ユータロウと祐太郎
先ほどまで殺し合ってたということを知る筈もなく、二人は冷房の効いた香織の部屋に居る。
祐太郎は手を伸ばして、香織服に手をかけた。
「本当にいいのか……?」
「うん……」
祐太郎は目をつぶった。
何だかとても彼女を傷付けて居るような気がして、何とも言えない気持ちになる。
「どうしたの?」
「……」
本当に、良いのだろうか。本当に……。祐太郎は悩んだ。単に自分が臆病なのか、それとも、自分がしようとしていることはやってはいけない事なのだろうか。
「香織ちゃん」
「なに?」
「散歩いこうぜ」
香織は驚いたように顔を見上げた。
「なんかさ、二人とも彼氏彼女になったばかりで浮かれてると思うんだ。
香織の事は勿論大事だし、幸せにしたい。
だから、今日はここまでにしとこう。まだ手すら繋いでないのに、ちょっと急ぎすぎだと思うんだ。
ごめん。でも……」
香織が笑う。
「祐太郎って優しいね。そういうとこ好きだよ。」
「いや、ビビりなだけだよ」
祐太郎も笑った。じゃぁ、外いこっか、と香織はドアに手をかけた時、祐太郎は違和感を感じた。
眩暈がして、頭が凄く重い。視界がボヤけて、今にも倒れそうだ。
そう祐太郎が感じたのも束の間、祐太郎は香織のベットに倒れこみ、スヤスヤと寝息をたて、眠り込んだ。