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黒い影

「え、ニホンの人はみんなブラックの髪なんだ! じゃあ、ミユとカナトは別の村から来たんだね」

 エメラインの言っていることの意味が分からなかった。日本が村ではないと言うのは、説明すると面倒なことになりそうなのでやめておこう。

「カナトの栗毛は生まれつきみたいだし」

 そうなの? 横山くんの髪は普通の人に比べると茶色が濃いと思っていた。でも、特に気にはしなかった。髪を茶色に染めている男子は数人いたから。

「エメライン。彼も私と同じところから来たんですよ。横山くんは染めているんだよね?」

 私が聞いても、横山くんは返事をしない。生まれつき茶髪ってことなの。

「生え際を見れば分かるよ。それにその色は……?」

「黙れ! 俺には事情があるんだ。首を突っ込むな」

 今までに聞いたことがないくらい、低い声だった。横山くんは何者なんだろう。

 横山くん。ここに来てしまう前の廊下で優しく触れてくれた横山くんは本当のあなたではないの? 本当のあなたは「誰」なの?


 沈黙の中、私たちは草原をひたすら歩いた。しばらくして、森が見えてくる。あれがエメラインの住んでいる「ひだまりの森」だろうか。

 突然、遠くから馬の蹄の音が聞こえた。


「あっ! 僕、用事を思い出したんだ。お茶はまた今度にしよう。では」

 エメラインは馬にまたがり、慌ただしく去って行った。まるで、何かから逃げているみたいだ。私はこちらへ向かってくる群れに目を凝らした。

 先頭には真っ白で力強そうな馬に乗っている女性。群青色のマントをまとい、数えきれないほどの宝石が散りばめられたドレスを着ている。細い手には、しっかりとムチが握られていた。

 私は一目見てその女性が誰なのか察した。女王だ! ホウプキングダムの人々を苦しめている自分勝手な女王様エリザベータだ!

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