婚約破棄からの国外追放でざまぁとかもう遅い
今更タイトル詐欺だと気がついてももう遅い
貴族の決まりとか適当なのでそう言う物だと思ってもらえれば(
「エルランド公爵家令嬢ミランダ エルランド、貴様との婚約を破棄した上で国外追放とする」
そう宣言したのはこの国シュトランス王国の第一王子にして王太子のエバンスだ。
金髪に碧眼、長身でスマートな優男が冷たい目でミランダを見下ろしている。
学園の卒業記念パーティーでの一幕だった。
その後ろに控えるメガネをかけたちょっと神経質そうな男が宰相の息子リチャード ダリ。ガタイの良い大男が騎士団長の息子バルブロ イェップソン。大司教の息子イヴァーノ ヴィッラーニも居る。
そして、ミランダの兄で公爵家長男であるリカルド エルランドも一緒に汚い物でも見るかのような顔をして立っている。
王太子に縋り付くように立っているのは男爵令嬢のマレーラ プラテルラだ。
「畏まりました」
ミランダは眉ひとつ動かさずに返答する。
「え?」
間の抜けた声を出したのは誰だったろうか。
正直興味もわかなかった。
「それでは私は出国の支度もありますので、これで失礼させていただきます」
その場にいた全員が唖然とする中、優雅な身のこなしで颯爽と会場を後にするミランダだった。
「後の事はよろしくお願いします」
「お任せください」
荷物をまとめたミランダが執事と言葉を交わす。
この初老の執事は母が健在だった頃からこの家のほとんどを取り仕切っている。
「お嬢様、道中お気をつけて」
「お身体にお気をつけください」
メイドたちが泣きながら別れの言葉を告げる。
「こんなところに置き去りにしてごめんなさい。いえ、むしろ付き合わせるセラとレミに謝るべきかしら」
「そんな、私たちはお供出来る事を神に感謝しているくらいです」
「そうです」
両手の拳を胸の辺りに持ってきて力強く答える一緒に出国する予定の侍女2人。
「残された者たちの今後に関しても私の方で手配させていただきますので」
執事も答える。
「ありがとう」
あらゆる事態に対応できるように常日頃から準備してあったため、手続きを含めて手間取る事はなく追放を言い渡されたその日の晩には馬車で出立した。
「こちらでの生活には慣れましたか?」
「おかげさまですっかり」
「それは良かった」
ミランダを受け入れたモンタン家のピエール モンタンと彼の屋敷の中庭でお茶をしていた。
ここはシュトランス王国と国境を接する隣の国である。
エルランド公爵家とは古くから付き合いがあり、ミランダの叔母や従姉妹なども住んでいる。
「私としては嬉しい誤算ですが、国元の方は大丈夫なのでしょうか」
「さあ」
ミランダはこてんと首を傾げる。
「…」
「兄は夢みがちな年頃なのです」
「法律には疎い方のようですね…」
ミランダの家の爵位は母が受け継いだのもので、兄は入婿の父の連子だった。
つまり、爵位を継承するのはミランダであり、ミランダがいなくなれば爵位や土地は国に返還される。
現在の父親や兄弟たちは平民となり、家は無くなる。
「あの人の父親も自分が後見人になっていると思い込んでいるので、彼は自分が家を継ぐものだと思っているのかもしれませんが、実際の後見人は本家のテラーズ大公なので事業のほとんどは既に公爵家から離れていて、僅かなお金しか渡っていませんし、そのお金自体執事が管理しているはずです」
「…」
「もっと言ってしまえば、王太子殿下も後ろ盾を失って失墜するでしょうし、宰相は世襲制ではないので、王になれなかった者の腰巾着がなれるわけもないでしょう。教会への献金が止まれば今の大司教も力を失うのではないですかね。我が領、いえ、元ですが、国境守備隊が解体になる以上、騎士団も大変なことになるでしょうねぇ。まあ、困るのは第一王子派の人間だけで、喜ぶものの方が多い気がしますが」
他人事のように興味なさげに呟くのだった。
なんとなくキャラクター名ジェネレーターで名前を付けてみたけど、誰も活躍しません
半端にジェネレーター使ってて、名前が被ったりとかしてたのをチョコチョコ直してます
道具を使いこなせない系…