その3 sideハヤシ・イクサイ
ジャポン皇国 皇都オワリ 冒険者ギルド ジャポン皇国支部
私はジャポン皇国支部長のギルドマスター ハヤシ・イクサイだ
元Sランク冒険者として戦闘力より交渉研究など後方メインであるが外交や国家間の紛争を阻止した実力のある冒険者だ。
その才能をかわれ現在は冒険者ギルドの支部長をやっている
この説明はもういいだろうって思う
さて、ニホン国になる新興国家とジャポン皇国含めた3か国が国交を結んでから
この皇都オワリは凄まじい発展を遂げている
ニホンのキギョウなる商人団体が大勢オワリにやってきたからだ
キギョウから冒険者ギルドに依頼は多かった
だが、ここ最近依頼が閑古鳥が鳴いている
そもそも、冒険者の依頼の主だった魔物退治などは
魔族侵攻でできなくなり皇国から大陸に移りたがらない冒険者が多く事実上無くなった
そして、若手の冒険者も港町エンジョイ防衛で全滅してしまい
今皇国にいる冒険者は冒険者の卵達か少数のAランク以上の冒険者しかいない
そのAランク以上もほとんどが冒険者から軍人に転職してるようだ
給与が良く、魔族の脅威が去って平和で楽な仕事として軍人になったようだ
その原因はまたしてもニホン国だ
更にニホン国は自国の労働派遣カイシャなるキギョウと同じ意味あいの商人集団をオワリに派遣して
冒険者ギルドの真似事をしはじめたのだ
以前、ニホン国の厚生労働省なる官僚にニホン国にギルド支部設置を要請したら断わられた苦い経験がある
あれからオイニ様のご慈悲もあり、ニホン国でギルド支部を設置するにはどうしたらいいのか?
インターネットという魔信の究極発展形や本など読み調べ学んだ
結果として1円でカイシャを設立できるとわかり憤慨した
厚生労働省の官僚はゴールドがこんだけかかると言ってたのに100ゴールドで支部が設立できるではないか!
もしかしたらニホン国に騙された!?
だが秘書から、間違いを指摘された
ニホン国に支部設置に関して秘書も一緒に調べ調査してもらっている
「あくまでもカイシャを設立するだけの資本金が1円で良いのであって、総合的に概算で見たら
ギルド長がニホンの職員から言われた金額相当になります。」
やはり金か・・・
ならいっそのこと私がニホンに行きニホンのトップに直談判すればいいのでは?
確かテンノウ?ナイカクソウリダイジン?というわけのわからない立場の人間に言えば認められるんじゃないか?
回りくどくしてるから、こんなことに・・・
「ギルド長、長が持ち場を長期間離れてニホンに行くなんてダメですからね?ギルドの仕事はどうするんですか?
仕事の最終決定権はギルド長にあってわれわれではできませんからね」
またしても秘書からダメだしを受けた
「だがな秘書よ、私だって辛い立場なんだよ
ギルド本部から早くニホンにギルド支部設置をしろとせかされてるし
このギルド支部の売り上げは下がって全部ニホンのキギョウに奪われるし
解決策は私が直接ニホンに行った方が早いんだよね」
秘書の顔がポカーンとしてて滑稽であった
だが
「はっきりいって、ギルド本部の職員をこっちに来てもらい
今のオワリの実情を本部の職員に見せたほうが早いかと
その上でコアラ大陸を救った英雄ニホン国に対してギルド支部設置の条件が非常に厳しく
冒険者ギルドの真似事をしてるキギョウが存在していることを本部に報告を行い
本部の職員と合同して真似ごとをしてるキギョウに対して是正を促すべきです
我々冒険者ギルドは良い行いをやってる字も書けない方々の受け皿になっているんですから
仮にニホン国のキギョウに無視されたらオイニ様経由で命令させればよろしいかと」
そこが妥当なところだろうな
よし
「その案で行こう、秘書よ魔信にて本部に報告を行い職員の派遣を要請してくれ」
「承知致しました」
それから10日後に本部の職員2名がやってきた
だが、私は驚いた
本部の職員だから受付をやってる若い子かと思ったら
伝説のSランク冒険者にして世界最高のドラゴンスレイヤーである
そして私の友でもある
キング・オブ・エリートとお供のエース・オブ・エースであった
「久しぶりだな、イクサイ」
「お久しぶりでございますイクサイ殿」
相変わらず偉そうぶってるエリートと丁寧な口調のエースだ
「久しぶりです二人とも、まさかあなた達が来てくれるとは予想外だ。
これでギルドの諸問題も解決できそうだ」
「ふむ、魔信の報告で知っていたが・・ニホン国なる存在これは警戒に値するな
10年ぶりのエドワンだが、なんだあの魔獣どもは?亜人族が手なずけておって驚いたぞ」
「確かに、ニホン国は私も聞いたことがない国家ですので新興国家でしょう
このオワリにある機械仕掛けは西方にある列強国アトランティア国に近いものがあります
ですが、アトランティア国で見たのより進んだ機械仕掛けです
外で動いてる自動車やバイクはアトランティア国で同じようなのを見たことがありますが
あれよりはるかに洗練されています
私としても気がかりであり警戒すべき国家だと思います」
「やはり同じ考えでありますか」
さすがは友だ、この国に来てからすぐニホン国に関して警戒すべき国家だと気づいたか
「来てもらって早々に悪いが、冒険者ギルドのマネごとをしてるキギョウなるところに潜入調査を行いたいと思います
本来であれば、部下に行かせるべきでしょうが私が直接目で見て耳で聞かないと実感がわかないためです
秘書よ、ニホンに行くわけじゃないからいいでしょう?」
はぁ~と諦めた声と表情をした秘書を見てガッツポーズを心の中で行いました
「わかりました。ですが長、毎日職場に戻ってくることが条件です
あなたに承認していただけなければならない書類はあるのですから」
「わかっています。これから私達は作戦会議を練るので秘書は通常業務に戻ってください」
「わかりました」
諦めの表情を浮かべつつ秘書は部屋から出ていった
バタンと扉が閉まった後に私は発言した
「今回調査する冒険者ギルドの真似事をしてるキギョウの名は
”バットウィル”
”ユワーワークス”
”いっぱいキャスト”
というキギョウだ
今回はユワーワークスというキギョウを調査する
若手の冒険者やこれから冒険者になろうとしてる卵達がみんな、キギョウに流れてしまった」
「ふむ、そもそもキギョウとはなんだ?」
私はニホン国のキギョウなど知りえる情報を二人に説明した
「なるほど、商会や商店などをニホンなる国はキギョウ、カイシャと言うのですね
独自性のある国家なんでしょうか?興味が出てきました」
「ふむ、面白い
アクティブに動けないのが残念だが、久々にEやDランクがやるような仕事をするのも息抜きにはいいな
なーにギルド本部から今回の件で多額の報酬は確約しているだから問題ない」
二人とも食いつきが良くて良かった
それから調査方法として、ユワーワークスというキギョウの所属になり
・どう冒険者ギルドのマネをしてるかチェック
・賃金体系で冒険者ギルドに不利な条件になってないか
・裏世界や住人や悪逆非道と手を組んだり、幇助してないか
含めていろいろと調査することを決めて
翌日から調査を開始することにした
・・・
・・
・
翌日
ジャポン皇国 皇都オワリ ユワーワークス オワリ営業所
私達はユワーワークスのオワリ営業所にやってきた
中の受付らしき場所に私達は向かった
「いらっしゃいませ、派遣登録の受付希望でしょうか?」
「ハケン登録の受付?とはなんですか?」
「はい、やりたい仕事を選び
その仕事を受けるために仕事先に向かい仕事を行うことです
やりたくない仕事はやらなくて良いなどメリットがあります。
今オワリ営業所では、オープン記念で
各種資格取得費用無償!
社会人マナーの無償学習!
読み書きができない方のための勉強講座無償!
など無償で行っております
なので今登録すると非常にお得です。
登録費用はもちろん無料です、仕事をするために来ていただいてますのでお金を取るのはありえないことです」
「ですが、得体のしれない方も簡単に登録できてしまうのでは?
それですと、仕事先の方が不安になるのでは?」
「はい、本来であればそうですが
今はジャポン皇国に役所が新しく設置されてます
その役所で住民票と印鑑証明書の取得してその2通の書類を派遣登録の際に提出してもらってます
それで身元証明と保証になります」
「住民票?印鑑証明書?とはなんですか?」
「皆様でしたらもしかしたらご存じかもしれませんが
冒険者ギルドという組織がありますが、あそこで冒険者として登録する際の丸い球で情報を登録したりすると思います
それと同じようなものを合理的に実現したと思ってください」
「わかりました、まずはどうしたら登録ができるのでしょうか?」
「はい、住民票と印鑑証明書は持ってますか?無ければ
役所に行って取得してきてください、1通1ゴールドで取得できます
役所の場所はこちらの用紙で見ながら向かってください
2通の書類を取得したらまた御来所をお願いいたします。改めて登録の説明をしたいと思います」
そういって受付から役所までの道のりが描かれた紙を1枚渡された
非常に上質な紙だ、それを簡単に冒険者に渡して平気なんだろうか?
それから、私たちは役所なる場所へ行き住民票と印鑑証明書を取得した
キングとエースは特定の場所に住んでるわけじゃないが、私が今住んでる場所の住所で登録して
住民票と印鑑なるものが無かったため母印で対応可とのことで母印で印鑑証明書を取得して再度ユワーワークスへ向かった
「いらっしゃいませ、取得できたようですね
これから登録説明会を行いますので、隣の部屋に向かってください
そこで説明がありますので説明の指示に従って登録してください」
「わかりました」
私たちは隣の部屋で他の冒険者?達と一緒に説明を受け登録を行った
幸いにも同じ部屋で私達を知ってる冒険者は誰もいなかったことに安堵した
それから最初の1カ月は、なんとユワーワークスが全額負担で
衣食住の用意があった
その1カ月で
・トラックと呼ばれる大量の荷物を一度に運べる乗り物の運転免許証の取得
・フォークリフトなる鉄の魔獣を使役するための運転免許証の取得
・ニホン国の常識を学ぶ
この3つを得ることだ。
途中で逃げだせば違約金が発生して、ジャポン皇国含めた3か国から指名手配される非道な結末が待ってる
厳しいが、仕事を行う前の準備段階で育成は冒険者ギルドにはない。
そもそも初心者育成ということはやらないのだ
結果こそがすべてであって、自己中心的だ
だからこそ暴力的な存在が多いのも事実だが、それで成り立ってたため問題はなかった
だが、ユワーワークスの合理的なシステムには驚いた
キングもエースも自分達の価値観と異なることに茫然としてた
そして1カ月私達3人は学び免許証を取得した
それからユワーワークス経由でハケンの仕事に従事した
とある港の倉庫で仕分け作業の派遣業務を行った
段ボール箱と呼ばれる紙の箱を種類ごとに分けたり
鉄の魔獣・・いやフォークリフトでパレットと呼ばれる板に段ボール箱を大量に載せて、フォークリフトの爪を上下に移動させトラックに段ボール箱を積み込んだり
逆にトラックから荷物を下ろしたりと効率というべき極地を行いつつ作業をより効果的にスピーディーに行った
別の派遣先では
トラックに乗り込んでニホンの様々な企業に荷物を運んだりもした
その際に台車と呼ばれる板に車輪がついてて非常に使い勝手の良いものであった。
なぜ我々はこういう効率的なものを考えつかなかったのかと思った
その他様々な派遣に日々従事した
・・・
・・
・
ジャポン皇国 皇都オワリ 冒険者ギルド ジャポン皇国支部 支部長室
調査が終わり、お互い報告するために集まった
ニホンの冒険者ギルドを真似たキギョウ
冒険者ギルドでは不可能な領域だ。
効率化を極めればここまでできるのか、少数でこれだけのことを行うことが可能なのかと悔しい思いをした
冒険者ギルドと言えば
毎日、受付の近くの仕事依頼の張り紙を見て良さそうなのを見繕って受付に行って受注して冒険開始
結果を出せなかったら違約金を払ったり
成功したら成功報酬を出したり
その冒険者について名前含めたステータスだけ知ってればいいという認識だった
だが、ユワーワークスは違った
「なぁ~イクサイ、ニホンってなにもんだろうな?
こんだけすげー商会は本部にはないぞ・・
報酬の支払いが日払いだったり週払いだったり月払いだったりと選べたり
報酬が美味しい
俺冒険者ギルド辞めて、派遣労働者になろうかって考えてる」
「イクサイ殿、私もキング殿と同意見です
今の冒険者ギルドはダメです。非効率的です。
じゃあ内部から変えればいい?変えたいと思う方がほぼいない環境では無意味ですね・・」
二人からこんな発言がでるとは驚きを隠せない
私も思う、冒険者ギルドって必要なんだろうか?
なら
「それでしたら、今回の経験を生かして
私達3人で新しい冒険者ギルドを立ち上げませんか?
真の意味で冒険者派遣キギョウ
もしくは株式会社冒険者とか
私達がニホン国のマネをしてニホン国に私達冒険者のすばらしさを結果で見せつけてみませんか?
ジャポン皇国支部を独立させるために本部と交渉を行って実現してみせますよ?
このまんまでは、この支部自体売り上げ低迷で廃止になると思いますから」
「「悪くないな(ありませんね)」」
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誠にありがとうございます。
間章は後2~3話ほど行いそれから次の章へ向かいたいと思います。
よろしくお願いいたします。




