ビスク
コカ・コーラの製品に『GO:GOOD ゴクっ!と海老のビスク』というのがある。出た。肌感最近出た。多分寒くなってきたからだと思う。コンポタとかと同じようなサイズのちっちゃこい缶ではあるけども、それにしても、それにしてもだ。
「珍し!」
発見した時、珍しいなと思った。そんなの。ビスクとか。あんまり普段見ない。ビスクとか。これでも一時キャンベル、キャンベルのクラムチャウダーとかにどハマっていた時期があって、それからもなんとなくスーパーとかに行くとキャンベルは眺めたりする。だからキャンベルであったら知ってたかもしれない。ビスク。エビのビスク。
「ビスクとは・・・」
海老のビスクとは?早速買って飲んでみた。
「・・・おいし」
おいしかった。暖かいからかもしれない。少し時間が経って冷めてくるとエビの生臭い感じが出てきてアレだったけども、買ったばかりのちんちんの状態で飲めばこれはおいしいという事でいいと思う。
ちなみにGO:GOODのシリーズにはほかにもミネストローネとかコンポタとかもあった。で、峯はトマトだ。ただのトマトジュースだった。塩入れたいって思った。コンポタも他のコンポタ缶の例にもれず甘かった。まあコンポタっていうのはそもそもそういうモノなのかもしれない。正式なコンポタとか飲んだことないから知らない。
でも、人生初のビスク。そのビスクとの出会いは悪いものではなかった。ある種感動した。心の中の小泉首相が言った。感動した!生きていると発見があるなあ。尽きないなあ。まだ見ぬものと出会いだなあ。
で、それを家に帰って、村上小春にも伝えた。村上さんというのはあれだ。まあ、自分にとってそういう関係性の人だ。
「へー、ビスク?私の分は?」
「・・・(ぱくぱく)」
そんで、その日はそのまま多少の気まずさを発生させて就寝した。
次の日、会社で仕事をしているとスマホにラインが入った。
「今夜はエビのビスクです」
村上の君からのラインだった。
昨日の一件であちらサイドも興味を持ったようである。まあ何にしてもありがたい事である。んで、それからはもう仕事の事なんて考えてられなくなった。
「どうやって作るんだろう?」
ビスクって。仕事もそっちのけでそれを調べていた。
しかしクックパットで見ると、鍋で煮たエビとか全部熱をとってからミキサーにかけて濾します。というのが出てきて、え?ってなった。
家にミキサーとか無いけど?
どうやって作るんだろうか?
え?
もしかして昨日の意趣返しか?
村上の君の分のビスクを買って帰らなかったから。
考えすぎかとは思ったが色々と不安が湧いた。
仕事が終わったら一目散に家に帰った。駅前にあったコカ・コーラの自販機で海老のビスクも買った。
「帰りました!」
「・・・おかえりなさい」
家に到着して村上嬢のいるらしいリビングに突撃すると、なんか彼女はテーブルに突っ伏していた。あげた顔はげっそりしていた。あと涙目だった。
悪い想像が現実のものに?
「び、ビスクは?」
「・・・」
黙って彼女が鍋の方を指さした。
コンロの上に乗った鍋の蓋が少し開いてる。何かが見ている。こちらを見てる。
「・・・」
意を決して開けると、鍋の中には海老とビスクドールが入っていた。
「ビスクドール!?」
ビスクドールだこれ!
ホラー映画だったら完全にもうだめだ。死ぬ。完全に死ぬ。完全に殺される。完全に。完全体殺される。
「これどうしたの?」
村上嬢は昨日話を聞いてすぐに、ゾンでお急ぎ便でという様な話をした。
あちゃー。
うわちゃー。
お焚き上げだ。
これはもうお焚き上げだ。その際は二人で祈ろう。凄い祈ろう。それはもう祈ろう。手のひらのしわ無くなる位擦ろう。それはもう肘とか肩とか手首とかの軟骨がすり減って皇潤飲まなきゃいけなくなる位祈ろうね。
「吉川君・・・」
大丈夫。大丈夫だから。
「大丈夫だから!」
君の事は僕が守るから!絶対。絶対にだ!
次の休み、二人で東京くんだりまでビスクを食べに行った。その後代々木上原にある東京ジャーミイを見に行った。モスクだ。更にモスクワ料理店にも行ってボルシチとかピロシキとか食べた。んで、最後はラブホ行った。