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精霊神さまは最強です - イチャラブ♡異世界流離譚 -  作者: 如月コウ
『異世界召喚×スタンピード』
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 精霊神の巫女——精霊神により選定された女性が、大精霊から一定の親愛を得ることで、世界より授けられる特殊称号のひとつ。

 巫女が死去、もしくは、【※警告※ 現在の貴方の権限では、レベル5以上の情報閲覧は許可されておりません】。


 特殊称号——世界に唯一存在する称号。取得条件は【※警告※ 現在の貴方の権限では、レベル5以上の情報閲覧は許可されておりません】。



「……(にわか)に信じ難かったが——」


 イスター城砦の城壁——破滅級の巨大な魔物との戦いを想定して築かれたそれをも超える巨体の、三十二の首持つ巨龍が、()える。


「こんなものを見せられては流石にな……信じる他あるまい」


 つい昨日(さくじつ)、ベルヌスのことを紹介されたゲオルグとアンナは疑っていた。実のところ、ダグラス、ミネルバ、アーヴィンも、本当に大精霊なのかと疑っていたのだが、目の前の光景を見れば納得せざるを得ない。

 あの、トコトコトコトコ歩き回る可愛らしい三ツ首の小さな黒龍が、上位存在に数えられる大精霊であると、世界屈指の強者であることを、全員が納得していた——それほどの威容が、イスター城砦にて示されているのだ。


「——おお、これは予想以上♡」

「……は?」


 そんな中、精霊神ソーマ、驚きの発言。その発言に、ダグラスたちも驚く——何故、巫女と大精霊の両者に深く関与しているはずの精霊神の想定を超えているのかが、いまいち理解出来なかったからだ。

 当然のことだが、全ての者が全てのことを知っている訳がない。それは、活動体を用いて現世の時の流れに身を委ねている精霊神ソーマも同様である。

 世に伝わる伝承の類として、さまざまな事柄が共通認識として広まっている。例えば、精霊神は最強である、というのは有名な話だ。

 しかし、世の中には、あえて広めないようにしている事柄も多い、秘匿性の高い——高めなければならない情報も存在する。


 そのひとつが、精霊神ソーマですら驚いた、精霊神の巫女と大精霊の相乗効果である。


「んー……キミたちなら大丈夫だと思うけど、あんまり言いふらさないでね——」


 曰く、精霊神の巫女と大精霊との信頼関係が強固になればなるほど、現世に降臨する大精霊の魂が強大になるとのこと。

 一見、特別なことでは無いように思えるが、この構図は、精霊と意思疎通を取れる全ての者に当てはまる。精霊神の試練を超え、精霊器を授かった者も例外ではない。


「——ってことは、俺も?」

「うん、精霊や大精霊と仲良くなればなるほど、たくさん力を貸してくれるようになるんだ……それは別にいいんだけど——」


 つい先日、精霊器を授かったダグラスやアーヴィンにとって朗報なのだが、いつもニコニコ精霊神ソーマにしては暗い顔。どうにも良くないことがあるのだと察するダグラスたち。


「ダグたんとかアーヴィンくんのことを利用して、悪巧みするようなお馬鹿さんがいなきゃいいんだけどね……」


 精霊神の巫女を利用するのは、精霊神ソーマを敵に回す行為であり自殺志願と同義であり、現実的ではない。それならばと、精霊器を授かった者や精霊術師を利用する——例えば、家族や友人などを人質にとって。

 過去、実際に悪用した者がいた。その者は、とある大陸の覇者を吹聴していた人族の王。その王は、精霊神を含めた全ての精霊から怒りを買い、国は滅ぼされ、その国があった土地は、生命の息吹が完全に消え失せた死の大地へと変えられた。

 このことを警鐘として伝承にしていた時期もあった。だが結局は、悪辣な者たちに利用されてきた為、この情報を秘匿すると決めたのが、今から約——


「——二万年前!?」

「ダクたんとかアーヴィンくんみたいな試練突破者には、折を見て話してるし、ボクから見て善良な魂の持ち主で、精霊が好みそうな子には話してるから、そこまで必死になって隠してる訳じゃないよ♪」

「せ、精霊神さま……これは一体——」

「お、戻ってきた——」


 ダグラスたちが驚いたように、レナもまた、ベルヌスの真の姿を目の当たりにして思考停止しており、ようやく正気を取り戻したようだ。

 あの愛くるしい三ツ首の小さな黒龍が、ただでさえ高いイスター城砦の城壁よりも巨大で首がたくさん生えた黒龍に変わったのだ、慌てるのも動揺するのも当然。

 気持ちも落ち着いたレナが、真の姿となったベルヌスを見て、思ったことを言葉にする。


「…………ベルさま、カッコいいです♪」

「……え?」


 弱肉強食こそが絶対的なルール、とまではいかないものの、それに近い環境で育ってきたレナからすると、大きくて強そう、イコール、カッコいいという思考になるのも至極当然。

 つまり、デカくて強そうなベルヌスのことを、レナは心の底からカッコいいと思っている。そのことを他ならぬベルヌスが感じとり——歓喜の咆哮、三十二発。


「レナ、遠慮はいらない、ドラゴンブレスでダイレクトアタックだ!」

「え、え、ダ、ダイ……?えーと、ベルさま、ドラゴンブレス?を、お願いします?」


 レナの言葉を聞き届けたベルヌスの顎門、三十二門に紫紺の火がゆらめく。それはかつて、精霊神ソーマに放つことがなかった、魔物としての研鑽の証明。


 三十二の破壊の奔流は今、哀れなる魂のことごとくを浄化する聖なる焔となる。


 

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