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ファルデア王国、主要な王族の状況
国王——存命。
第一王妃——存命。第二王子、第一王女、第三王女の母
第二王妃——存命。第一王子、第四王子、第二王女の母
第三王妃——存命。第三王子、第四王女、第五王女の母
第一王子——存命。王太子。国王の政務補佐
第二王子——存命。フ学、研究部二年生。
第三王子——存命。フ学、中学部三年生。
第四王子——存命。フ学、小学部一年生。
第一王女——存命。国王の政務補佐。
第二王女——存命。他国留学中。
第三王女——存命。フ学、大学部三年生
第四王女——存命。フ学、中学部一年生
第五王女——存命。フ学、小学部二年生
継承権争いは行われていない。
※フ学→ファーディス学習院
※ファーディス学習院は、年齢や能力に応じて、研究部、大学部、中学部、小学部に編入され、それぞれ一年生から三年生に分けられる。中途編入においても同様。
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メイド喫茶ラビットウォーク、通称ラビ。
ファルデア王国各地に点在するメイド喫茶、執事喫茶の中でも上位の人気を誇る、貴賤も種族も問わず愛される老舗店。総本店は、ゼスラーミア大陸にある。
さて、王都ファーディスに居を構えるこの店には、王都中の紅茶とメイドを愛する者たちが訪れる。その中には、平民だけでなく貴族もおり、一緒になって紅茶とメイドを楽しむ素晴らしい空間になっている。
窓際の隅っこに座る、身なりのいい水色髪の男もまた、紅茶とメイドをこよなく愛する者である。
「おかえりなさいませ、お嬢さま♡」
その男の視線は、本日体験入店した銀髪金眼ボクっ娘メイドと、その近くにいる長身の藍髪美女に注がれていた、ニヤニヤしながら。
突如、店の中が薄暗くなる。驚きの声があがるも、それは一部のご主人さまお嬢さまだけ。多くのご主人さまお嬢さまは動じない。
そして、店の中央に拓かれた、少しだけ高い位置にあるスペースに照明があたる。
「みなさま、お待たせしました——」
そこには、ラビットウォークの女店長の姿、手には拡声用魔導具。待ってましたとばかりに、常連のご主人さまお嬢さまが立ち上がり、懐から筒状の魔導具を二本取り出し、両手に一本ずつ握り、中央のスペース外周に沿って整列していく、その中には水色髪の男の姿も。初めてのご主人さまやお嬢さまが、その後に続く。その合間に、メイドさんたちがテーブルや椅子を壁際に移動することで、準備が整った。
店内が、色とりどりの光と可愛らしく愉しげな音楽で満たされていく。
「——Happy LuckyRabbitsの登場です♪」
「「「ウオオオオオオオオオッ!!!」」」
世はまさにメイド時代である、とは、ファルデア現国王の言葉。王妃たちから執事を忘れないでちょうだいと総ツッコミを受けたエピソードは、王国の酒の場で肴になっている。
「みんな、今日も楽しんでね♪」
「「「ウオオオオオオオオオッ!!!」」」
Happy LuckyRabbits。通称ハピラビ。歌にダンス、お給仕と、老若男女も貴賤も種族も問わず、たくさんのご主人さまお嬢さまを、いつも楽しませている五人のメイドさん。
紅茶とメイドをこよなく愛する者たちは皆、彼女たちのように頑張っている者たち——異世界人曰く、アイドル——が大好きなのである。
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「——ふっ!」
「良い太刀筋です、が——」
「あっ!」
真っ直ぐな剣の軌跡が地に落ちる。
「それ故に読み易い」
「なるほど……もう一度よろしいですか!」
桃髪色の少年——エレン=ミーティアルが、落とされた木剣を拾い、再び構え直す。エレンに相対するのは、薄紅色の長い髪を腰上辺りで括り纏める青年——剣聖レヴァス。
それは、王都ファーディス貴族街の一角での光景。曾孫と曽祖父の剣術指導という名のコミュニケーションの一幕である。
そこは、先代のアーフェンボルク公爵、即ち、カレンの父であり、当代の宰相として今も辣腕を振るうファルデアが誇る傑物が住まう、質実剛健を絵に描いたような厳かな屋敷。
アーフェンボルク公爵別邸——ノルド=アーフェンボルクが暮らす場所である。




