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第三話
この人は心が読めない。
何故かは分からない。
誤魔化されるから。
「それであれはいったい何なんですか?」
『婚約者をとられる〜、とか思ったんじゃない?』
「信用できないですねえ」
多分嘘ではないんだろうけどさ。
それだけではないよね。
隠したいったいことって何だろう。
うーん。
『お茶持ってきてくれる?』
「了解しました」
あ、メイド服の秘書さんの声だ。
『そういえば、歓迎会の件、何でバラしたんだ?』
「え、何で知っているんですか」
御免。俺がバラしたことをバラした。
言わない約束破ってしまった。
だって学園長ものすごく怖かったんだ。




