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一年の掲示板  作者: 愛徳 曇ヶ
二束目
7/9

第漆枚 another

俺は賓朽(ひんく)(さん)。本来なら大学一年だ。折角だから、思出話をしよう。全てを失ったのは中二の夏。バスケ部でそれなりに頑張っていた。俺を好きな奴を振ってまで好きな奴と付き合い始めて四、五ヶ月が経過。まずは後者から消えた。「正直言って迷惑。楽しくもない。別れて。」俺は立ち尽くすしかなかった。叫びたい衝動にかられながら部活へ。するとそこで待っていたのは弱肉強食の世界だった。「黄田、秋田、お前ら1年やけど試合でるで。」「え、でも先輩14人居るんじゃ…」「あぁそうや。せやから賓朽、お前ベンチ入んな。」「え…」「他の一年と賓朽は最後一週間練習無し。応援には来いよ!以上!」部活終了後、コーチに抗議する。「なんで試合出られないんですか?」「簡単や。下手。それ以外に理由があるか?」「…。」言い返す言葉もなかった。たった2時間の間に、精神が限界まで追い込まれた。それだけではなく、更衣中に何を話しても無視される始末。その後のテストも散々で、友達からは「賓朽も名前通り朽ちたな!」と言われる。その日は丁度集中豪雨にぶち当たり、傘なしの俺は当然ずぶ濡れた。そして横から来るトラックに気づかなかった。右半身に異常な痛みを感じるまでは…。

目が覚めたら白い部屋だった。布団がかかった体は相変わらず痛い。病室に居ると分かった俺はむくりと起き上がり、洗面所に向かう。妙に遠いなと思いつつ、いざたどり着くとドアノブが掴みづらい。というかそんなに遠くない。違和感を覚えつつ、鏡を見た俺は失神しかけた。何せ今の俺には右目が無かった。医者に聞くと、何故か目以外の部分に外傷は見られなかったらしい。俺は直談判した。飾りでもいいから右目を入れてくれと。すると医者はこういった。「どんな副作用がきても知りませんよ。試作段階の人間用機器ですから。」俺は親の許可を取り、覚悟を決めた。手術は案外すぐに終わった。少し首の裏に痛みがあると思ったら、亀裂が入っていた。どうやらこれが副作用で、包帯で隠せるらしかった。

新しい目にも慣れ、退院の日。俺は急に思い立った。俺を潰したのは誰だ!と。答えは簡単。俺を蹴落とし、嘲笑った黄田と秋田。そして俺を振った元彼女、そう左真似。あいつらを潰し返す。そう決めたのだった。

そして今に至る。黄田と秋田、そして左真似の妹が同じ高校にいると分かった。名前も変えた。学年も偽った。高校一年として、4月30日から転入する。事前に配られたクラス表によると、どうやらこの分校一クラスしかないらしい。左真似妹が鹿伊とやらと付き合っているのも分かった。分校というのが良く分からんが、その辺は生活している時に自然と耳に入るだろう。「今日から転校生が来る。丹槻寮に所属する事となった田原遊君だ!」先生の声が教室に響く。「宜しくお願いします。」女子が小さな歓声をあげるがそんなのはどうでもいい。計画には関係ない。いや、少しあるか。ばれそうになったり、いざ行動に移す時は貰った青い眼帯で左目を隠せばいい。何故右目を隠さないのかって?後に教えるさ。何はともあれ、今から俺の学校生活もとい復讐生活が始まる。

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