5話「歴史と契約」
『助けてくれ。』
この文の次の行に続けて
『助けてくれ。』
とまた現れた。とっさに鑑定を発動させた。
{鑑定に失敗しました。}
鑑定が失敗するほどの強者と言うことだろうかと考えていると新しく文が現れた。
『助けてくれ。何でもするから。』
新しい文が追加されていた。
「自身が何者でどのような種族か、何故助けを求めているのかを先に言えよ。」
助けてくればかりで少しも名乗ろうとしないので言葉が出てしまった。これはダメなパターンかと考えていると新しい文が現れた。
『わ・・・我はアルキメア・デモニスだ。冥界のデモニス伯爵家8代目当主だった者だ。種族は上位悪魔だった。天魔大戦時に忌々しいK/%t&んの奴らに騙されS@/r%#と融合させられてしまったのだ。今の種族は上位■魔□だ。この本から出るのを手伝って欲しい。』
「だいたい事情は分かった。その文字化けしているの何?」
『恐らく情報漏洩対策であろう。』
「あと天魔大戦って何?」
『天魔大戦とは冥界・・・冥界は分かるか?』
「アルキメアの出身だろ?それ以外は知らない。」
『まさか、それすらも知らぬとは。冥界とは我が主である大魔神様の支配する世界である。大魔神様の臣民である悪魔はこの世界で人類と契約で配下を増やしこの世界を支配するのが目的だ。他の配下として魔物も居る、魔物の方が配下としての使用頻度が高いだろう。そして、天魔大戦とは冥界と天界の・・・恐らく天界も知らぬか。我もあまり詳しくは無いが天界とは聖光神の支配する世界だ。聖光神の臣民として天使どもが居る。光神教と言う宗教を用いて人類を操っている。そして、光神教の教義が魔物やダンジョンは破壊すべしと言う教義の下に活動している。天魔大戦とは神代期43792381年に始まった冥界勢力と天界勢力がこの世界で全面戦争を起こしたのが天魔大戦だ。決着は不明だがその様子だと休戦状態と見た。まあそんな感じだ。』
その天魔大戦ってどれくらい前なんだろう?と思うと急にウィンドウが現れた。
{現在平穏期79542148年 前期は伝説期1000万年 前々期は神代期1億年 前々期は創成期2億年です。}
「やっ約1億4000万年前!?」
『なっなんと!1億4000万年前とは・・・良くこの心が持ったものだ。そうだ。早く本から出るのを手伝ってくれ。』
そう言えば自己紹介の最後に言ってたな。だが少し引っ掛かる。
「何故手伝ってくれなんだ?」
すると少し困った様子で
『本に封印されてからこの封印について考え、調査を続けたのだ。この封印は強固な魔法によって出来ていたのだ。スキルと併用されていたらなす術が無かっただろう。我には上位契約と言う悪魔の種族スキルがあるのだ。それを外部の者と使用すると出られる可能性があるのだ。』
「アルキメアと契約しろと?」
『そうだ。あと、この本から我の魔力が本の少しずつ流れ出ているのだ。故に長くここに封印されていた我には時間が無いのだ。約50年ほどで我は消滅するだろう。そうなっては、今居るはずの子孫たちに申し訳が立たぬ。後生だ。何でも契約に従うから助けてくれ。』
必死そうに俺に頼み込むアルキメア。
「本当に何でも良いんだよな?」
『そうだ。』
それなら契約しても良いかもな。
「まず、1つ目互いに裏切らない。2つ目は出来る限り協力し合う。3つ目は契約終了は俺が寿命で死ぬまでくらいか?」
ゲームなので寿命は無いはずだ。実質ずっと仲間で居ろと言っているような物だ。もちろん、この事をアルキメアは知るはずも無く。
『1つ目2つ目と多そうな気配を出しておいて3つとは少なくは無いか?』
「これ以上思い付かなかったんだよ。まあ良いじゃん。」
『抜け道ありそうな契約内容だ。こんな少ない契約は初めて見た。』
少し呆れた様子のアルキメア。
「だいたいはカバー出来てるから大丈夫でしょ。」
『まあ良いだろう。この本に魔力を少しでも良いから込めるのだ。そうすれば契約はこっちで済ます主は材料だけ出せば良い。』
そう言われ、本を持って踏ん張った。すると本の一部がボコボコと膨張したり収縮し始めた。驚き本を落としてしまった。すると本からボフンと音と煙を出した。本棚や床の埃が煙と一緒に舞った。
「ゲホゲホ。」
と咳き込みつつ本を落とした場所を見る。背丈が2メートルほどの細身の影が見える。煙と埃が消えていく。現れたのは左目にモノクルをした男だった。左半身の背中には重なるように生えた3枚のコウモリのような羽があり、頭には黒い角が左のみ生えていた。その男は俺に話かけてきた。
「感謝する我が契約者よ。」