あそこ国編(1) 〜どこか村〜
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ろくに整備もされていない道を猛スピード突っ切っているのは、沢山の荷物を積んだバイクだ。
「ちょ、バカ。もっとゆっくり走れ!」
切迫感のある声で叫んでいるのは、赤い首輪の付けた茶色い猫のクッキー。荷物の上に乗っていて今にも落ちてしまいそうだ。
「はいはい、わかったよ。」
残念そうにスピードを落とした運転手は、服装はシャツの上に茶色いコートを着ている。右ももには、コルト・グリズリーがホルスターに収まっている。名は、ルミエール。世界各地を旅する旅人だ。
「そういえば、どこに向かっているんだい?」
いつの間にか体勢を立てなおしたクッキーが聞く。
「“どこか”だよ。」
「まったく、計画性がないなぁ。」
クッキーは呆れた様子だ。
「ああ、“どこか”という村の事さ。」
クッキーはルミエールの顔をまじまじと見たが、嘘をついているようには見えなかった。
「え、そうなの?ややこしい村もあるもんだ。」
そんな会話をしているうちに、“どこか村”に着いたルミエールとクッキーは、バイクを降りて、歩き始める。
しばらく歩くと、切り株に腕を置いて、木の棒で腕を叩いている少年が居た。
「大丈夫なのか?」
クッキーが心配そうに言うので、ルミエールは理由を聞くことにした。
ルミエールとクッキーは少年にゆっくりと歩み寄る。
「ねえ、君はなんで腕で腕を叩いているの?」
「叩くのを止めると気分が良くなるからだよ。」
クッキーとルミエールは同時に虚を突かれたような表情をしてから、顔を見合わせる。
「気分が普通の時を、”ゼロ”とするだろ?腕を叩くと気分が悪くなって”マイナス”になる。でも、叩くのを止めると”ゼロ”へと戻る。つまり気分が上がるように感じるんだ。」
少年は自信満々に答える。「天才だろ?」とでも言わんばかりの雰囲気だ。
「「あはは……」」
一人と一匹は呆れて言葉が出ない。続いた沈黙をクッキーが破る。
「楽しいことをして、気分を良くすればいいだろ。」
「なるほど!ありがとう猫さん。早速試してみるよ!」
そう言い残してどこかへ行ってしまった。
「きっと彼は将来、マッドサイエンティストになっているだろうね。」
ルミエールは心配と呆れと嬉しさが混ざった声で言ったが、夕日で表情は見えなかった。
取り残されたルミエールとクッキーはその場をあとにし、宿へと向かった。
その頃には、静かに微笑む星々が空を覆っていた。
ルミエールは、宿でコーヒーを飲んでいると、昼間のことを思い出した。
「変な人も居るもんだ。」
クッキーがふと呟いた言葉はルミエールにはすぐに誰なのか分かった。
「うん、その通りだ。これだから旅は辞められない。」
ルミエールは少し満足気に、少し楽しそうに笑った。
次の日、彼らはまた新たな目的地へ向かうバイクには、新たな思い出も積まれている。
沢山の思い出を乗せたバイクは毎日、世界のどこかを走っている。彼らは今日という一日を、最高の思い出として記憶に残してゆきながら。
皆さんどうも。Yukiです!
今回は初の日常系となりました。(そもそも投稿が二回目なのはナイショ)
まだまだピカピカの初心者マークを付けていますが、何卒よろしくお願いします。