第二十六話 毒舌娘 <一日目>
・出血表現ありです。
・いつもより文量があります。
~前回のあらすじ~
お城特集!
………………<エーリ>
僕が神帝の総院、風紀委院長のモデ・ミニャーに苦しめられる前に、時間を巻き戻そう。
カイズブルー城を目指し、小道を抜けた先で僕を待っていたのは、二つの塔と、それに挟まれる形で作られた城門だった。城門前には大きく深めなの川が横切っている。
「ちょっと待て坊主。そこで止まれ」
「そうだ、止まれ」
二つの小さな塔の窓から、各々男が身を乗り出して話しかけてきた。その腕には黄色のリングと赤色のリングが光る。騎士学科生と戦士学科生だ。
「ここまで来たっつーことは、坊主は神帝の入隊希望者だな?」
「希望者だな?」
僕から向かって右の塔にいる男が尋ね、左の塔の男が復唱する。仲いいなこの二人。
「まず名前を聞かせてもらおうか」
「もらおうか」
「あ、はい」
僕は戦士学科の赤色リングを装着し、『ケリ・マクル』と名乗った。
この前使った偽名である、コブシデ・ナッグールでもよかったが、魔女の月用の偽名と神帝用の偽名を分けようと考えた。
元の世界での名前、愛羽悠飛。
この世界での名前、エーリ・アルンティーネ。
平民領域での名前、ユーヒ・アイバ。
神帝での名前、ケリ・マクル。
魔女の月での名前、コブシデ・ナッグール。いつの間にか名前が五つになってしまった。これ間違えたら大変なことになるだろうなぁ。気を付けよう。
「ケリ・マクルか。よし、ケリ。これを付けて門を通れ」
「付けて通れ」
「……これは?」
右の塔の男は、服に付けるワッペンを僕に手渡した。
それは手のひらサイズで、五角形のワッペンだった。黒い鳥が羽を広げている様子が描かれている。神帝のシンボルだろうか。
「そのワッペンは神帝の一員を示すワッペンだ。それさえあればこの城門をいつでも通れる。が、なくせば二度と通れない」
「通れない」
「通行証みたいな感じ?」
「そうなるな。ワッペン自体特殊な魔法がかかっている魔法道具でな。他人のものを借りても通れないから注意な」
「注意な」
「分かった」
僕はもらったワッペンを、服の左胸の部分に付けてみた。ワッペンの裏に針が付いていて、楽に装着することができた。うん、なんか気持ちが引き締まった気がするぜ。
それにしても、こんなワッペンが魔法道具ねぇ。元の世界で言う学生証みたいだな。
「これで僕は神帝に入れたの?」
「いや、これからだ。それは神帝の一員を示すものだが、この時点ではただの通行証だ」
「通行証だ」
「そっか」
僕が納得したところで、右の塔の男が塔内へ引っ込み、同じように左の塔の男も引っ込んだ。
なんだろう? と思っていると、
ガゴゴゴゴゴゴゴッッ!
と、耳障りな軋む音をたてながら、目の前の大きな城門がゆっくり下りてきた。
いや、倒れてきた、と表現するのが正しいか。僕の方へ門は倒れてきて、門と交差するように横切る川の上に着陸したのだ。
跳ね橋、と呼ばれるものだろう。またの名を可動橋。通行を制限するための橋で、自由に上げたり下げたりできる。
こうして、強固な城門は人を通す橋となったのだった。
これには思わず感嘆の声が漏れた。
「はぁ~。こういう作りだったのかー」
「右の塔と左の塔にスイッチがあってな。それを両方押すと橋になるのだ。まさに最新の科学だな」
「だな」
「最新……?」
僕は彼らの言葉に首をかしげた。
こんなの、最新ではないだろうに。元の世界じゃ、跳ね橋は中世の頃からあったし、今じゃ城自体観光くらいしか使われていない。
やはり、この世界の科学は異様に遅い。発達が遅すぎるんだ。これも魔法の影響としか考えられないけど。
っと、今は考えている場合じゃないな。
「さぁ、通れ希望者よ。これからちょっとした入隊試験があるから、詳しいことは向こうにいる人に聞け」
「聞け」
「了解っす」
二人の門番に許しをもらい、僕は悠々と橋を渡った。
橋を通り過ぎる瞬間、左の塔にいた男が小さな声で、
「気を付けて」
と呟いたことを、僕は聞き逃さなかった。
城門の向こうにはすぐ城内となる。以外にも城内は明るく、窓から光が届いてきて幻想的だった。
ここはホールとでも呼べばいいのだろうか。縦にも横にも奥行があって、広い空間だ。
広さの原因はもう一つ。二階が吹き抜けになっており、一階を見下ろせるギャラリーがあった。見物席みたいで、このホールを使った何か行事があるのではないかと推測できる。
ホール自体、床一面に真っ赤なカーペットが敷かれており、天井にはキャンドルがぶら下がっている。壁にはよく磨がれた長剣が幾つも飾られ、側に鎧がセットとして並んでいる。
まさに西洋の城。宮殿だ。
そして、ここでも目にすることになるのが、ワッペンと同じ絵だ。正面に堂々と飾られている。きっと、この鳥の絵が神帝の印章なのだろう。
「おー、新入りか」
「よく来たよく来た!」
僕がキョロキョロ眺めていると、暇そうに壁へ寄りかかっていた二人組がやって来た。フランクに手まで振って駆け寄る。
見た感じ、ワーグ族とハーピー族だね。多分ネズミがベースのワーグ族だろう。まん丸のお耳がとてもチャーミングだ。
ハーピー族の方は……オウム、かな? おめめとくちばしが小さく、常に首を斜めにしている。あとフクロウかもしれない。
「そうだけど……良く新入りだって分かったね」
「そんな物珍しそうに見ていたら分かるって」
「そうそう」
ネズミの人が笑いながら、僕の肩を軽く叩く。ハーピー族の人は、羽をバサバサ動かして羽を散らかした。
これは……歓迎されているととっても構わないのかな? ハーピー族の人は正直何やっているのか理解できないけれども。あと何がベースかも分からない。
「もう少しで選挙だから、このタイミングでの入隊はありがたいぜマジで。なぁ?」
「うんうん。貴重貴重」
「そっかー」
歓迎されているみたいだ。これは良かった。スパイ活動もしやすいってもんだ。
「俺らの忠実な手下が、増えるってことだからよォ」
「下僕下僕!」
……前言撤回。これは歓迎されているようだけど、僕の望む歓迎とは違うようだ。
和やかな雰囲気は一気に霧散し、ニヤニヤといやらしく笑う二人が、僕を逃さないよう囲んでいた。
「テメェは今日から俺らの手下だ。俺らに忠誠を誓い、どんなことでも命令に従うんだぜ?」
「いや、あの。入隊試験は?」
「あ? 何言ってんだテメェは。テメェみたいなチビなガキが、偉大な神帝に入れるとか思ってんじゃねーだろうな?」
「身分を弁えろ弁えろ!」
僕を馬鹿にするような顔で、嘲笑う二人組。一応、いい身分なんだけどね僕は。
「じゃあ、これが入隊試験ってわけじゃないんだね?」
「当たり前だろバーカ! テメェみたいなガキは、入る資格すらねーっつの! 神帝に票をいれるだけの存在で十分だ」
「バーカバーカ」
「……(イラッ)」
ちょっとムカついた。いや、かなりムカついた。
どうしてやろうかと考えていると、ふと、ホールの奥で数人が固まっているのが見えた。
皆怯えた表情で、顔にあざを作り、目元を青く腫れさせ、手足を包帯でグルグルに巻き、体を震わせている。明らかに満身創痍だ。彼らの目は、この二人組に向いていた。
「ねぇ、もし僕が手下になるのを断ったら?」
「ああ? そりゃもちろん――」
僕の質問に、ネズミは邪悪な笑みを浮かべ、
「言うこと聞くまで殴るに決まってんじゃねーか」
そう答えた。
よし、殴ろう。
「フンッ!」
「んじゃ、テメェはこれかあぽっぷうっ!」
思いっきり殴った。強化魔法で全身を強化、拳には風を纏わせ、ネズミの顔面をぶん殴った。予備動作なしで、最短最速で、相手の顔面に拳をぶつけたのだ。
ネズミは鼻が折れて血が噴き出し、纏った風によって切り傷が顔中に刻まれる。唇は一瞬で腫れ上がった。
続けて、
「セイッ!」
「!? ッ! っんく、あびぇぇえぇぇぇぇえええ!」
更に、殴った瞬間にエアーブレッドを発動、空気の弾丸をネズミの体に叩き込む。ネズミは無様に後方へ吹っ飛び、
「アバァッッッ!」
正面に飾られていたワッペンに、ベタッ! と張り付いた。ピクピクと、めり込んだ体を動かしているのが遠目に見える。
「……あ、あああ」
僕の隣で、オウムが恐怖に支配されたようで、怯え後ずさりながら僕を見ている。
そんなオウムに、僕はゆっくり近づき、優しく微笑んだ。
「あのワッペン、何か足りなくない? 例えば、オウムの絵とかさぁ?」
「ひっ、ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!」
オウムは盛大に悲鳴を上げて、気絶した。白目を剥いて、口から泡まで出してる。
……やってしまった。暴力に任せて、ぶっ飛ばしてしまった。
後に残ったのは、妙な達成感と淡い寂寥感だった。達成感は目の前のクズ二人をぶっ飛ばしたことで得られたもので、寂寥感は殴る瞬間にシェーナを思い出したのだ。
相手を攻撃するための魔法を一切使わないシェーナ。そのシェーナの泣き叫ぶ姿と必死な声が、脳裏にちらついた。
『なんで争わなければならないの? 魔法は相手を傷つけるためのものなの? 違うでしょ? 皆を幸せにするためのものでしょ? こんなの……こんなのおかしいわ!』
……悪いね、シェーナ。僕はシェーナのように、他人を攻撃できない――しないわけじゃないんだ。
身に降りかかる火の粉は全て払うし、中途半端な正義感に従って、自分にとっての悪というものを叩くこともある。今の二人組のような、理不尽に他人を害する悪を、僕は許せない。
自分を正当化するつもりはないし、魔法による暴力はダメだと理解している。けど……けど、僕は――。
シェーナみたいな聖母には、なれないよ。
「はぁ……ゴメンな」
どうしようもない罪悪感に襲われた僕は、その場から静かに退散した。
城内の廊下を歩いていると、後ろから話しかけられた。
「あ、あの!」
「……ん?」
振り返ると、数人の男女が僕を羨望の目で見ていた。良く見ると、さっきホールで集まって震えていた人達だ。
その中で、一番背の高い少年が話しかけてきた。その姿は全身傷だらけで、見ていて痛々しい。
「きみ、強いんだね!」
「そうかな。そうでもないよ」
「いやいや、すごいよ! 相手は風紀委院だったのに!」
「風紀委院?」
少年の口から、聞いたことのある言葉が放たれた。
風紀委『員』? いや、風紀委『院』だって? あるのかこの異世界にも。
元の世界では、風紀委員は漫画やアニメでよくある委員会の一つだった。何故か恐ろしく権力を持つ生徒会並に、学校の治安を守るものとして結構な権力を持っていたりして。現実では、風紀委員なんて存在している学校が珍しいくらいだったけどね。
僕が思案していると、少年は僕が知らなくて困っていると捉えたらしく、詳しく説明をしてくれた。
「この神帝という組織は、法王女擁する総院というトップ集団の下に、役割を持った組織が幾つもの存在するんだ」
「例えば?」
「さっきの二人組が入っていた風紀委院。風紀委院は神帝内の秩序を守り、運営会になったら学園内の治安も守るようになるんだ」
「さっきの二人は守ってるように見えなかったけどね」
「……そうだね。残念ながら」
僕らはお互いに溜息をついた。現実は、非常なものだね。
「他には、単なる戦闘員としての『体育委院』。後始末や不祥事揉み消しを行う『美化委院』。神帝内の組織に作戦や指示を出す『放送委院』。情報収集・管理を行う『図書委院』。医療のエキスパートの集まりである『保健委院』などなど」
「……」
絶句した。
え、何その組織達は。全部聞いたことあるんですが。もしかして僕は転生なんてしていなくて、ここは異世界なんかじゃなく元の世界だったりするのかな? いやいや、でも魔法ってなんだよ。
ダメだ、ちょっと混乱してきた。冷静になろう。
僕は自分の太ももをつねって痛みを感じた。痛みを感じるってことは、この世界で生きている証拠だ!
……多分ね。
「そういった色々な組織の長の集まりが、総院となるんだ」
「なるほど。つまり風紀委員長とか体育委員長なんかが入っているわけだね」
「そうだね。全部で十の組織の委院長達が集まっているんだ」
「へぇー」
ますます生徒会をイメージしてしまう。しかし、これ以上考えても答えは出ない。
うん、もう気にしないことにしよう。広大な海のように、全てを受け入れようじゃないか。
「分かった。ありがとね」
「いや、どういたしまして」
お礼を言われたからか、少年は照れながら頭をかいた。普段ならそんな動作の一つ一つが微笑ましいのだが、包帯や青あざが見るに耐えない。
ダメだ、無視できない。
「ちょっと皆、横一列に並んで」
「えっ?」
僕の突然の指示に、戸惑う彼ら。中には、何故かひきつった顔をしている者もいる。
ああ、きっと彼らはあの二人に、横一列に並ばされて何かされたんだろうな。それを思い出して顔をひきつらせているのか。
……もう一発くらい、殴ればよかったな。
「大丈夫だよ。危害は加えない」
「っ! あ、う」
僕より小さい体格――小人族の少年に、僕は優しく話しかけた。この子が一番辛そうな表情だったので、少しでも緩和しようと話しかけてみた。少年は泣きそうになりながらも、列に並んでくれた。
こうして、全部で六人が、横並びになった。よし、久しぶりにやるか。
僕は魔法陣を思い浮かべ、家宝の指輪に魔力を通し、魔法を展開させた。
「ヒーリング!」
六人の体を、赤い光が包み込む。赤は治療中のサイン。これが青く光れば治療終了だ。
初めて多人数に施す治癒魔法。魔力に関しては問題ないが、操作はちょっとおぼつかない。できるだけ均等に癒していく。
「う、うわぁ! なんだコレ!」
「きゃあ! 怖い! 怖い!」
「赤くなっちゃったぁ!」
ヒーリングをかけてあげているのに、悲鳴があがるってどういう事態だよ。何も説明していない僕が悪いけどさ。
「う、動いちゃダメだよ皆」
けれども、左右にフラフラとはしているが、隊列が乱れることはなかった。一番怯えていた小人族の子が、皆を勇気づけていたからだ。
ちょっと、心が温まった僕。
数分後、体が青く光り始めた。どうやら治癒は完了したようだ。
僕は徐ろに、目の前にいた少女の肩に手を置いた。包帯の巻かれた右肩である。
「! い、痛ッ! ……あ、あれ? 痛くない」
「ほ、本当に?」
「マジかよ」
少女の反応を見て、周囲の少年少女も、自身の怪我している場所を恐る恐る触れていた。そして、痛くないことを知ると、満面の笑みを浮かべた。
「い、痛くない! 痛くないよ!」
「なんで! すげーっ!」
キャッキャとはしゃぐ彼らを見て、魔法で幸せを与えるってこういうことなのかな、と漠然に思った。
「よし、次はキュアかけるから、また並んでくれない?」
「傷はもう治ったよ?」
「今度は中の傷を癒すんだ」
「ふーん。分かった!」
ヒーリングを見て、僕を信じてもいいと思ったのか、彼らは素直に、再び列を作ってくれた。
幸せを与え、僕も幸せをもらう。うん、やっぱり幸せの魔法って、こういうことなのかもしれないね。
その後は、手際よくキュアを全体にかけ、彼らの傷をできうる範囲で回復させた。多人数への治癒・治療魔法……いい経験になった。
「ありがとう!」
「ありがと」
「ありがとうございます!」
報酬として、子供達の笑顔と感謝の言葉をもらった。これ以上のない成果だった。
さて、これからどうするか。話によると、総院は各委院の代表だ。そんな総院の代表が法王女となるのだろうけど。
法王女に接近するには、総院に接触する必要があるんだけど……。
「あ、あの」
「お、何かな」
一番背の高い少年が、僕に話しかけてきた。そう言えば、最初に話しかけてきたのもこの少年だったか。
「神帝に入りたいんだよね、きみ」
「うん、そうだけど」
「なら、総院の会議の時に紹介してあげよっか?」
「!? ええっ!」
僕は思わず、少年の顔を凝視した。少年は頬をかきながら、
「実はおれ、音楽委院長なんだ」
そうカミングアウトしたのだった。
夕方である。季節は冬なので、日が落ち始めるのが早い。さっきまで燦々と輝いていた太陽が見る影もない。
僕は音楽委院長に連れられ、廊下を歩いていた。
「あの風紀委院二人は、入隊希望者を手下にしていじめることが、昔からよくあったらしいんだ。ただ、そのこと上手く周囲に隠していたんだ」
廊下の途中、二階への階段が現れ、上っていく。
「今日、おれがたまたまホールにやって来たら、彼らが暴力を受けていてね。助けようとしたんだけど……」
「返り討ちにあっちゃったと?」
「うん、恥ずかしながら」
二階はたくさん椅子が並んだギャラリーだ。一階の様子がよく見える。
「暴力に飽きて、次何しようか企んでいるところに、きみがやって来たんだ」
「なるほど。あいつらにしちゃ、新しい獲物が来たって思っただろうねー」
「そうだね。まさか獲物に逆に食われるとは思ってなかったと思うよ」
二階はギャラリーが二箇所にあり、それ以外は廊下だ。廊下はつながった一本の線みたいで、ぐるっと一周することができる。その間に、窓から外の景色を見ることができ、それはもう美しい景観が拝めるという。
しかし、今回は一周しないで、廊下の途中にある三階への階段を上った。
「本来、入隊試験は『管理委院』の仕事なんだけど、今日はちょっと留守でね」
「ふーん。こんな時に留守なんだ」
「管理委院は神帝に所属する生徒を管理する仕事が主なんだけど、つい昨日、間諜が紛れ込んでいたんだって」
「! へ、へぇ。要するにスパイね」
「うん、スパイだね。それで責任問題とか問われてゴタゴタしていて、留守なんだ」
「そーなんだ」
音楽委院長に見つからないよう、額の冷や汗を拭った。
スパイの僕にスパイの話をするとは……中々やるじゃないか。
階段を上りきると、たくさんの部屋が並んでいたのが目に入った。三階は各委院の専用部屋があるようだ。体育委院、美化委院、保健委院……。部屋の名前を示すプレートが目をひく。
「だからおれが管理委院の代わりに、きみを推薦してあげるよ。委院長権限でね」
「いいの?」
「いいよいいよ。恩人だし、きみの実力と知能ならどの組織でも活躍できそうだし、何より……」
「何より?」
部屋がどんどん通り過ぎていって、やがて一つの部屋の前に着いた。
総院、の二文字が、掲げられている。最奥の部屋だ。
「きみは、正義の心を持っている」
音楽委院長の言葉と共に、扉がゆっくりと開かれた。
視界に、部屋の全貌が入ってくる。
「……うっはぁ~」
第一声は、なんとも情けない声だった。感嘆と驚愕が混じったような感じだ。
「どう?」
「いや、すごいねこりゃ」
「だよね」
僕と音楽委院長は、二人並んでボーッと眺めた。
金、である。部屋の中金ピカだった。
部屋の中央に大きい丸テーブルがあるのだが、まずこれが金色。次に、テーブルに合わせて囲むように置かれた十個の椅子が金色。
まだまだ行くぜ。入口から見て左右の両壁が金、床が金、天井が金。トリプルゴールド。
小物が置かれた棚が金、小物も金、鏡も……いや、鏡は普通か。
とにかく、金閣寺よろしく部屋の中は金そのものだった。
「随分とまぁ、豪勢だねぇ。何故こうなったし」
「どうやら昔、ここに住んでいた魔法使いが、『金魔法』で金色に改造したみたいで」
「それが今まで残っていたというわけか」
「そうだね。せっかくだから総院の部屋として使おうと」
そりゃまぁ、こんなに煌びやかな部屋があるんだったら、使うわな。僕は勿体ないから使わないけど。
おどおどしながら中に入った。音楽委院長は誰か他の人を捜していたようだが、色々見ながら歩き回ってみても部屋の中には誰もおらず、輝かしい金だけが寂しく光っていた。
「うーん、誰もいないようだね。ここなら風紀委院長がいると思ったのに」
「? なんで風紀委院長?」
「管理委院の次に、神帝の生徒について権限を持っているのが風紀委院なんだ。こういう事態に備えてね」
音楽委院長は空笑いをしていた。まさか本当にそういう事態になるとは、といった感じか。
それにしても、一体どこのバカが、スパイとして神帝に忍び込んでバレたんだか。これから忍び込む僕がちょっとキツくなったじゃん。
僕が黙っていると、音楽委院長は僕が入れなくて不満だと捉えたらしく、慌て始めた。
「ご、ごめんね! 普段あの人、この部屋にいるのに……なんで今日に限って」
「いや、別に謝らなくてもいいけど」
「ちょっと待ってて。風紀委院長呼んでくるよ」
「あ、うん。分かったけど」
「ゴメンね、すぐ連れてくるから!」
申し訳なさそうな顔をして、両手をくっつけてゴメンと謝った。そして風のように走って行った。
そこまで急がなくてもいいのに。なんかこっちが申し訳ないんだが。
「……」
キラキラした金ピカ部屋と、残された僕。なんだろうこのどうしようもない寂しさは。
とりあえず、暇つぶしにもう一度見て回るか。そう考え、僕は部屋の中を歩き始めた。
やっぱり一つ一つが金でできている。純金、とでも言うのだろうか。一切の濁りがない金だった。
金魔法。応用魔法の一つで、十二属性の一つ。基礎魔法の火魔法と土魔法を組み合わせて生じさせる魔法で、金属を生み出す魔法だ。剣や盾等の武器の材料に使え、上手く使えば武器そのものを生み出せるようになるのが、金魔法だ。
「(……試しに作ってみるか)」
手持ち無沙汰な僕は、金魔法で剣を作ってみることにした。
思い浮かべる魔法陣は、中級・金魔法・『ソードメーカー』。指輪に意識を向け、魔力をゆっくり流し込んだ。
この魔法に必要なのは想像力。自身の想像した剣が、そのまま権限する。そのため、僕は事細かく形状を考える。
剣……何が一番カッコイイだろうか。レイピア? クレイモア? ダガー? ソードブレイカーもいいねぇ。
うん、どれもカッコイイだろうけど、日本人だったらやっぱり――。
右手に、少しずつ創造されていく。ジワジワと、まるで紙に染み込む水のように、下からできていく。
たくさん集中力を使うためか、汗が額に浮かび、耳がほんのり赤くなる。それでも僕は、剣を想像し続ける。他所に気を使わず、ただ一心に。
数分後、僕の手のひらには、一本の刀が出来上がっていた。
緩やかなカーブを描いた刀身に、手にひらにフィットして持ちやすい柄、固くて鈍器にもなりそうな鞘と、僕の考えた最強の日本刀が、完成した。
現実じゃこうも簡単に作り出すことなんてできないだろう。まさに魔法様様だ。
試しに、軽く振ってみる。重さを感じさせぬ動きで、空を軽々と切った。うん、これは充分実用的だ。
一通り素振りしてみて満足し、刀身を鞘に収めた。しかし、腰に付けるわけにもいかずに、初級・空間魔法・『アイテムポケット』を使って、目の前の空間に穴を作って刀をしまった。
アイテムポケットは自分だけが干渉できる空間を作り、そこへ物をしまいこめるという魔法だ。
うん、なんか……魔法ってやっぱズルいわ。インチキだわこんなん。
「はぁ……」
ひと呼吸し、近くの金ピカ椅子に座った。そして思った。
なんで僕、刀作ったんだっけ?
「満足したの?」
「!?」
刀を作ることになったきっかけを考えようとしたところに、突如声をかけられた。
今まで気配一つしなかったこの空間に、人がいたのだ。
一体、いつからいた?
「アンタ、何してんの?」
「あ、いや。ちょっと人を待っていて」
「嘘ね。嘘嘘」
そいつは女だった。紫色の髪を内側にカールさせ、整った顔筋に冷たい目をしている。全体的にきっちりした服を着ている。まだ幼いが、将来は美人さんになるだろうことが予想できる。
「いやいや、本当に人を待っていてるんだけど」
「人を待っている人が、剣なんて作るの?」
「そ、それは暇つぶしに」
「あんな熱心に暇つぶししていたの?」
「むぐぐ……」
痛い。非常に痛いところを見られていたようだ。魔法に集中し過ぎて、女に気付けなかったのか。痛恨のミスだ。
女の目はどこまでも冷たい。完全に僕へ敵意を向けている。
いざとなったらこの女の記憶を消すしかないか、そんなことを企てていたところだった。
なんでもできるという油断が、地獄を招いた。
「アンタみたいな『クソガキ』、嫌いなのよね」
「嫌いって、そんなこ……と……うっ! かはッ!」
女の言葉に反論しようとしたところだった。突如、息が詰まり、体が熱くなってきた。
それと共に、痛みが、全身を蝕み始める。じくじくと何か刃物で刺されたような痛みが、広がっていく。
「が、い、痛ぁ! ぐぅぅぁ!」
「アハハ! いいわねその声。もっと聞かせてよ」
僕は痛みで立っていることもできず、床へうずくまった。
それに合わせて女は、僕の側にしゃがんで小さく呟く。
「この、『小便臭ぇチビ』が」
「!? あ、あああああああああああッッッ!」
声が聞こえた途端、全身を襲う刺激は激痛へと変わっていた。
叫ばずにはいられない。叫んで叫んで、意識を逸らさなければ痛みを感じてしまう!
クソッ! こんな状況じゃ、魔法陣なんて考えられねぇっ! 集中が乱れる!
僕が必死に痛みに耐えていると、女が薄く笑った。
「ウチはモデ・ミニャー。神帝で総院の一人。風紀委院長よ」
「くぅっ! お、お前が、風紀、委院……あっ、ぎいいいいいいい!」
「あんま喋んない方がいいわよ」
うっとりした顔で、僕の痛がる様子を見ている女――モデ。こいつ、間違いなくドSだ!
なんなんだこれ! なんの魔法だ? いつだ? いつ魔法で攻撃された?
……言葉か? あの悪口か?
かっ、がああああああああ! ダメだ、考えがまとまんない! 痛くて痛くて痛くて!
ジタバタもがく僕を見て、モデは言った。
「ウチの異名は、『毒舌』よ。どう? ウチのとっておきの毒は?」
僕が何か言う前に、モデは再び暴言をはいた。それを聞いた時、僕は今までより強烈な痛みに襲われたのだった。
目の前には相変わらずモデがいる。楽しそうな顔で、椅子に座っている。
僕はと言うと、思考が痛みで常に乱され、芋虫のように地面を転げまわっている。
「さて、アンタには聞きたいことがいーっぱいあるから、正直に答えてね? じゃないと……」
そう言ってモデはニヤリと笑って、
「致死性の毒、ぶち込むから。『ホラ吹き坊主』が」
「!? ッッッ!!!」
声にならない痛みが、ガンガン襲いかかる。
これまでモデの攻撃をくらって、さすがの僕も魔法の正体に気が付いた。
こいつの魔法は毒魔法で、きっと言葉に毒を含めて僕に浴びせたのだろう。まさに毒舌、というやつだ。
ビリビリして震える体を抱きながら、魔法陣を必死に思い描こうとするが、
「(くぅッ! 陣がブレて……正確に、作れない!)」
集中して思い浮かべようとすると、どうしても痛みが響いてきてイメージが歪む。
魔法が、使えない。
「あぁん、いいわねアンタの顔。子供とは思えない程凛々しくて、男臭さがある叫びね」
「う、うるせぇ……」
「あら、まだ耐えるのね」
プルプル震えながらだが、僕はゆっくり立ち上がった。生まれたての小鹿みたいに、足腰が頼りない。
「そんな無理して立ち上がらなくてもいいのに」
「屈するわけには、いかないから……ッ!」
「……へぇ」
面白そうな顔を浮かべるモデ。どう料理しようか、そんな気分で僕を見ているようだ。
僕は僕で、この状況を乗り切るための方法を簡単に考えた。だから無理して、モデの前に立ち上がった。
アイテムポケットという魔法は、実は言葉一つで展開できる。それを使い、さっき作った刀を出して、こいつを切ろうと考えた。
雑だ。かなり雑な作戦だ。痛すぎて、思考までも麻痺してやがる。
でも、やるしか……やるしかないだろ!
「ぁ、お、おおお――」
「『調子のってんじゃないわよ』」
「おおお! ぉッ!」
「アハハ! 今何しようとしたの?」
全身を鋭い痛みが走る。僕という個体の全て、隅から隅まで漏れなく全部が痛い。まるで雷にでも撃たれたような衝撃が襲う。
「あ、くぅっ! ああああああああ!」
「……」
焼けるような激痛が体の内側を縦横無尽に暴れまわる。今まで生きてきて経験したことのない刺激。まるで全身炎に包まれた蛇が血管内を泳いでいるような、そんな錯覚さえ感じてしまう。
「どう? 立っているのもキツいでしょ?」
「そんにゃ、ことはぁ」
「アハハ! 『そんにゃ』だって。呂律回ってないじゃない!」
目の前の女が楽しそうに笑う。対して僕は体が震え、立っているのもやっとだ。
まさに、俎板の鯉とはこのとこだ。
「さてと、もうちょっと遊びましょうか」
「……う、く」
何もできずにいる僕を前に、女はゆっくり歩み寄る。
呂律さえ回らない今、どうやってこの状況を乗り切れと言うんだ!
僕は久しぶりに、恐怖した。赤ん坊の頃、ブラックドラゴンと出会った時の恐怖を思い出した。
死ぬ。死んじゃう。死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ。
あ、あああああああ! 痛い痛い痛い痛いっつーのおおおおおお!!!!!!!!!!!
その時だった。
ドガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!
と、天井をぶち抜いて何かが落ちた。
それは目に見えないもので、何か巨大なもので、大きな丸テーブルをぶっ壊した。
それだけに留まらず、二階の廊下もぶっ壊し、一階のホールもぶっ壊した。あらゆる物を壊していった。
わずか数秒。何かが落ちたところには、何も残ってはいなかった。
「……は? え、何これ?」
呆然とするモデ。僕も、目の前の光景に呆けた。
その間、痛みも忘れて。
「……オープン」
「! あ! ぐふぅ!」
僕は刀を呼び戻し、鞘に収まったままで思いっきり振った。吸い込まれるように、モデの腹へ叩きつけられる。
モデは体をくの字に曲げて吹っ飛び、そのままさっき空いた穴へ落ちていった。
助ける気も起きず、追いかける気も起きず、僕はその場へへたり込んだ。
危なかった。本当に危なかった。死ぬかと思った。涙が出る程――いや、出ない程痛かった。
荒い呼吸を整え、汗を拭った頃には、毒が抜けて痛みがなくなり、魔法が使えるようになっていた。それと同時に、思考力も回復していった。
あの現象、どうみてもあれは……翼竜落としだよな。はは、ブラックドラゴンとの対決を思い出した時、無意識下で一緒に魔法陣を浮かべたようだ。多分、そんな感じだろう。何故翼竜落としが発動したのかよく分からない。
とにかく、助かった。ただそれだけだと思った。
「よお、クソ女」
「あら、『クソガキ』」
「悪いけど、それは対策済みだよ」
あの後、慌ててやって来た音楽委院長と合流し、一階まで下りてきた。
すると、モデは全身骨折しながらも、しぶとく生きていた。
毒対策で中級・毒魔法・『ポイズンバース』を発動させておいてよかった。これは毒に対し、逆に体内で同じ毒を作って毒同士混ぜてしまい、両方の毒を無害にしてしまう魔法だ。以毒制毒。毒をもって毒を制す、というやつだ。
「音楽委院長と一緒にいるってことは……待ち人はホントだったのね」
「ああ。そうだよ」
「酷いよモデさん! 入隊希望者に毒浴びせるなんて!」
「……悪かったわよ」
モデは倒れた柱の上で、仰向けに倒れて動けないようだ。たまに指先をピクピク動かしている。
「この子が優秀だったからいいものの……あんなことしたら毒死しちゃうよ! ちゃんと反省して!」
「分かってるわよ。反省してるわ。それよりも」
「謝って」
「後で謝るから、今は――」
「謝って!」
「……分かったわよ」
はぁ、とモデはぎこちなく溜息をついて、僕を見上げた。
「『死ね』」
「お前が死ね」
僕らは互いに暴言をはきあった。性根の腐った女だな、コイツ。
音楽委院長は呆れた顔でモデを見ていた。やがて諦めたような顔をし、首を横に振った。
「はぁ、もういい。風紀委院副長に頼もう」
「可能なの?」
「うん。彼なら誠実だし、ちゃんと話聞いてくれるよ」
「分かった」
副長か。音楽委院長が言うんだ、きっといい人なのだろう。期待大だ。
僕らはその場から去ろうとした。
「ま、待ちなさいよ!」
すると、モデは必死な声を上げた。骨が折れているのに無理して声を出したからか、その表情が苦痛に歪んでいる。
「じょ、冗談よ。ちゃんと謝るから、ウチをヒーリングして!」
ブルブルと震えながら、情けなく呻いている。
そんなモデを見て、音楽委院長は僕を見た。
「……だってさ。どうする?」
「うーん、そうだねぇ」
僕はわざと、いやらしく笑った。それを見た音楽委院長は、笑みをこぼしながら、
「あ、それさっきの二人組風紀委院の真似?」
「そう。似てる?」
「ちょっとだけね。あいつらはもっと下衆かったよ」
あはははは、と互いに笑い合う。なんて言うか、僕らは精神的に疲れているのかもしれない。だからこんなくだらないことで笑ってしまうのかも。
そんなのんきな僕らの様子を見て、モデは再び声を荒げた。
「早く、早く治してよ! 全身痛いのよぉ!」
「へぇー、それはいい機会だ。僕はそれ以上に苦しんだからねぇ。他人の痛みを知るチャンスじゃん」
「そ、そんなぁ……」
モデは絶望した顔をしている。涙目になり、血を滲ませた手を小刻みに震わせている。
……いい感じだ。それじゃ、この辺で交渉といきますか。
「ねぇ、治して欲しい?」
「! それはもちろんよ!」
「じゃあ、まず謝ってもらわないとね。勘違いで瀕死にさせたんだからさ」
「ッ! ……わ、分かったわ」
キッ! と僕を睨みつけながら、幾つか涙を零し、モデは唇をパクパクさせ、
「……ご、ご、ごめ、ごめんなさい」
と静かに呟いた。
……ふむ。誠意がまったくないな。僕を射殺そうとしている目だ。こんなのは謝罪とは言わない。
でも、まぁいいか。丁度いいし。
「おー。やればできんじゃん」
「じゃ、じゃあ早くヒーリングを」
「は? 謝れば許してもらえると思ってんの?」
「……え?」
僕は更に悪い顔をした。きっと、人生で今が一番とびっきり下衆い。自信を持って言えるぜ。
「あんな目に合わせてさ、言葉一つで許してもらえると思った? 悪いけど、僕は一生キミを恨むよ」
「そ、そんな! 『嘘つき』!」
「嘘なんてついてないんだけど。そんなに世間は甘くない」
惨めに倒れているモデの側に行ってしゃがみ、間近で顔を見た。
強がっているが、全身を蝕む痛みによって、時折顔を辛そうにしかめる。
そんな彼女の耳元に、僕は口を近づけた。そしてボソボソ呟くように話しかける。
「僕がキミを許すことは一生ないけど、助けてやってもいいよ?」
「くうっ! 何が……ッ! ……また、嘘を!」
「いや、今度は本当さ。とある条件を飲んでくれれば、回復させてあげるよ」
「……ほ、本当に? 本当の本当に?」
「本当さ。わざわざ耳元で話してやってるんだ。ちょっとは察してくれ」
痛みで精神がまともに働かない今、僕は悪魔の囁きの如く語る。
「まず、『キミは僕に逆うな。命令だ』」
「! な、なんで、なんですって」
モデの言葉の先を折って話を続ける。既に洗脳魔法である心の巣が、発動している。僕が強調して言ったことを、彼女は守らざるを得なくなる。
「次だ。『今日あったことは誰にも伝えるな』。あと『これから起こることに関しても伝えるな』。とにかく『僕の不利益になることは何もするな』。分かったかい?」
「な、なな、何よなんなのよ!」
言葉がモデの精神に刷り込まれていく。刻まれていく。
これはまるで、言葉による毒だ。僕の言葉が毒として、彼女の心を、脳を、侵食していく。
よーく味わえばいい。他人に与えた毒の恐ろしさを、その身にね。
「じゃあ最後だ。これで終わりだよ」
そう言って、僕は少しタメを作り、こう言った。
「『法王女について、全て洗いざらい教えろ』」
とびっきりの毒を、ぶち込んでやった。
……ははは。これじゃ僕の方がどう見たって悪役だ。音楽委院長は、僕には正義の心があるとか言っていたけど、これでもそう思うのかな? 思わないよ普通。
だからシェーナ、キミみたいな聖母には、僕はやっぱりなれないや。




