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ここは王国

エメラインはここに来て初めて会った人物だ。何か聞けるかもしれない。とりあえずいろいろと尋ねてみよう。

「あの、ここはどこなのかを教えて下さい。」

「ティンパニーの草原って呼んでるよ。」

的外れな答えに少々がっくりしたが、気を取り直して率直に訊こう。

「私たち、ずっと遠くから来たんです。何もわからなくて……とりあえずこの国の名前を教えて下さ  い。」

私がそう言うとエメラインは笑った。確かに日本にいるときに誰かが「この国の名前は?」なんて訊いてきたら笑ってしまう。


 エメラインはしばらく笑っていたが、私の真剣な表情を見てどうやら答える気になったらしい。

「ここは『ホウプキングダム』。とても幸せだった国だよ。」

エメラインは、私に優しく笑いかけた。

 ホウプキングダム……良い響きだな。「望む王国」という意味だろうか。


 王国ならこの国は王様が治めているのか。

「この国には王様がいるんですか?」

エメラインは静かに首を振る。

「いや、いるのは傲慢で尊大な女王だ。前は、優しく思いやりのある王様がいたけれど、女王が……な っ何でもない。」

エメラインは最後に何かを言いかけたようだが、触れない方が良い気がして黙っておくことにした。


 ふと横を見ると、横山くんは腕を組み空を見上げていた。横山くんの澄んだ瞳は、まっすぐに空を見ていて青空に吸い込まれてしまいそう。


 考えてみると、ここは「何処」なんだろう。ホウプキングダムは私たちの世界とは結びついていないのかもしれない。第一、ホウプキングダムなんて国は聞いたことがない。エメラインの格好からしても今の時代のどの国にも当てはまりそうにない。


 私と横山くんは異世界に通じる扉を開けてしまったのか……。

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