表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
精霊神さまは最強です - イチャラブ♡異世界流離譚 -  作者: 如月コウ
『異世界召喚×スタンピード』
29/37

29


 ファルデア王国国王ラシエル=ド=ファルデアのもとへ、特別な来客あり——ファルデア王国王城内にて諜報活動を行なっている他国の者たちによる、臨時報告書の書き出しである。



 王都ファーディス王城、特別貴賓室。ファルデア王族はおろか、ファルデア王国自体が歓待すべき者を招く部屋である。

 今回、それに該当する者は五名。

 最初に、最高神が一たる精霊神ソーマ。

 次に、精霊神の大眷属となった二名——龍の大精霊ベルヌスと剣の大精霊レヴァス、精霊神の眷属、狐人のレナ。

 そして、最後のひとり、ミーティアル帝国第六皇子エレン=ミーティアル。


 精霊神ソーマ御一行が、今回、ファルデア王ラシエルに会いに来た理由はいくつかある。


 剣聖レヴァスと魔龍ベルヌスが大精霊となり、精霊神の大眷属となった報告——これは、現在、精霊神ソーマが好んで滞在している国であるファルデアの王に、要らぬ警戒や心配をさせないための、精霊神からの配慮である。

 次いで、カレン=アーフェンボルクの釈明——カレンによる精霊神への依頼によって、ミーティアル帝国に甚大なる被害が与えられ、それを外交ラインで騒がれる懸念点を解消するための根拠などを伝えるため、カレン自ら、王都へやってきた。とはいえ、戦争状態にある国に対して配慮する必要など、水面下では不要であり、あくまで表面上の体裁をどのように整えるかの情報を提出しただけである。実際、ここ一ヶ月の精霊神さま御一行の活躍に、ラシエルも大笑いしていた。

 そして、ミーティアル帝国第六皇子エレン=ミーティアル、セルゲイ=ガーデス侯爵の二名が、ファルデア王へ、亡命に関する謝意を示すため、非公式に訪れた。ラシエルは、多種族国家ファルデアの王、他国の王侯貴族の亡命に怯みはしない。むしろ、これまでよく頑張った、と心の底から労う男、祖国から逃げねばならぬ心の苦しみを理解しようと努力する男である。


「大きくなったわね、エレン」

「……はい、お初にお目にかかります」


 そして、離れ離れに引き裂かれていた母と息子の絆が、この日、元に戻った。



「——ひぐっ、えぐっ……よかっだねぇ、エレンぐん……ひぐっ……」

「やっぱり、親子は離れ離れじゃいけねえ、いけねえよ……くそっ、視界がボヤけやがる」


 精霊神&ファルデア王、号泣。号泣の理由は、十年ぶりの親子の再会——ミーティアル帝国第六皇子エレナと第四皇妃エレスが、ここ、王都ファーディス王城で涙の再会を果たしたことを目の当たりにしたことだ。

 どんな世界であれ、望まぬ別れに涙せぬ者はいない。その涙の意を汲める者が、望んでいた再会の機に立ち会えば、涙するのもまた必然。


「あの……そろそろ報告を——」

「ちょっと、ガノスくん!ようやく会えた母と子、涙の再会に感動の涙、その余韻に浸ることすら許してくれないのかい!」

「そうだそうだ!十年だぞ、十年!世の中には、もっと会えない悲しい親子だったり恋人だったり友人だったり、なんなら永遠に会えないって嘆く奴らもいるだろう……だが、それはそれ!ようやく会えた親子の涙を否定していいわけじゃない、そうだろうが!」

「ガノスくんのバカ!ハゲ!冷血漢!ろくでなし!ハゲ!冷酷冷淡鬼畜生!ハゲ!」

「いや、これ、剃ってるだけなんですが……」


 心打つ感動的な光景に涙している時に水を差そうものなら、思わぬ猛攻に見舞われるのも致し方なし。濡れ衣を三度も着せられるのも仕方がない。


 現在、特別貴賓室にいるのは、五名。精霊神ソーマ、ソーマを膝枕している狐耳金髪メイドのレナ、ソーマのそばで眠る龍の大精霊ベルヌス、ファルデア王ラシエル、そして、スキンヘッドガノス。この内、レナとベルヌスはソーマ付き添いなので会話には参加しない。

 ちなみに、ミーティアル帝国ゆかりの者たちは、王城内のエレスの居室にて、歓談中——親子水入らず&祖父と孫娘の再会、エレノアも合流予定である。

 カレンは、ノルドが待つアーフェンボルク公爵別邸へ。こちらも親子水入らず、なんて優しい雰囲気にはならない。ガノスがノルドから受け取り、ラシエルに渡した書類、その内容にこそ、アーフェンボルク親子が親子の時間を楽しめない理由がある。


「——よし、それじゃ本題だな」

「よ、よろしく頼みやす」

「ざっと目を通したが、俺としちゃ、これで問題はない。流石は、我らが参謀長だな。あとは、冒険者ギルドの合意だが——」

「エルっちが行ったんでしょ、ガノスくん」

「ですね。ですが、こうも遅いとなると——」

「——お待たせいたしました、精霊神さま」


 音も無くその場に現れたのは、長耳緑髪メガネ男——エルス=ファ=アルート。


「ガノス殿、要請受理の書簡である」

「いやいや、助かりました……アイツ、やっぱりゴネやしたか?」

「見苦しさの極みであったな」

「ま、なんにせよ、これで根回しは完了か?」

「そ、そうで、やす……ね」

「ん?なんだ、ガノス、随分歯切れが悪いな」


 ガノスがチラっとソーマの方を向くと、ソーマは満面の笑み。はぁぁ、と、ため息をついたガノス、意を決して切り込む。


「陛下!」

「お、おう、いきなりどうし——」

「精霊神さまが、王女殿下たちとのイチャイチャラブラブデートをご所望です」

「…………は?」


 戦において奇襲とは、詭道(きどう)であり奇道(きどう)でなければならない。


 青天の霹靂(へきれき)()くやな表情を一国の王にさせたように、思いもよらない騙し討ちこそが奇襲の本懐である。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ