サーフ ブンガク カマクラ
●「藤沢」から「鎌倉」までの列車の旅に出かけよう。
【収録曲】
1.藤沢ルーザー
2.鵠沼サーフ
3.江ノ島エスカー
4.腰越クライベイビー
5.七里ヶ浜スカイウォーク
6.稲村ヶ崎ジェーン
7.極楽寺ハートブレイク
8.長谷サンズ
9.由比ヶ浜カイト
10.鎌倉グッドバイ
前作から1年も経たずにリリースされた、ASIAN KUNG-FU GENERATIONのメジャー5thフルアルバム。『ファンクラブ』『ワールド ワールド ワールド』では明確にコンセプトを打ち出していた彼らですが、今作は曲名を見れば分かるように、明らかに「江ノ電沿線」を舞台とした作品になっています。その影響か、「三番線のホームから」(藤沢ルーザー)や「低温な夏のサーフショップ」(鵠沼サーフ)、「海辺のファーストキッチン」(七里ヶ浜スカイウォーク)のように彼らにしては具体的な描写の歌詞が結構出てきます。
曲調に関しては、ミドルテンポで力を抜いた雰囲気のナンバーが中心といった感じでしょうか。それがまるで「湿度の高い日本の夏」を表しているようで、今作の舞台となる地域のイメージにぴったりといった印象を受けました。そんな中でも、『江ノ島エスカー』では最後のサビでJ-POP的に転調したり、『稲村ヶ崎ジェーン』では曲全体が軽快な調子だったり、『由比ヶ浜カイト』では途中でテンポが速くなったりと、曲中・曲間で色々と「変化」を付けている点からは良い意味で彼ららしさを受け取れます。
コンセプト作としての隙の無さを感じられつつも、肩肘張らずにリラックスして聴ける面もあるアルバム。今作を聴いて、「藤沢から鎌倉までの列車の旅」を満喫してみてはどうでしょうか(収録時間も江ノ電の片道の所要時間である約30分になっていますし)。
評価:★★★★★