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30歳から始まる魔法生活  作者: 霧野ミコト
第一章 紐解かれる神話
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第七話 頑張った成果

とりあえず、年内最後の更新です。

呑気な更新で申し訳ないです。

来年もまったり更新の予定ですので、期待しないでお待ちいただけると幸いです。

寝覚めのいい朝だった。


カーテン越しに入る日の光は穏やかで柔らかい。


まずは上半身だけ起こし、そのあとベットから出る。


軽く屈伸運動をしてみるが痛みはない。


どうやら後遺症はないみたいだ。


手早く身支度を済ませると部屋を後にする。


時刻は8時半。


目的地まではそんなに時間はかからない、というよりも目と鼻の先と言ってもいいぐらい近いすぐだ。


石畳を踏みしめていく。


昨日、相当の無茶をしたとは思えないほど身体は軽い。


どうやら昨日帰るときに彼女たちにもらった薬が効いたみたいだ。


体調を整えるだけのものだけど、身体にかける負担は少ないから試してみたらいいと言われ手渡されたんだけど、昨日の疲れだけじゃなくて今までの疲れまでとれたみたいだ。


「到着、と」


目的地に着くと中に入る。


ひんやりとした空気が肌を撫でる。


あらかじめ場所を確認していたから間違えずに来ることは出来たが、いつも利用しているところと違うためか、少し疎外感がある。


今来ているのはヴァルハラ城のそばにあるギルドだ。


そのため、普段使っているホーム傍のギルドとは違い、王城傍のギルドだけあって施設も充実していて休憩施設や簡単な食事を取ったり出来る施設、雑貨や本などを言っている施設なんかも併設されている。


おまけに、まだ朝も早く、開いて間もない時間なのに人の数も多く、受付もそれに合わせて窓口がたくさんおいてある。


「あれ?」


「え?」


不意に見知った顔を見かけた。


こんなところに知り合いなんて居るはずがないと思っていたんだけど不思議なことがあるものだ。


いつものホームのギルドの受付の子だ。


「どうして、こんなところに?」


「ヒイラギさんこそ、どうしてこちらに?」


「依頼でこっちに用事があったんで、それより貴女こそどうしてこちらへ?」


「私はアースガルズ本部のお手伝いです。勅命クエストの時期になるとクエスト参加者が増えてギルドの人手が足りなくなりますから」


「普段はもう少し少なくなるんだ?」


「そうですね。それでも、うちのギルドよりも随分多いですけれどね」


「確かにそうですね」


やはり、この時期が特別ということなんだろう。


人が多くて忙しいといっても、いつもいつもこれほどということはないということか。


「そういえば、ギルドには何の用件でこられたんですか?」


「いや、待ち合わせなんです」


そう言うと頬を掻く。


昨日の帰り際薬をもらうと同時に、ここに9時に来るように言われたのだ。


「お待たせしました」


「早かったんですね」


「あ、こんにちは、ミィーナさん、アイシャさん」


うわさをすれば何とやら。


どうやらその二人が到着したみたいだ。


時計を見てみると、十分前だから彼女たちも随分早い到着だ。


「それじゃあ、さっそく手続きをしよう?」


「すみません、彼のコアクリスタルにある戦績のデータを抽出してください。ランクアップしていますから」


「あ、これです」


受付の彼女に、自分のコアクリスタルを手渡す。


今日ここに来たのは昨日の働きの対価をもらいに来たのだ。


ビギナーランククラスの僕にとってはかなりの戦績をあげたから、かなりの金額の報酬と評価点をもらえる。


「あ、はい、かしこまりました。それでは、データの抽出を始めます」


受け取った彼女は端末に僕のコアクリスタルをセットすると入力していく。


ただ、二人のことが気になるらしくちらちらと見ている。


SS+ランククラスの人なんてほとんどいないから知っているのかもしれない。


基本的にAランククラスまでは普通の人でもなれるが、それから先は人それぞれの能力によって変わってくるので、一生Aクラスの人もいれば彼女たちのようにそれ以上の人もいる。


そして、SSランククラス以上の人は数えるほどしかいなくて、僕が知ってるだけではSSSランククラスのアレックス近衛隊長だけだ。


要するに、目の前にいる彼女たちはトップレベルと言うよりも頂にいる人間で、当然有名人なのだろう。


知っていてもおかしくはないだろう。


「あの、これ、本当に、柊さんの戦績ですか?」


「はい。昨日ユグドラシルの森に行ってきたんです。ほら、僕ダブルエレメンターなんで」


ちなみにダブルエレメンターと言うのは、二つの属性を持つ魔法使いのことだ。


「あの、冗談ですよね?」


「冗談でそんなことは言えませんよ。ユグドラシルの森に行ってちゃんと戦ってきました。まあ、二人に手伝ってもらったというか、あらかた全部やってもらった後に、おいしいとこどりをしただけですけど」


そう言って苦笑するが、目の前にいる彼女は信じられないものを目のあたりにしてるようで、茫然としている。


まあ、僕としても彼女の気持ちには賛成だ。


あんなところ、僕みたいな人間がいけるような場所じゃないし、行ったら最後生きて帰ってこれるところじゃない。


そんなところから生きて帰ってきた挙句、戦果をあげて帰ってきてるわけだ、そうなるのは仕方ないだろう。


「分かりました。とりあえず戦績をポイント換算した結果、ビギナーランククラスからE-ランククラスへと昇格になりました」


「……そ、そんなに昇格するんですか?」


まさかの三段階アップ、というか実質で言えば七段階アップだ。


マイナスとプラス分の分類がついているわけだし。


彼女と同じく、僕も思わず茫然としてしまう。


ランククラスの上がりやすい初期段階でもなかなか上がらないというのに、それを一度のイベントで上げてしまったんだ、そうならないほうがおかしいし、彼女が驚いていた理由を更に理解できた。


「Aランククラスのモンスターを8体。Sランククラスのモンスターを3体。これだけ倒せばそれぐらいはあがります。そもそもマイナス査定があるからそれぐらいですんでるんです。もし、それがなければもっと上がっています」


そう言った彼女は頭を押さえている。


もしかしたら初めての体験なのかもしれない。


まあ普通に考えれば、こんなことになるようなこともないだろうし。


基本的に高いランクラスの魔物がいる場所に低いランククラスの人間は入れないから、ゲームのようにあっという間にレベルアップができないようになっているし。


「とりあえず報酬のほうは、額が額ですので銀行振り込みにさせていただきます」


「どれくらいあるんですか?」


とりあえず、一万プノー位はあってほしい。


それだけあればしばらく生活が楽になりそうだし。


「約四十一万プノーです」


「は?」


思わず固まってしまった。


「ですから四十一万プノーです。明細としては、参加費としての十万プノーとAランククラスのモンスター一体につき二万プノーで、Sランククラスのモンスターが五万プノーです」


そう言ってわざわざ彼女は細かく説明してくれたが理解できなかった。


というよりも、全く状況が把握できていない。


四十万プノーだなんて一か月どころか一年ぐらい楽な生活ができる。


あまりにもの金額に予想外と言うか、困惑するしかない。


「普通はパーティで分けるものですからそういう金額になるんですよ」


「それを今回はアキラさんが一人で手にしますからびっくりするぐらいの金額になるんですよ」


だけど彼女たちの言葉にようやく状況が理解できた。


そう言えば昨日周りで戦っていた人たちはそれぞれパーティを組んで魔物一体と戦っていた。


ユグドラシルをソロで行動するのは、Sランククラス以上ないと難しいと言われているから、その料金設定はおかしくはないんだろう。


Aランククラスがかなりいたわけだし。


「私たちのことなら気にしないでくださいね。私たちは私たちで、これ以上もらったら困るほどの金額をもらっていますから」


「素直にもらっていただけると助かります」


「考えていたことが分かりました?」


『はい』


二人声をそろえて頷く。


どうやら、二人に分けることはできないみたいだ。


この二日で毎度毎度男を下げてしまっているが、どこまで僕は男を下げなくちゃいけないのだろうか。


とりあえずここは素直に受け取っておくしかないだろう。


貯金しておいても困ることはないし、またしばらく実践の練習をしないといけない。


とりあえず身体能力をあげる補助魔法と防御用の結界魔法も覚えないといけない。


「それじゃあ、次に行こう?」


「え?」


とりあえずこれからの予定を考えていたんだけれども、どうやらこれで終わりじゃないみたいだ。


「まあここは黙ってついてきてくれませんか?」


「絶対損はさせないから」


そう言った二人はにこりと笑い僕の腕を掴むと


「それじゃあ、ありがとうございました」


「また、明日もお願いします」


そう言って外へと僕を引きずり出していった。




実は受付の子とホームの主人の名前を決めていなかったりします。

というか、最初に作った設定資料集を紛失してしまいまして困ってます。

珍しくデータじゃなくて紙で作ったのが間違いだったのかなぁ……

あれには相当書き込んでるから、探さないとなぁ、といいつつもう何ヶ月も経っているのに探していない時点でお察しなんですけどね。

時間を見つけて探すか。



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