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14.昼下がりの図書室
大きな窓から差し込む昼の光が、図書室を柔らかく照らしていた。
俺たちは隣に並んで、お気に入りの本を広げていた。
小さな声で話しかける。
「ねえ、桃花ちゃん、これすごくおいしそうだと思わない?」
「あ、これなら前に作ったことあります。今度、作ってきましょうか?」
「ホントに⁉」
思わず声が大きくなり、慌てて口を押える。
すると彼女はクスクスとおかしそうに笑った。
その笑顔に、心がふわりと跳ねる。
本当はドキドキしていたけれど、何でもない素振りでページをめくった。
でも、内容は全く頭に入ってこない。
胸の奥はまだざわついていた。
横目でそっと彼女を見ると、真剣に本を読んでいる。
同じ本を一緒に読んでいると、何だか特別な気分になる。
あの日、俺の名前を呼んでくれた時のことを思い出し、また胸がドキドキした。
こうして隣に居るだけで、こんなに幸せな気持ちになるなんて。
ページに手を伸ばした時――。
彼女の指も伸びてきて、指先がほんの少しだけ触れた。
ふたりともサッと手を引いたけど、互いの視線が合い、照れ笑いがこぼれた。
陽だまりの中、俺たちはいつものように本を読んでいた。
これからも、こんな穏やかな日々が続いていくのだろう。
そう思うと、胸の奥が温かくなった。
終わり




