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転入
緊張します。
今日からこの学園の生徒なんです。
いろいろあって五月の転入になってしまいましたが、
友達ができるでしょうか。
いじめられないでしょうか。
ああ、こわいです。
「すいません、遅くなりました。案内します」
「あ、よろしくお願いします」
真面目そうな人です。
「僕は灰電 レンです。貴女は?」
「え、ええと赤電 ありすです」
色の名字、ということは貴族ですか⁉︎
それに電がつくということは伯爵でしょうし。
いや私もなんですけどね。
田舎の辺境伯爵家ですから。
他の貴族にほとんど会ったことがないんです。
「どうしたんですか?」
「す、すみません。考えごとをしていて」
い、いけない。ほどほどにしなければ。
「そうなんですか。あ、校舎が見えてきましたよ」




