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第六話
いつもどおりお兄ちゃんに交渉を任せる。
ぼくは人と話すのが苦手だから。
でもお兄ちゃん。レン君の機嫌が良いのは誰でも分かると思うよ?
笑顔もいつもの薄ら寒いものじゃなくて、本心からの、って感じだし。
そういえば、ローズさんは前からあんなに小さかったっけ?
なんか思い出せないなあ。
「ねえ、話聞いてる?」
「もちろん!」
お兄ちゃんの話を聞いていない訳ないじゃん。
「レン君がどこにいるかだよね。レン君には多分もうすぐ会えるんじゃないかな」
「ちゃんと聞いてたね。疑ってごめん」
いいよ。お兄ちゃんだから。
レン君にはすぐ会える。相手が心でも読んでいるのかってぐらい。
でも、距離的にありえないんだよね。




