第四十話 負け犬達の遠吠え <三日目>
~前回のあらすじ~
一回戦敗北。
………………<エーリ>
結果から言おう。
僕とモデは間に合わなかった。二人で洞窟上に向かう途中で、歩いて来るピサスの姿を見て、
『ああ、間に合わなかったんだなぁ』
と、虚無感と絶望が襲いかかったものだ。
今回、僕らを待ち構えていたのは体育委院だった。太った男が院長らしく、モデが毒浴びせて色々聞き出すことができた。
元々体育委院は、ガラの悪い風紀委院が一番権力を持っていることが許せなかったらしい。それで、モデとピサスを監視していた。
確かに、風紀委院の下っ端は風紀を乱していたし、院長のモデがだらしないもんなぁ。
そんな時、太った男宛に巻物が送られた。時間で言うと、二日目――つまり昨日。
差出人は図書委院。内容は、
『司祭院、助祭院の動向を監視すべし』。
太った男は巻物の内容と、最近怪しい風紀委院のトップ二人を見て、待ち伏せ作戦を決行してみることにした。
すると、まんまと僕らがやって来て、探知魔法を行ったというわけだ。
我らが主である法王女の居場所を突き止めようとする行為……謀反に値するからね。
「図書委院は誰か分かる?」
「知っ、知らねぇ! 真面目に知らねぇ! 朝起きて便受け見たら、巻物が入ってたんだ! 差出人のとこに図書委院って書いてあるだけで……。だから誰かは知らねぇ! 本当だ!」
「……嘘は、ついてないみたいだね」
男は、毒による麻痺で体を震わせながら必死に弁明した。
モデの時と同じように、心の巣は既にうってあるから、嘘ではないだろう。嘘は僕にとって不利益に値する。
しかし、嘘じゃないからこそ、僕は頭を抱えた。
これでまた、振り出しに戻った。いや、それ以上に悪い。
体育委院五十人は記憶操作で謀反を有耶無耶にできるからいいが、謎の差出人である図書委院については対処ができない。
もし、図書委院が僕らの謀反を知っているとなると……法王女に伝えられて対処されてしまう。
そもそも図書委院はいつ風紀委院トップ二人が怪しいと睨んでいた? 誰にも悟られるようなことはさせてないはずだが……。
いや、図書委院は実際知らなかったのかもしれない。この太った男の言い分だと、図書委院というより、図書委院の院長である司教院――フィレ先輩の命令で動いたという感じだった。
つまり、フィレ先輩は案外僕らの近くで監視をしている?
いやいや、それはリスクが高すぎるんじゃないか? 僕だったら、法王女の側で部下に指示出しをする。
そもそも、巻物の差出人が図書委院ということを前提にしてはいるが、本当に図書委院なのか? 何か別の、図書委院を騙った奴の仕業じゃ――。
「(ダメだ……全部憶測の域を出ない)」
いくら考えても、閃きはせず、解消のできない疑問しか浮かばなかった。
「なぁ! 俺ぇ、ちゃんと話したから許してくれるよなぁ? なぁっ?」
「……ウチらにあんなことして、許してもらえると思うのかしらぁ? 『ブタ』!」
「ひぎぃ! ッぶひいいいいいいいいいいい!」
「『豚ァ』!」
「ぶひっ、ぶひいいいいいいいいいいい!」
……とりあえず、適切な処理をしてこの場から離れるか。
僕は魔法使い五十人に対し記憶消去を行い、今日のことを思い出した時のために心の巣で口止めをして、その場を去った。
上級・洗脳魔法・『忘れ去りし一日』。対象のその日一日の記憶を全て消し去る魔法。一日分全て消してしまうので、僕があまり好きじゃない魔法だ。
だって、一日分も消したら不審に思われ、相手に余計な勘ぐりを与えてしまうことになる。
何より……寂しいだろ。嬉しいことも、悲しいことも、その一日に感じた思いが、全部消えちゃうなんてさ。
ま、こいつらには慈悲もなく使うけど。
ちなみに、こう言った洗脳系魔法に言えるのは、面倒な発動条件が存在することだ。
『同じ空間にいること』、『無防備であること』、『言葉を理解できること』、『相手が自分に恐怖を覚えること』。
以上の四つを守らない限り、発動はしない。
当てはまるのは、ワードコーティング、心の巣、忘れ去りし一日。
僕が刀を使っていたのは、四つ目の『相手が自分に恐怖を覚えること』を満たすため。謀反ということを知られた以上、記憶消去の手段に頼らざるを得ない。なので、単純に相手へ刃物という恐怖を与えるために刀を使用していたのだ。
効果は思った以上にあったようだ。
記憶を消している最中にモデとした会話が、頭の中で木霊している。
『それにしてもアンタ、結構ザックリやったのね』
『何が?』
『体育委院達を、刀でザックリ切り裂いているじゃない。下手したら死ぬ奴何人かいたわよ?』
『……ああ、本当だ』
『案外、人を切ることに慣れているのね』
人を切ることに慣れている? そんなわけがない。
だって、今日初めて刀で切ったんだぜ? 慣れているわけがないじゃないか。
『そう言えば、ウチの部下二人を問答無用でぶっ飛ばしたって聞いたわよ』
『そんなこともあったっけ。でも、あれはあいつらが悪い』
『そうね。あいつらが悪いことは認める。けど』
『……なんだよ?』
『すぐ手を出したって聞いたわ。アンタ、刀の件といい、人を傷付けることに抵抗ないのね』
なんだよ、その言い方じゃまるで僕が――。
……。
『ウチはいいと思うけどね、暴力。所詮世の中力だし』
『……』
『ただ、暴力振るったのに、人殺しかけてるのに、平然としているアンタが――』
嫌な記憶ってのは、中々忘れられないものだ。頭の中に、黒カビのようにこびりついて落ちやしない。
この会話も、相当引きずりそうだ。
「(アンタが……怖い、か)」
毒ぶち込んで恍惚の笑み浮かべているモデに言われたくはない。ないけどさ。
いつからだろう。この世界に来てからいつ、僕は壊れてしまったのだろうか。自分で言うのもなんだが、元の世界じゃここまで暴力的じゃなかったはずだ。
なんだか、自分の中の悠飛が、暴力的な何かに侵食されてきているようだ。
「……はぁ」
早く忘れてしまいたい。自分に忘れ去りし一日を使おうか迷い、止めたのだった。
「そうか。妨害か……」
場所は移って、カイズブルー城の風紀委院室。真っ白い部屋に、僕とモデとピサスだけ。
「してやられた。もっと周囲に注意しておけばよかったなぁ」
「今更嘆いても遅いわよ?」
「分かってるさ。いっぱい嘆いて、次同じ過ちを繰り返さないよう自己暗示してるんだよ」
「あっそう」
素っ気ない返事をして窓から外を眺めるモデ。つられて見ると、外はもう日が暮れかかっていた。
「これからどうするんだ?」
「どうもこうもないよ。作戦は失敗したんだ」
「明日また探知に行くか?」
「多分無駄だよ。謀反は揉み消したとは言え、図書委院なる者にモデとピサスは警戒されているようだからね。また怪しい動きをしたら、体育委院の次に、別の組織がやって来ると思う」
「……そうか」
はぁ、と溜息が出た。溜息をつくと幸せが逃げる、だなんて言われているが構うものか。今僕に幸せなんて皆無だからな。
どうしようもない。完全なる行き止まり。大きな壁が道を塞いでしまっている。
「何やさぐれてんのよ」
「やさぐれもするさ。これから僕らがしなきゃなんないのは、学園内を地道に散策することなんだから」
「! マジで!?」
「大マジ。それと神帝のメンバーへの聞き込み付き」
「聞き込みもか。何百人といるが?」
「いくらいようと聞き込みするよ。一人一人全力で」
「……むぅ、これは大変そうだな」
僕はだらしなく椅子に座り、いい加減に答えた。その表情はきっと、悲観に溢れている。
モデやピサスも顔を同じようにしかめていた。
「法王女は不明。その一番部下司教院も不明。司教院の部下、図書委院も不明。ねぇ、どうすればいいと思う?」
「う、ウチに聞かれても……」
「ですよね」
とうとう、椅子の座面に頭を乗せ、体を地面に預けたスタイルになってしまう僕。心が完全にへし折れてしまった。
その後、一筋の光も差し込むこともなく、解散となった。
こんな惨めな結果、愛の羽メンバーになんと説明したらよいものか……。
………………<メドナ>
それは、あっという間の出来事でした。
第一夜・異端審問の始まりと共に、火柱が上がったのです。
全部で三つ。わたしから見て、北東に一つ、北西に一つ、西に一つ。三つ共同じタイミングで轟々と激しく燃え上がり、辺りをいっそう強く照らします。
時間にして五秒程度燃え続け、だいたい同じタイミングで消え去りました。会場は再び薄暗くなります。
狼煙、ですね。相手へ自分の位置を知らせる、原始的ですが効果的な手段です。特に異端審問のようなゲームには向いているでしょう。
戦乙女はこの儀式を選び、炎の打ち上げを作戦として、事前に打ち合わせしていたのでしょう。簡易に出来て利益の大きい作戦ですからね。
対して、聖女のわたし達は事前打ち合わせなし。異端審問がどういった内容なのか、誰も知らなかったのです。
「(先手を打たれてしまいましたか……)」
感心している場合ではありません。わたしは冷静に状況を分析し始めました。
狼煙によって、戦乙女は自分達がどこにいるのか分かったことになります。炎は大きな目印です。お互いの位置がよーく分かります。合流するのは時間の問題でしょう。
ここで、わたしがとれる選択肢が三つあります。
一、わたしも、戦乙女の上げた炎の目印へ行き、合流を邪魔する。
二、何か聖女のお二人へ分かるような目印を打ち上げる。
三、似たような炎の魔法を使って惑わす。
一は確実に成果が見えるものですが、そのために戦乙女と戦わなければなりません。ニは聖女のお二人が分かってくれる可能性が低いですが、一よりもリスクが小さいです。三は一番簡単ですが、気を逸らす程度でしか効果はありません。
……躊躇っている場合ではないですね。早速、わたしは選択肢の中から最適なものを選び、動こうとしました。
しかし、
「!? ちょっ!」
動く前に、わたしは動けなくなってしまいました。
何故なら、会場に突っ立っていた魔女達が、一斉に歩き始めたのです。それも、炎の狼煙とは別方向に足並みを揃えております。
その様は、まるで王国の軍隊。
「(こ、これはマズイですね……!)」
非常に宜しくない事態に発展し始めました。この代表者以外の魔女達が一斉に動いたことによって、動いてない――つまり静止していたわたしは逆に目立ってしまいました。同時に、わたしが会場入りしていた魔女ではなく代表者であることがバレてしまいます。しかも、火柱を上げていないので聖女だということも。
恐らく、これも予め命令していたのでしょう。タイミング的には、狼煙の後。
「(最初の狼煙によって、仲間の位置を特定し、次の歩行によって、相手の居場所を特定して妨害する。良くできていますね)」
魔女達は戦乙女の配下でしょうから、命令を聞くのも当然です。わたし達は、最初からアウェーの環境でしたから。
「(それに、ルールでは、代表者以外の魔女達は歩行以外禁ずるでしたが……なるほど。相手に向かって歩き続けて、相手をおしくらまんじゅうのようにしてしまうのは、ルール違反ではないということですか)」
わたしはあっという間に囲まれ、ぎゅうぎゅうに押されて動けなくなってしまいました。
「あ、あの! 通して……くださ、ぃ!」
「「「……」」」
魔女達は何も喋らず、ただひたすらわたしに向かって歩き、体を張って拘束にかかっています。命令に従う忠実な従者のようです。
やむを得ず風魔法・エアロカーテンで壁を作り、自分の周りに魔女を寄せ付けないようにしました。
これで押し込まれるということはなくなりました。急いで――
「しゅうううううううううううううううりょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおう!」
「!?」
え……?
「たった今! 戦乙女が三人揃いました! よって、勝者は戦乙女ですぅ! おめでとーっ!」
「ふうううううううううううう!」「きゃあああああああああ!」「うぃぃぃぃぃぃなぁぁぁぁ!」
「そ、そんな!?」
わたしは、思わず両膝をついて呆然としました。頭が真っ白になるというのは、こういうことなのかもしれないと思いました。
「ふん! 楽勝ね楽勝!」
「だねー。戦うまでもなかったよ」
「……」
確かに、北東の向こうに戦乙女の三人が揃っているのが見えました。
フレンシア様は嬉しそうにウサギ耳を揺らし、ツァーチ様は頭の後ろで腕を組み、ローニャ様は目を瞑って静かに佇んでおりました。
早すぎます。あまりにも早すぎます! 時間にして三分程度、たった三分の間に決着がついてしまいました。
わたしは何をしていました? 火柱に驚き、思考し、魔女達に押され、魔法で区切って……。
たったそれだけです。たったそれだけしかしておりません!
「ん以上で、第一夜を終了といたしますぅ! 会場撤収に移りますので、この場で解散となりま~す!」
「ふむ……見ごたえが何もなかったな。くふふ、残念だ」
「それではまた明後日~! 司会進行は『一週間に一日は誰とも話さない。そんな一日があります……』の蒼海の魔女と!」
「『大いなる邪悪を纏いし、漆黒の宣教師』……暗闇の魔女だ。くふふふ、またな」
呆気にとられている間に、終わってしまいました。
終わって、しまいました。
「悔じい゛でず~っ!」
わたし達は、3人肩を落として部屋に戻ってきました。聖女が普段使用している部屋です。
穏やかで安らかな室内ですが、中に入るわたし達は憂いと悲しみを引き連れて入ったので、中和されてしまいました。
「ぐぬーっ! なんてせっこい策ですか! 魔女だったら堂々かかってくるです!」
道中、ノヴァ様はずっと吠えており、ラージャ様とわたしでなんとか宥めながらここまでやって来たのですが……未だ収まってはおらず。
怒りと情けなさが混じっているようで、地団駄を踏んだかと思いきや、今度は涙ぐみ、感情がコロコロと変わっています。
「ぐすっ……次は勝つですよ……」
「……姫」
ラージャ様が肩を抱き、ノヴァ様を抱きしめます。ノヴァ様はラージャ様のローブの端を力強く握り、シワが出てきてしまう程でした。
そんな光景を見て、わたしはわたしが思っている以上に悔しいのだということに気が付きました。
何故なら、わたしもまた、
「勝ちましょう。次は」
「……もちろんです!」
「ええ」
大事なメイド服に、シワができるほど強く握りしめていたのですから。
……しかしながら、この結果。坊ちゃま達になんて報告したら良いものでしょう……はぁ。
………………<シェーナ>
「「ごめんなさい」」
「そ、そんな謝らないで!」
「でもさ……僕は」「わたしも……」
「いいから! これから頑張ればいいよ、ね?」
夜遅くに、私達はエーリくんの部屋に集まった。愛の羽恒例の報告会&反省会である。
話を聞くと、エーリくんメドナちゃん両方共失敗したらしい。それでかなり落ち込んでいるの。
私としては、私のために行動していること自体が嬉しいから、失敗を責める気なんて一ミリも起きないんだけど。
「正直行き詰まっているよ。何か新たな策を練らないと」
「そうですね。わたしも、何もできずに終わるのは嫌ですから」
「……」
真面目で熱心な二人。これが私のためだと思うと、何か恩を返したい衝動に襲われる。何もしていない自分を責めたくなる。悔しさが溢れてくる。
けど、その気持ちは以前より落ち着いた。エーリくんが、私のことを正しく叱ってくれたから。
――人は人に親切を施した時点で、勝手に満足をしている。
図太く、生きなきゃ。
「そういや、シェーナの方はどうだった?」
「え?」
「ほら、監視人の件さ」
「ああ」
私は、エーリくんに言われて思い出した。今日、クラスメイトが接触してきた回数を記録していたんだったわ。
バックから巻物を取り出し、テーブルに広げてみる。それをエーリくんとメドナちゃんも覗く。
「へぇー。一番話しかけてきたのはリューイか。意外だね」
「ええ。色々魔法について聞きたいらしくて。本当はエーリくんに聞くつもりだったらしいんだけど、いなかったからわたしに……」
「なるほどな」
エーリくんは腕を組み、難しそうな顔をした。きっと、私じゃ想像もつかないくらい思考を巡らせているんだろうな。
本当、五歳児とは思えないわ。
「二番目はケイシー様、三番目はリコプル様、四番目はキリコッテ様……見事にランキング上位陣ですね」
「だな。この中でも怪しい奴は?」
「怪しい……うーん」
私は、今日の昼休み以降のことを思い出そうと、記憶の引き出しをあちこち開けた。
休み時間はケイシーちゃんとリコプルちゃん三人でトイレに行ったり、キリコッテちゃんと学園内のお店について話したり、放課後はリューイくんに勉強を教えたりしたけど。特に印象に残っていることはないわね~。
……そう言えば、
「リューイくんに教えている時、彼はなんだかぎこちなかったわね」
私がそう言うと、エーリくんが食いつき、身を乗り出してきた。
こういう時の彼って、すごく子供っぽい表情をするのよね。なんて言うか、年相応っていう感じ。興味のあることには純粋に真っ直ぐで、それ以外だと冷静に構えていると言えばいいのかしら。
「ぎこちない? どんな風に?」
「辺りに目線をウロウロさせるの。後は、妙に緊張した様子だった」
「ふーむ。そりゃ不審だな」
もし、リューイくんが監視のために近づいてきたとすると、あの様子は私に悟られないために緊張していたのかしら?
でも、
「ケイシーちゃんは、ボーッとしている時があったり、リコプルちゃんは、たまに睨んできたり……。キリコッテちゃんは何か悩み事があるらしく、よく溜息をついていたわ」
「不審者だらけじゃないか」
「そうねぇ」
上位四人は、誰もが怪しいところがあるのよねぇ~……。これじゃ誰が監視人かなんて判断ができないわ。
エーリくんは、少し困った顔をしたが、すぐに真剣な顔になった。
「他の人は?」
「ええと……、ヤスラくんはそんな話さなかったわ。カテマくんも同じく。ゲンジくんは……今日も学校休みだったから話してないわね」
「ふむふむ。ゲンジはどうしたんだろうな」
「風邪とお聞きしましたが」
「ちょっと休みすぎだよなー」
ここ数日、ゲンジくんは学校に来ていない。アリア先生が言うには風邪らしいけど、エーリくんが言うように長すぎよね。心配だわ。
もしかしたら、何か事故に巻き込まれたんじゃ? 私のように強引な勧誘を受けたとか? う~ん、分からないわ。
エーリくんも前から気になっていたようで、たまにゲンジくんのことを考えているみたい。
友達だからだろうと思っていたけど、エーリくんは何か別のことを懸念しているっぽい。その内教えてくれるかしら?
「とにかく、その四人は要注意ってことだね。クラスメイトをあんまり疑いたくはないけど……事情が事情だ。間違っていたら後で謝ればいい。シェーナは注意するように」
「うん、分かった」
こうして、話し合いは恙無く終了。解散という流れになったけど……。
「……はぁ」
「参りましたね……」
エーリくんとメドナちゃんは終始元気がなかった。心の底から落ち込んでいるようなの。
「(何か、力になれたらいいのに……)」
私も愛の羽だもの。二人のためにできることはあるはず。きっと!
「(……あっ!)」
ここで、私は一つ思い出した。
前に、エーリくんに叱られた時、言われたことがあった。それを明日果たそう。
「(ふふっ! いいこと思いついちゃったわ~)」
二人の元気を吸い取ったかのように、私はいつもより元気になった。
待ってて二人共! 私が元気にしてあげるから!
………………『ドランソー』
暗い室内に集まっているのは、大人が数人。小さな声で会話を進めている。
「どうやら、水面下で動いているようです」
「……ふむ。そうか」
「で、どうします?」
「もちろん、決まっている。生徒を巻き込むわけにはいかないからな」
「……ええ」
「これは監視会の問題だ。我々で阻止するぞ」
やれやれ、これは大変なことになった――。
・次回、番外編予定




