122/152
第八話
伯爵令嬢
あら?
心なしか田中さんが落ち込んでいるようにみえるわね。どうしたのかしら。
「菫さん、部屋に着きました」
「そうなの?いがいと近いのね」
赤電さんをベッドに横たえておく。
「・・・ねえ、どうやって無詠唱ができるようになったの?」
え、お父様が、できなかったら死刑だよーって言ったからよ。
そりゃあ、あたしだって死ぬ気でやるわ。
でも流石にこんなこと言ったら、アホだって思われるよね。
「死ぬ気でやればこんなこと誰にだってできるわよ」
「そっかあ」
やっぱり落ち込んでいるのかしら?
泣きそうになっているようにみえるけど。
理由は赤電さんが倒れたからかな?




