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出戻りマーメイド  作者: 未羊


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第74話 甘くない

 私はおじいちゃん先生とショッピングモールに買い物に行った。

 貯めておいたお小遣いで必要なものを購入して、いざチョコレート作りよ。

 台所にやって来て、私はスマートフォンとにらめっこしながらチョコレート作りを始める。

 作ることのない料理って、いちいち確認しないと失敗しちゃうからね。だって、作らないから覚えていられないんだもん。

 うん、そうよ。記憶を引っ張り出そうとしてもさっぱりダメだったわけよ。むぅ……。

 その結果がどうかというと……。


「えっと、チョコは細かく刻んで湯煎で溶かすっと。何度ぐらいなんだろ」


 最初からこれだった。

 買ってきたブラックチョコレートを、まな板の上で細かく砕いたのはいいんだけど、そっからいきなり詰まっていた。

 みそ汁や炒め物はまだ何とかなるんだけど、やっぱりお菓子作りっていうのは分からないわね。


「えっと、50度くらいのお湯? そこそこ熱いんだ」


 私はお湯を沸かす。もちろん、私の魔法で出した水よ。

 沸騰させちゃうと冷ますのに時間がかかるけど、沸騰させたお湯に魔法で出した水を混ぜれば大丈夫かしらね。

 料理用の温度計も買ってきたし、とにかく私は頑張ってみることにする。


「小さめの金属ボウルの中に刻んだチョコレートを入れて、50度くらいのお湯を張ったボウルの中でチョコレートを溶かすのね。ふむふむ……」


 スマートフォンでレシピを表示させながら、私はせっせとチョコレートを溶かしていく。

 ブラックチョコレートを選んだ理由は、海斗があまり甘いものが好きでなかった記憶があるから。そうでなければミルクチョコレートでもよかったんだけどね。

 とにかく私は、チョコレートをしっかりと溶かしていく。


「うん、だいたい溶けたかな。次は混ぜながら冷やしていくんだっけっか」


 私は別のボウルに水魔法で出した水を入れていく。多すぎるとチョコの入ったボウルをつけた時にこぼれちゃうから、半分くらいかな。

 その状態で私は混ぜながらチョコレートを冷やしていく。

 しばらくすると混ぜるのにちょっと力が要るようになってきた。結構つやつやしてきたし、こんなものかな。


「えっと、温度計は何度かなっと……」


 料理用の温度計を刺して、チョコレートの温度を確認する。大体27度ってところか。

 スマートフォンに表示させたレシピを見れば、これでいいみたいだわね。


「よっし、これであとは型に流し込んで固めれば、一応の完成かな。冷え固まったら袋に入れてラッピングね」


 やってみると、作業自体はすごく簡単。でも、温度管理が面倒なんで、再びするかどうかとなったらちょっと疑問符がつく感じだわ。

 やるとしたら、アレンジを加えてみる必要があるかしらね。

 さて、ひとまず型に流し込んだチョコレートを冷蔵庫に入れたし、使った道具の片付けね。

 ボウルの中にはまだチョコレートが残っているし、どうしたものかしらね。


「残ったのは普通に食べてみましょうかね。とにかく、問題は冷え固まった時だわ。失敗してたら乳脂肪分が分離して固まって白く浮き出るらしいからね。……、もう一セット作っておこうかな」


 怖くなった私は、残っていたチョコレートを四角いお皿に流し込んで、ラップをかけて冷蔵庫に入れておいた。

 テンパリングの失敗が怖くなったのよ。

 ダメだったら、帰りのコンビニで買って渡しておこう、うん。

 チョコレートを全部冷蔵庫へとしまい込んだ私は、使った道具をきれいにして片付けておいた。


 しっかりとチョコレートの片付けが終わった私は、その日の夕食の準備に取り掛かる。

 一週間のうち、水曜、土曜、日曜だけは夜の七時過ぎに食事ができるから、ちょっと感覚が狂っちゃうわね。

 自分のチョコ作りの痕跡がすっかりなくなった台所で、私は夕食の支度をお米の準備から始めた。


 そうして、夕食の時間を迎える。

 今日はお味噌汁と、魚の煮物。家の中にあった家庭料理のレシピ集でしっかり覚えたので、こっちはもう慣れたものだわ。


「いただきます」


 両手を合わせて挨拶をすると、夕食が始まる。


「マイ、チョコレートはできたのかな?」


「うん、一応できたよ。私自身、すっごく久しぶりのチョコ作りだったから、サイト頼りになっちゃったけど」


「ふむ、そうか。わしはどうにも洋菓子は好かんから、マイが作ったとしても食べる気にならんのが残念だのう」


「ほへ?」


 おじいちゃん先生から意外な言葉が出てきて、私は思わず目を丸くしてしまう。

 うん、これって食べてみたいってことよね。


「食べてみたいの?」


「いや、さすがにやめておこう。お菓子以外の洋食なら別に構わんから、そっちを楽しみにしておこう」


「あ、うん。分かったわ、おじいちゃん」


 おじいちゃん先生は、やっぱり洋菓子だけは絶対食べないみたい。一体、そこまで食べない理由って何なのかしらね。好き嫌いって感じじゃなさそうに思えるわ。


 あっ、今日はランニングに行くのを忘れてたわ。

 しょうがない。明日、お詫びも兼ねてチョコレートを渡すことにしましょう。

 すっかりチョコレートで頭一杯になっていたために、私は思わぬミスをしてしまったことに気が付いて、夜はすっかり落ち込んでしまったわ。

 ああ、やらかした……。

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