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出戻りマーメイド  作者: 未羊


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第14話 地元のお祭り

「秋祭り?」


 もきゅもきゅとおやつを食べながら、私はおじいちゃん先生の話を聞いている。

 時期的にはもう十月だものね。となると、近所の神社のお祭りになるわけか。お祭りの会場は、あの海の神様の神社なのかな?

 私はおじちゃん先生に確認してみる。


「いや、あの神社のお祭りはまだあとじゃな。冬に入ってからだ」


 どうやら違うらしい。海が荒れて漁ができなくなる冬になってから、その年の漁の感謝をするんだそうだ。その時にはご神体も見られるとかどうとか。どんな神様が祀られているんだろう、興味があるわ。

 とりあえず、最初の話題に出ていた秋祭りは別の神社みたい。


「それでおじいちゃん、その秋祭りがどうしたの?」


「どうもマイにも参加してくれということみたいだ。神輿を引くのは地元の小学生、幼稚園児たちだからな。強制ではないから、もちろん断ることもできるぞ」


「そうなんだ。でも……、私は出てみようかな」


 ちょっと考えてみたんだけど、せっかく地元に戻ってきたんだし、いろいろと行事には参加してみたいと思うのよね。

 そりゃまあ、面倒だかとか思うかもしれないけれど、やっぱりこの町の出身者として地元のことは大切にしたいのよね。

 そんなわけで、私は地元のお祭りへの参加を了承しておいた。

 日時は一週間後の午前十時。会場となる神社までは、おじいちゃん先生が付き添ってくれる。


「おじいちゃん先生も来るの?」


「そりゃそうじゃ。わしは小児科の先生じゃぞ? お祭りで神輿を引くのは、わしの診察対象になる子どもばかりじゃからの。万一にすぐ対応できるように、わしも同行するというわけじゃよ」


「なるほど……」


 おじいちゃん先生の言い分に、私は納得がいっていた。確かに、幼稚園児と小学生の集まりなら、小児科の先生がいてくれたら心強いわね。

 うん、どうやら私がこの家でお世話になっていることが、好都合になっているみたいだわ。


「それはそうと、マイの不思議な力は絶対に使わぬようにな。わしらはマイが別の世界から来た人間だということを知っておるが、他の連中はそうではない。何かあってはいかんからな、絶対に見せるでないぞ」


「分かったているわ、おじいちゃん。約束する」


 マスコミなんて面倒な連中に付きまとわれたくないもの。だから、私はおじいちゃん先生としっかり約束をしておいた。

 私からのいい返事が聞けたことがあって、おじいちゃん先生は安心したように笑っていた。


 そんなこんなで土曜日を迎える。

 今日は午前中だけで授業が終わるので、海の中を調べるのもたっぷり時間が取れそうだわ。

 授業が終わって帰ろうとする私だったけれど、クラスメイトたちが数名、私を取り囲んでいた。


「あら、誰かと思えば平川さんと海堂くんじゃないの。どうしたの?」


 取り囲んだのは、クラスの中でも仲良しになっていたクラス委員の平川さんと、私に一目惚れで告白してきた海堂くんだった。

 並々ならぬ雰囲気を感じたものだから、私はつい首を傾げながら二人に尋ねてしまう。


「波白さんは、明日の神社のお祭りには参加するの?」


 何かと思えば、お祭りの話だったみたいだ。


「ええ。おじいちゃんから話を聞いていて、おもしろそうかなって思ったから参加することにしたわ。それがどうかしたの?」


 ちょっと拍子抜けをしてしまったので、私は首をゆっくりと左右に振りながら、答えた上で聞き返していた。

 私の答えを聞いた二人は、どういうわけかホッとした表情を浮かべていた。その反応がよく分からないので、私は頭の周りに大量の『?』を浮かべてしまう。


「よかったわ。波白さん、転校したてだからなじめてないんじゃないかなって思ってたから、安心したわ」


「あ、うん。心配してくれてありがとう」


 どうやら、私のことをかなり気にかけていたみたいだった。

 そういえば、引っ越してたばかりだと、その土地になじむのは大変だっていうわね。でも、私の場合は元々ここに住んでいた人間だから、そういう障害のようなものはないに等しいのよね。勝手はある程度分かっているもの。


「私、おじいちゃんと一緒だからね。心強い味方がいるから、何も心配要らないわ」


「あっ、そっか。小児科のおじいちゃん先生の家に住んでるんだっけか。すっかり忘れていたわ」


 どうやら平川さんは、私の今住んでいる家を忘れていたっぽい。一回説明したんだけど、人間忘れっぽいからしょうがないわよね。


「だったら、明日は楽しみですね。一緒に頑張りましょう」


「ええ、そうね。転校して来て初めて参加する地域行事だから、私、とっても楽しみにしているからね」


 真面目に声をかけてくる海堂くんの言葉に、私はにっこりと笑顔で返しておいた。

 うん、海堂くんが顔を真っ赤にしたようだけど、やっぱり一目惚れ継続中なんだろうかな。

 いろいろと思うところはあるんだろうけど、ほどほどに話を終えて、私たちは下校することにした。


 家に帰った後の私は、引き続き海の中の調査をすることにした。

 今週だけでもかなり潜ってみたんだけど、何の成果も上がらなくて、正直困ってしまっていた。


(う~ん、これだけ探しても何もないとなると、ますます私の異世界との行き来が謎だらけで眠れなくなりそうだわ……。はあ、明日はお祭りもあるから、それで気分転換でもしなきゃね)


 おじいちゃん先生との買い物に間に合うように戻った私は、その日の調査はお昼だけで終わらせることにした。

 下手に疲れを残して、翌日に響いちゃダメだもの。

 友だちと約束をしていることもあって、翌日のお祭りをないがしろにするわけにはいかない。だからこそ、おじいちゃん先生と一緒に買い物を済ませた私は、そのまま家でゆっくりと過ごしたのである。

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