ニホンという国が味方でよかった。
・・・
・・
・
○○○○
ジャポン皇国 皇都オワリ 天守閣
「オイニ様、アールグレイ様。
ランズ・エンド防衛基地からの報告です。
20万の魔族の軍勢は防衛基地側死者ゼロで殲滅できたそうです。」
ちょうど、オイニとダージリン王国の王女アールグレイが束の間の休息を一緒に過ごしていたところに仕官からの報告だった。
「なんと!?死者ゼロじゃと!?」
「はい、20万の軍勢はニホン国が全部倒してくれたそうです。
それと、ニホンの外交官A様がオイニ様とアールグレイ様に会談の申し出がありますが、いかがしますか?」
ニホン国と国交を結んだ後、皇都内に外交施設を建てるのは現状の治安では厳しいため天守閣内の一室にニホンの外交施設を設けてもらった。ニホンいわく大使館と言うそうじゃ。
後は別に領事館という概念もあるらしい。
外交をするために国交のある国の首都に大使館を設け、外交はやらないが主だった都市に設けるのが領事館とのことじゃが・・
いずれ違いなど詳しく聞いてみようと思う。
話はずれてしまったが、ランズ・エンド防衛依頼を我々がした手前、何かしら要望があれば可能な限り答えないといけないの・・・
「アールグレイよ、外交官Aを呼んでも構わぬか?」
「ええ、構いませんよ。わが国の騎士達が死なずに済みました。感謝しなくてはなりません。仮に何かしらの要望があるのであれば、可能な限り答えたいと思ってます。」
「うむ、仕官よ外交官Aをこの部屋に呼ぶのじゃ」
「承知しました。」
・・・
・・
・
「外交官A様、ダージリン王国王女として感謝を申し上げます。
貴国が助けに来てくれたおかげで、わが国の騎士達が誰も死なずに済みました。
ここ数ヶ月は魔族と交戦するとなると死亡率が非常に高く、魔族の侵攻を遅滞させるのが精一杯でした。
ありがとうございます。」
「いえいえ、困ってる方々の援助をするのがわが国の使命でもありますので、それで本国政府からの皇国とダージリン王国にお願いに参りました。」
来たか・・、なにを要求してくるんじゃろうか?
「ジャポン皇国の皇都オワリの南部方面沿岸近くに未開発の土地があると思いますが、
我が国の飛行機の離着陸のための空港建設のため縦横10kmほどの租借地と滑走路と空港建設の許可
そしてオワリの港で船の出入りがあるところを大型船対応できる改良する許可
もちろん、貴国に対してのインフラ整備も約束通りに行います。
空や海からインフラ整備の物資など運びたくても輸送できる方法が限りなく少ないもので許可をいただければと思います。」
なんと・・・何かしら奴隷を要求などと思ったが、なんも開発してない土地を貸してほしいなら・・
一応大臣達に確認取ってからじゃの。
「うむ、私個人としては許可したいが念のため大臣と話し合った上で結論を出そう。」
「ありがとうございます。そしてダージリン王国のほうですがランズ・エンド防衛基地の拡張の許可をお願いします。
大陸奪還という我が国に対しての貴国等の要望を答えるには、地上部隊である陸上自衛隊を派遣しないといけません。
そのための基地が必要になりますが、現状のランズ・エンドでは満たさないため拡張したいわけです。」
「分かりました許可します。向こうの司令官には私から話をしときます。」
「ありがとうございます。」
いくつかのやり取りを行い、最後に4カ国と会談の予定を取り付けて
今回の会談は終了した。
○○○○
数日後、天守閣の大会議室
「魔族からの侵攻を防いだことに関して、関係国であるダージリン王国の女王として感謝を述べます。」
「フリーダム都市国家の行政長としてまだ名乗ってええのかわからんが、私も犠牲者ゼロで防いだことに感謝します。」
直接関係があるわけではないが、コアラ大陸の人類圏に属する国家としてニホンに対しての一斉の感謝の意だった。
ここずーと負け戦であり、多大な犠牲者を出しつつ防衛をしてるため犠牲者ゼロは他国ながら感激することであった。
「我が国としても、友好的な国が危機にあっているのであれば助けるのも当然ですので」
ニホンはなんと謙虚な国なのか・・だからこそニホンがどういうところなのか知りたいのだ。
そうだ、この前の会談での結果を伝えねば
「外交官A殿よ、先日の会談での皇都オワリの南部方面に関して要望の通り許可しよう。」
更にアールグレイは
「ランズ・エンド防衛基地の拡張に関して私のほうで指示をしましたのでニホン国側からの基地拡張工事は許可します。良しなによろしくおねがいします。」
先日の件はこれにて解決じゃな。
「それでだ外交官A殿よ、貴国の兵器を我が国含めて3カ国に提供してもらえないだろうか?」
オイニの突然の要望、国家元首として祖国防衛のための兵器は気になる。
確かに技術レベルが高いニホンから兵器の輸入を望むことじゃ。
「残念ながら、わが国では技術流出防止法という法が貴国等と国交を結ぶ前にあたって成立しまして
急激な高度な技術を提供することによる提供を受ける国の発展を著しく阻害することを防止するためです。」
高度な技術が発展の阻害?どういうことじゃ?
「どういった意味なのじゃろう?高度な技術を受ければ国家として飛躍的に伸びるんじゃろう?」
「確かに、例えばですが剣や弓の技術を会得して一流の騎士や弓士になったとしましょう。
その方々が一流になるまで、時間と育成費用はどれくらいでしょうか?
それを数人じゃなく数千人や数万人育成するとしたらどれほど時間とお金がかかるのでしょうか?
もし、その一人当たりに対しての時間とお金が10分の1以下になったらどうでしょうか?」
「飛躍的に優秀な兵士が短期間で増えるじゃろうな。」
「そうです、現在は魔族と呼ばれる敵対勢力と対立してるため貴国等は共通の敵に立ち向かってる状況ですが、
その共通の敵がいなくなったらどうでしょう?
次は皆様の国家同士に目がいきます、場合によっては自国の権力闘争などに向かう可能性もあるでしょう。
短期間で大量に優秀な兵士が量産化された状態であればどうでしょう?
予想以上の死者と死者の数による国力低下が起きうる可能性が非常に高いです。
我々はそれを危惧してるのです。
兵士とは国家の暴力装置という認識があります。
国民を守るのは誰でしょうか?それは治安維持の警察やそれに近い国家組織が担当してます。
では軍隊とは何でしょうか?それは国家に対して害する勢力を排除するのが仕事です。
つまり国家に対して害する、自国内でも敵対する勢力があれば軍隊を動かす動機になります。その敷居を下げてしまうことを我々は恐れてます。そのために技術流出防止法ができました。」
なんとも、反論ができんの・・
確かに強大な技術が簡単に手に入れば部下や末端が変な野心を抱き動く可能性もありえる・・
だが、ニホン国から軍事的技術の提供は必要じゃそうでないとランズエンドの防衛は出来ても
本命の南方の防衛が突破されれば意味が無い・・。
更なる反論をしようとした矢先ニホン側から
「それでしたら、我が国に視察で来日をしてみてはどうでしょうか?
もしかしたらいくつか貴国に役立てる可能性はあるかもしれません。
それに我が国としても、皇国からの食料輸入に関して関係省庁の農林水産省は貴国等と対談を求めておりました。
ですので、この会談の機会にどうでしょうか?と我々は提案します。」
その提案は我々として容認できることであり、その会談で決定がされた。
ニホンに向かう使節団としてフリーダム都市国家のジェンダー行政長がリーダーとして残り2カ国は補佐官の貴族達数十名で決まった。フリーダム都市国家以外でもニホンに行きたい姫達は私も含めて多かったが
情勢下において国のトップが他国に行くのは亡命などマイナスイメージに見られる可能性があるためできなかった。
都市国家であれば、市民が長を決める特殊な国家であるためマイナスになりうることはないと思われるのでリーダーとしてジェンダーをリーダーに決めた。
つつがなく会談は終了した。