どこかへ通じる廊下で一人
どうして。どうなっているの。頭の中が真っ白になった。昨日まで壁だったのに、一日で廊下になるなんてありえないよ。
胃がきりきりしてきた・・・。横山くんはこの不可思議な廊下を通ったのだろう。だとすると、私もこの廊下を通らなければ、横山くんを連れ戻すために。
足が小刻みに震えているのが分かった。私ったら何をおびえているの?
私が教室を出てどのくらいだっただろうか。きっと、私と横山くんがいつまでも戻ってこないから森田くんは困っているだろう。
早く横山くんを見つけないと! 私は恐る恐る廊下に足を踏み入れた。この廊下は窓も電気もないのに薄明るい。やはり、普通ではない。
足取りがだんだんと遅くなる。それにしても、この廊下は長すぎる。この学校の敷地はそれほど広くないはずなのに。ますます不安になる・・・。私は異次元にでも入り込んでしまったの? まだ頭の中で整理できていない。
こんな廊下、通るべきではなかったのだ。もし、横山くんがここを通っていなかったら・・・? 私は一人こんなところにさまよいこんで。どうしよう、走って引き返そうか・・・。怖くなって私は後ろを振り返った。
私は地面にひざをついた。私の後ろには暗黒が広がっていた。
ふいに、涙までこぼれ落ちてきた。私はその場でうずくまりしばらく泣いていた。