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蒼の旗と紅の旗

蒼の剣士ユータロウと、紅の剣士カオリは再び対峙した。

もっとも、今回は闘いの為でなく、一時的な休戦協定を伝えに。

互いにその事は知っては居たが、それは休戦を最終的に確認するという意味も込めて、この世界の儀礼であった。


晴れた海の上で、睨み合う。


「やっぱあんたって土壇場で怯む意気地無しだったのね」


「昨日は闘いの最中ピーピー泣いてた癖によく言うよ」


ユータロウが言い返すと、香織は黙り込んだ。


波の音が微かに聞こえる。カモメのような鳥の鳴き声が聞こえる。


「で、どうするんだ?結局事態は先延ばしされたに過ぎないし、記憶が持ち越せない事には変わりはない。

危機が去った訳ではないんだからな」

ユータロウは言った。カオリは間を置くと、淡々と言った。


「記憶持ち越しの研究は進んでるし、ある程度の目処はたってるから。


ともかく、蒼の国とは一時的な休戦協定を結んだから、貴方と暫く会えないわね。嬉しいわ」


ユータロウは溜息をついた。

「悪い事に、俺たち二つの国は戦争によって経済を成り立たせてきたんだ。疲弊はしてるが、戦争というのが、経済循環における一種のハブになっている事は変わりない。

残念ながら休戦はそれ程長くは続かないぜ」


「まぁ、研究が成功したら元の世界で真っ先に貴方を殺しますから。

休戦が解除された時は、蒼の国が降伏する時でもあるんじゃ無いのかしら?」


ユータロウは背を向けて去ろうとした。

カオリが何か言おうと口を開く。


「なんだよ紅の剣士」


カオリは目を逸らし、頬を少し染めながら言った。ユータロウはこの世界でそんな顔を見たことがなかったので、驚いた。


「日常世界に戻る前に睡眠薬を呑んだ事と、日常世界でちょっとしか手を出さなかった事はその……。なんというか、あり……じゃなくて……良かったと思ってるわ。

まぁ、キスは別に、アメリカじゃモテてたし、日常茶飯事だったから、別に何とも思ってないし……」


「……よかったな」


ユータロウは溜息をついた。


今度こそ二人は背を向け、それぞれの国へと飛び立った。


カオリも、ユータロウも、それぞれ複雑な、何とも言えない感情を抱きつつ、次第に見えてくる、王宮に翻る蒼紅それぞれの旗を見つめていた。



【fin】

如何だったでしょうか。稚拙な文ですが、読んで下さった方に感謝します。

今後の作者発展の為にも意見や感想、指摘を書いて下さると幸いです。

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