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精霊神さまは最強です - イチャラブ♡異世界流離譚 -  作者: 如月コウ
『異世界召喚×スタンピード』
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 精霊神の眷属——精霊神が同胞(はらから)と認めた存在。相手が拒まない限り、その関係は続き、命尽きれば精霊となり、精霊神とともにある。

 精霊神の眷属の敵は、精霊神にとっても敵となり、世界を——あまねく世界全てを敵に回す。逆に、精霊神の眷属の味方は、精霊神にとっても味方であるため、あまねく世界全てが味方になる。


 精霊神の大眷属——眷属の中で大精霊となった者、もしくは、大精霊に相当する力の持ち主の通称で、わかりやすく区別するための言葉。

 眷属内で序列は無いと精霊神が定めているが、力ある存在や先達への畏敬の念から、自然と序列のようなものができあがる。

 ただし、精霊神自身が眷属の間に序列は無いと明言していることから、序列のようなそれを傘にして強権を振りかざすと、精霊神が激怒する。


 精霊神の花嫁——精霊神に見初められた立場ある女性が精霊神の眷属となったことを、一部の者たちが侮蔑したことで生まれた蔑称。

 精霊神の眷属になるとは、精霊神の身内になることを意味し、一族の繁栄を約束されるとも云われている。そのことに嫉妬した一部の人族による捏造じみた悪評が流布されたことで、精霊神の花嫁という言葉が、ネガティブな捉え方をされている。



「お久しぶりでございます、精霊神さま」


 華美に過ぎず、()れど優雅——淑女という言葉を、日々体現している彼女は、トレードマークでもある踵にまで届きそうな美しい水色の髪を携え、銀髪金眼の少年の前へやってきた。


「ファルデア王国第一王女——」


 ミネルバ=ド=ファルデアである。



「——あはは!ガノスくんを、あんまり怒らないであげてよ♪ ボクのために、すんごく頑張ってくれたんだから」


 人の娘たちを報酬にするとは何事かぁぁぉぁぁっ、と怒り狂ったのは九児の父親。

 ご、誤解です誤解なんですぅぅ、と胸ぐらを掴まれては宙吊りにされたのは三児の父親。

 事の発端は、傭兵ギルドを代表してガノスが精霊神ソーマへ特別依頼をした、あの日。働きすぎだと断られたものの粘り強く交渉し、交換条件として、ファルデア王国王女たちとのイチャイチャラブラブデートを取り付けたことにある。


 では、精霊神ソーマへの特別依頼とは、一体、どのようなものなのか。


「はぁはぁ……」

「ラーくん、落ち着いたかい?」

「ええ……つまり、今回、精霊神さまにご協力していただく対価が、我が娘たちとの——」

「イチャイチャラブラブデートだよ♡」


 頭を抱えるラシエル。王と親、その葛藤に苛まれているのだろう。


「えー、ボクってそんなに信用ないのかなー、ショックだなあ……」

「精霊神さま、例えばですが……レナ嬢が、勝手に報酬にされたらどう思いますか?」

「ふえっ!?」

「え、処すよ♡」

「ええっ!?」

「そういうことです」

「おお!なるほど♪」

「精霊神さまのことを敬服してはおりますが、そこはそれ。親としては、やはり譲れないところなのであります……ここは、こうしませんか——」


 ラシエルからの妥協案に首を傾げるソーマ。


「ボク、デートが良いなあ……」

「今回のことが一先ず落ち着くまでは、ということでいかがでしょう?後日、改めて場をご用意するということで」

「先の楽しみができるというわけですな」

「…………なるほど、悪くないかも♪」


 ラシエル&ガノス、心の中でガッツポーズ。それぞれが悪くないところに収まったことで、当事者を除いた話し合いが終わる。


 そして翌日の朝、アーフェンボルク公爵別邸に、ファルデア王家の馬車が到着し、第一王女ミネルバが、精霊神への拝謁を願ったわけである。



「——あら、美味しいですね」

「でしょでしょ?レナお手製の焼き菓子は最高なんだ♡」

「そ、そんな——」

「いえ、素朴な味わいながらナッツの風味を楽しめる、素晴らしい焼き菓子ですわ。アーヴィンも、そう思うでしょ?」

「……ええ、非常に美味かと」


 王都ファーディスから西へ向かって精霊神を乗せた馬車の一団がゆく。その目的地は——


「……あの、精霊神さま?」

「ん?レナ、どうしたの?」

「これから向かう国って——」


 不安そうな表情のレナに気づいたのだろう、ミネルバが、レナの不安を解消する言葉を贈る。


「ふふ、大丈夫ですよ。かの国は、我らがファルデアと同じく多種族国家、不当な差別も偏見もありません」

「は、はい!ありがとうございます!」

「あ、そういうことか〜。ごめんね、レナ、伝えとけばよかったね」

「レナさんは、帝国出身でしたね。辛い思いもしたことでしょう、お可哀想に……精霊神さまの元、これからは良い思い出を沢山つくりましょうね」

「は、はい!」


 慈愛に満ちた表情とともにレナの手を優しく握っては安心させるミネルバ、その姿は、今この場だけに限ったことでは無い。

 貴賤も種族も問わない国で在りたい——その理念のもと建国されたファルデア王国。そんな国の王女として、日々、民に寄り添う姿勢を、自分たちの行動とともに見せてきた彼女たちはいつからか、民に、こう呼ばれていた。


 ファルデアの宝石、と。

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