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出戻りマーメイド  作者: 未羊


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第31話 ブルーデイズ・キャット

 ふぬ、あの女はあの小島に行って何をしていたのにゃ。気になるにゃ……。

 あたしは、マイと呼ばれた女の手を離れて、主の家に向かっているのにゃ。

 あたしの主は猫使いの荒い女で、すごく嫉妬深いのにゃ。

 知っている限りでは、今暮らしている町のある場所に、大昔に住んでいたらしいのにゃ。あたしはただの猫又だから、よくは分からないのにゃ。

 あたしがなんでマイとかいう女の手から離れたかって?

 問題は、あの海斗という男なのにゃ。あたしは、主が復活する前から、命令でずっと監視していたにゃ。

 それで分かったことなのだけど、あの海斗とかいう男は、どうも主が昔思っていた人物だということなのにゃ。ちょこっと魂をかじり取って持っていったら、主が間違いないと断言していたのにゃ。

 いやぁ、人間のことはよく分からないけれど、マイとかいう女の動きは、主に報告しなきゃいけないのにゃ。


 あたしは、主の住んでいる家にやって来たのにゃ。

 ぴょんぴょんと跳んで、主のいるはずの部屋へとやって来たにゃ。


「主ー、あたしが来たにゃ」


 カリカリと爪を立てて、窓をひっかく。

 しばらくすると、部屋の中にいたマイとあまり大きさの変わらない女の子が窓に近付いてきたのにゃ。


「ずいぶんと報告が早いわね。何か分かったのかしら」


「はいにゃ。あのマイとかいう女が、怪しい動きを見せているので報告に来ましたにゃ」


「そう……。夕食前だから、手短にしてくれるかしら」


「分かりましたにゃ」


 あたしはさっきまでに見た内容を主へと報告していくにゃ。そしたら、主の表情がどうもおかしい感じなのにゃ。一体何があったというのにゃ?


「あの女、海から戻ってきたっていうことよね?」


「そうですにゃ。まぁめいどって言ってましたっけかにゃ、海の中を魚のように泳げる種族のようですにゃ」


「こっちでいう人魚っていうやつね。なるほど、それで波均命に協力を仰いでいたというわけか。忌々しい」


「あ、主?」


 なんだかいつもよりも怖い雰囲気が出ていますにゃ。あたしの全身の毛が逆立って、体の震えが止まらないのにゃ。


「まったく、あの人に優しくされるとは許せないわね……。あの人もあの人よ。なんであの女にそこまで構うのかしら……。すぐ近くに私がいるっていうのに」


 主はそう言うと、強く爪を噛んでいるようだったにゃ。自分の思い人とマイとかいう女が一緒にいることが、そのくらい許せないようなのにゃ。やれやれ、人間というのは面倒な生き物にゃ。


「あだっ?!」


 主に突然頬をつままれて、左右に引っ張られたにゃ。一体どうしたというのにゃ。


「まったく、その顔、気に食わないわね。言いたいことがあれば、はっきりといえばいいのよ? 猫鍋になりたくないのならね」


「ど、どっちにしてもするつもりにゃ、絶対するつもりにゃ! だ、だまされないのにゃ」


 主に頬を引っ張られながら、あたしは徹底的に抵抗する。だけど、そこは猫の小さな体。人間相手に簡単に抵抗できるわけがなかったのにゃ。

 爪でひっかいてやりたいけれど、主にケガをさせたら、もっとひどい目に遭うにゃ。だから、あたしはこのまま主の思うがままにされるしかなかったのにゃ。

 ようやくあたしは、主から解放される。

 引っ張られた頬はとても痛かったのにゃ。


「あの女を、引き続き監視するのよ。私のことは絶対勘付かれないようにしなさい」


「そ、それはしっかりと気をつけますにゃ」


 主の命令に、あたしはしっかりと返事をする。

 外から、なにやら人の足音がする。


「おーい、何か物音がしたが、何かいるのか?」


 げげっ、あの男がやって来たのにゃ。

 あたしは慌てて窓から部屋の外へと退避する。窓の外で張り付いて、しばらく様子を見ることにするにゃ。


「おや、一人だけなのか」


「うん、お兄ちゃん。どうかしたの?」


「いや、物音やら話し声が聞こえてきたから、気になってな。何もないならいいや。そろそろ夕食だからな」


「心配してくれてありがとう、お兄ちゃん。私は大丈夫だから」


 主が男と話をし終えて、男を部屋の外へと追い出したのにゃ。ひとまず、やり過ごすことができてあたしはひと安心にゃ。


「にゃにゃっ!?」


 そう思ったのも束の間。ものすごく鋭い視線があたしに注がれたのにゃ。

 ゆっくりと振り向くと、そこにはものすごい形相をした主が立っていたのにゃ。ひいい……っ!


「まったく、お前が騒ぐから、あの人に気付かれるところだったじゃないの……」


「あ、主が、あたしの頬を引っ張るからなのにゃ……」


「弁解は罪よ。うだうだと言っていないで、あの女のことをしっかりと監視しなさい」


「は、はいにゃ……」


 主に言われて、あたしは屋根から飛び降りていく。

 本当に猫使いが荒くて困るのにゃ……。

 あたしは大きなため息をつきながらも、主のためにあのマイとかいう女の監視を続けることにしたのにゃ。


(確か、近くにある医者の所に住んでいるはずだったにゃ)


 今まで調べてみた情報を元に、あたしは日のくれた町の中を移動していく。

 はあ、どうでもいいけれど、早くこういう日々が終わってほしいのにゃ……。

 あたしの憂鬱は、まだ続きそうなのにゃ。

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