イエローは国民食に挑戦したい
「みたらし団子は国民的スイーツと言っても過言ではない。老若男女問わず人気があるじゃないか!」
みたらし団子の賛美なら任せてほしいと言わんばかりのイエロー。
「確かに、伝統的な和菓子だな」
うむ、と頷くレッド。
「材料がシンプルだから、家庭でも作りやすいしね」
親子で一緒に作るのにもいい、とピンク。
「スーパーなんかでも買えるし、値段も手ごろだからね」
それだけ需要があるんだろう、とブルー。
「それで…」
あくまでにこやかにブラックは続ける。
「これ、どうやって夏祭りで販売するつもりなんですか?」
ブルーの言葉に、全員の視線がテーブルに向けられる。
机の上には、皿に盛りつけられたカレーライス、いや、カレー団子が。
「えぇっと、注文が入ったらカップにみたらし団子を入れてカレーをかける?」
でも美味しかったよ?と言い訳するイエロー。
「あのねぇ。手間とスペースを考えなさいよ。」
カレーを温めておく必要があるでしょう?とピンク。
「それに、汁気のあるものは食べ歩きしにくいしな。」
祭りは食べ歩きが基本だろう?とレッド。
「浴衣の人も多いからな。ルーがはねたり、こぼれたりしたら嫌ですよね?」
あくまでにこやかなブラック。
やっぱり俺のアイディアなんて…といじけ始めるイエロー。
「待って。なんとか出来るかも」
ちょっと時間をくれる?とブルー。
そして夏祭り当日。
「えぇ、何あれ?"夏のみたらし団子 販売してます"だって」
「おにいさーん、私、ノーマルとスパイシー1本ずつ」
「俺、スパイシー2本」
「この、みたらし専用スパイスも1個ください」
「はい、まいどー」
ブルーのとった方法は至ってシンプルだった。
「場所がとられなくて、片手で食べられれば良いんでしょう?」
にんまりした顔でブルーが差し出したものは、瓶に入ったカレー粉。
それもみたらし団子専用にスパイスを調合した、オリジナルのカレー粉だ。
「専門は塩だけど、スパイスの勉強もしてるし、店でも取り扱っているからね」
これなら、ふりかけるだけで良いでしょう?とブルー。
「確かにこれなら手間もかからないし、場所も取らないなぁ。」
なるほど、とレッド。
「アイディアだけは、いつも悪くないのですけどね?」
とにこやかにイエローの傷を抉るブラック。
「そうそう、それにスパイスも売れるからね」
店の宣伝にも余念がないブルー。
翌日から、ブルーの経営する塩とスパイスの専門店・ソルにみたらし専用スパイスが並んだ。
夏祭りで味をしめた主婦たちが、こぞって買い求めたという。
さらにイエローの実家が経営する煎餅と団子の店・米菓屋でも夏のみたらし団子を販売するようになり、売り上げが伸びたのだとか。
めでたしめでたし?