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精霊神さまは最強です - イチャラブ♡異世界流離譚 -  作者: 如月コウ
『異世界召喚×スタンピード』
2/24

02


 傭兵――対人対魔物との戦闘を生業とする者。さまざまな戦闘職がこの道を選ぶ。


 傭兵団――複数名の傭兵で構成される、チームやパーティなどとも呼称される集団。一般的には十名以上。


 傭兵ギルド――国主導で設立される組織。傭兵個人や傭兵団を管理し、王国各所からの依頼を適宜振り分け、サポートやアドバイスなどを基に生存率を向上させ、依頼達成させることを目的とする組織である。



「――俺たち最強!」

「「「うおおおおおおっ!!」」」


 歓喜の声が、宴の合図。多くの傭兵たちが、先のスタンピードを乗り越えたことを喜び、各々を労う。


 雲雀(ひばり)亭――城塞都市アルカイズ傭兵ギルド公認の食堂酒場。傭兵ギルドに隣接した、最大収容五百名を誇る、大規模の食堂酒場である。同時に、傭兵たちにとっての情報交換の場でもあり、アルカイズに拠点を持たない傭兵や傭兵団にとって、大事な営業場所にもなる。

 そんな場所の喧騒から少し離れた一室にて、城塞都市アルカイズの今後の展望を語るべく、膝を突き合わせる者たちがいた。


「――おっぱいは、その人に合ってるか、それが一番大切なことだよねぇ♡」

「確かにな!よくわかってんな、チビ!」

「うむ、女子(おなご)の双丘は、然るべき大地にあってこそ映えるものであるからな」


 城塞都市アルカイズの今後の展望を語るべく、膝を突き合わせている者たちが、女性の身体の部位について熱く語っていた。


「――待たせたな」


 その部屋――特別優待室に、一組の男女が現れる。一人目はガノス、ファルデア王国傭兵ギルドグランドマスター。

 そして二人目、藍色の髪を肩口に切り整え、優雅にして堂々たる所作が美しい彼女――


「さて、我がアルカイズの今後を語ろうか」


 城塞都市アルカイズ都市長にして、ファルデア王国北方に座する、王国最強の軍事力を有す大貴族、現当主。


 ――カレン=アーフェンボルク公爵。



「――カレンちゃんは、ボンキュッボンの格が違うよねえ♡」

「ああ、わかる……さすがは公爵さま、小せえ頃から良いもん食って立派に育ったからこそのアレだよな!」

(しか)り然り、()の子の理想郷である」


 カレン=オーフェンボルク公爵――軍事行動における凄まじき戦果から『ファルデアの鮮血女帝』の異名が畏怖とともに広まり、王国内外問わず、その名を轟かせている。

 また、その美しさもよく謳われており、王国内外問わず、その美貌もまた有名である。

 自分の容姿のことを好き勝手にあれやこれやと語られているとは露知らず、彼女は今日も、公爵としての務めを立派に果たすことだろう。


「――にしても、珍しいんじゃねえか?チビが、こういう面倒臭そうなのにくるとか」

「いやー、報酬が良き良きだったからね♪」

「チビがそんなふうに言うってことは、ガノスのおっさんに結構な無茶振り――」

「カレンちゃんの膝枕からの耳掃除♡」

「――代われ!なんだ、そのとんでもねえ報酬は!? どんだけ金積んでも無理だろ!」

「精霊神さまのご威光、まことに素晴らしき」


 鬱蒼(うっそう)と深く生い茂る森を進む、年齢も性別も種族もバラバラの集団。そんな彼ら彼女らの最後方から、先を進む者らを見守るように歩んで進む、三名の姿。


 まずは、どんな場所でも絵になる銀髪金眼の絶世の美少年、精霊神ソーマ。どスケベ。

 残る二名は、赤い髪と筋骨隆々の肉体が特徴的な偉丈夫と、理知的な容貌をしているメガネをかけた長耳緑髪の青年。


「な、なあ、俺も一緒に――」

「ダーメ♪ボクだけの権利だもーん♡」

「ぐっ、俺も今度からそういう報酬に……いやいや、ウチの奴らに説明できねえ!?」

「あはは!大所帯は大変だねぇ♪」


 今度、休暇取って個人的に依頼を……、と呟く赤髪の男、その正体。城塞都市アルカイズを拠点とし、ファルデア王国のみならず、ダスクード大陸南部全域にその名を広めている傭兵団『赤き餓狼』団長にしてミスリル級傭兵。

 その名は――ダグラス。三十二歳。どスケベ。ちなみに、彼の傭兵としての実力はミスリル級に収まらない。

 アダマンタイト級に次ぐ等級であるミスリル級なのだが、貴族になることを義務づけられるアダマンタイト級への昇級を嫌い、ミスリル級に留まる者も多く、ダグラスもまた、そういった傭兵のひとり。

 赤狼のダグラス――アダマンタイト級傭兵に匹敵する、王国屈指の実力者である。


「……これを――」

「ん?これって……魔導具かい?」

「公爵閣下の未知をお収めしていただきたく」

「いや、これ、記録保存の魔導具じゃねえか!まさか、おまえ――」

「あの鮮血女帝が羞恥に頬を染める、それはまさに驚天動地――」

「いやいや、公爵邸で未許可の魔導具はそもそも起動しねえし、流石にマズいだろ……」

「そこは精霊神さまのお力で――」

「そりゃあ出来るけど、流石のボクでも、バレたら嫌われちゃうのはちょっとね……」

「未知を既知に変えるはまことに難行(なんぎょう)、ふふ、面白い……」


 どスケベ精霊神&どスケベ傭兵ですらドン引きの提案をする、長耳緑髪メガネ青年。

 彼の名は――エルス=ファ=アルート。

 ダスクード大陸東部に広がる大森林地帯出身であり、一般的にはエルフと呼ばれる種族である。二六五歳。どスケベ。

 さて、エルス=ファ=アルートにはいくつかの肩書きがある。その中のひとつこそが、今、彼がこの場にいる、同行している理由。


 ()()()ギルドに認定された、ファルデア王国冒険者ギルドに三名だけ在籍している最高位の冒険者――オリハルコン級冒険者のひとりであり、深智(しんち)の異名で謳われしダスクード大陸屈指の冒険者。


 それが、エルス=ファ=アルートである。


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