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三色ルール  作者: sanstar
2/15

2 赤坂

麗華の家を出たあと、太一と千尋は2人で並んで、学校に向かって歩く。


「あー、今日から学校かぁ・・・」


「麗華さんによると、長い休みがあるだけでも良いらしいぞ」


太一が千尋を見上げながら話す。男子にしては少し背が低めの太一と、女子にしてはかなり背の高い千尋は、どちらも身長差を気にしており、お互いあまり話題にしないようにしている。


「ふーん・・・麗華さんがね」


「仕事が始まると、長い休みは取れないらしい」


「そうなんだ・・・てか、太一。今日のネクタイは上手に結べてるわね」


「さっき麗華さんに結んでもらった」


「・・・また麗華さん」


「ん? すごいよな。人のを結ぶのは難しいって聞くのに、俺より綺麗なんだから」


「彼氏で練習したんじゃないの?」


千尋が低い声で言う。


「いや、麗華さん、彼氏はいたことないって言ってた気が・・・千尋、機嫌悪い?」


「・・・悪くない」


「まぁ、気持ちはわかる。学校だるいしな」


「あんたってやつは・・・」


千尋が呆れながら首を振りながら、ため息をついた。


「なんだよ。まぁ、いいけど。」


「こっちは良くないけど。でも、もういいわ・・・というか、いつまで青井さんと一緒に住むの?」


「こっちが聞きたいよ。親父に確認して、俺に教えてくれ・・・」


自分の父親に良い感情を持っていないのか、太一はウンザリしたような顔で言う。


「はー、なんで青井さんの家だったのかなぁ。私の家でも良かったのに・・・」


千尋がポツリと呟き、太一を恨めしそうに見る。


「いや、同級生の家はダメだろ」


「なんでよ。年上の女の人と一緒に住むほうがダメよ」


「麗華さんとどうかなるなんてあり得ないし」


「そうなの?」


千尋が少し嬉しそうに太一へ質問する。


「そりゃ麗華さんみたいな綺麗な人と付き合えたらいいけど。俺なんか相手にされるわけないしな」


「っ・・・太一の馬鹿!」


「なんなんだよ・・・ほんと麗華さんはそう言うんじゃないんだって」


「ほんと? ほんとにほんと?」


「千尋、しつこい」


太一が面倒そうな顔で言う。千尋は気にする事なく嬉しそうにしていたが、少しして複雑そうな表情を見せながら会話を再開する。


「んー、でも、青井さんがちょっと可哀想」


「なんでだよ?」


「教えてあげない。乙女の秘密を探る男は嫌われるのよ?」


「あー、はいはい・・・」


「何よ。その態度。ってか、今日始業式なのよね。クラス分けが気になる」


「クラス分け? 別になんでもいいだろ。そんなの」


「仲の良い人と一緒になるかどうかとか、気にならない?」


千尋が探るような目線を向けながら太一は質問する。


「どうでも良いだろ。本当に仲の良い奴とはクラスが別になっても仲良いだろうし」


「じゃあ、私とは?」


「ん?」


「私とクラスが別になったらどう?」


千尋からの質問に太一は少し考える。


「・・・それは考えたことなかったな。でも、千尋と別のクラスになるなんて、考えなくてもいいんじゃないか?」


「なんでよ! どうでも良いって言うの?」


「いや、千尋と別のクラスになるとかあり得ないだろ?」


太一が笑顔で千尋に言う。太一と千尋は小さい頃からの幼馴染だが、これまでありとあらゆるグループ分けで同じグループになった実績を持つ。


太一としては、だから次も一緒だろと深い考えもなく言ったのだが、想定外だったのか、千尋は顔を真っ赤にして慌てる。


「ば、馬鹿っ! いきなりなんてこと言うのよ」


「だって事実だろ?」


「今までずっと一緒だっただけじゃない。今回はわからないでしょ?」


「いや、これまで一緒だったんだから、これからも一緒だろ」


「も、もういい! 太一の馬鹿、ホント馬鹿・・・」


千尋が手でパタパタと顔を扇ぎながら、会話を終わらせようとする。


「まぁ、結果はすぐわかるだろ。もう学校だ」


太一の言葉通り、太一達の通う学校が見えてくる。


時刻は8時前で始業までは30分ほどの余裕があるため、まだ人は多くない。ただ、正門から入り少し歩いた所にある掲示板には、クラス分けが発表されているのか、人だかりができている。


「うう・・・ドキドキする」


「だから、一緒だって。どうせ」


太一と千尋がクラス分けを見ようと近づくと、掲示を見ていた生徒が2名、太一達を見つけて近づいてくる。


「千尋ー!」


「千尋ちゃん」


「トモ! 雪!」


千尋は名前を呼びあった女の子とハイタッチする。トモと呼ばれた女の子の本名は平沢朋香、千尋と似て快活そうな女の子である。もう1人は姫川雪乃、2人とは違い、おっとりした雰囲気を漂わせている。


「いやー、久しぶり!」


「千尋ちゃん、私たち同じクラスだったよ〜!」


「ホントに!? 良かったぁー誰も知ってる人いなかったら、どうしようかと」


「あと、たい・・・」


「あ、ちょっと待って。言わないで!」


同じクラスになった喜びで騒ぎ合っていた3人だったが、トモが太一と言いかけたところで、千尋が遮る。トモと雪は一瞬ビックリしたような顔をするが、すぐニヤニヤと笑いだした。


「あー、ごめんごめん。そうだよねー自分の目で確認したいよね?」


「千尋ちゃん可愛い・・・」


「クッ・・・あんたら覚えときなさいよ。あ、太一、待ちなさい! 1人で見に行こうとするな!」


3人から離れ、掲示板に近づこうとする太一を千尋が追いかける。


「いやー、スゴイなぁ。千尋も良くやるよ」


「四六時中あんな感じなのにスルーする太一君も大概だけどね」


「まぁ、強力なライバルが2人もいるしな・・・」


「千尋ちゃん、可哀想・・・」


トモと雪は2人を見ながら呟く。



太一と千尋は人混みをかき分け、クラス発表の結果を見にいった。


「えっと・・・あった。私は3組ね。太一は・・・」


各クラスの生徒名は50音順で記載されているため、千尋の名前はすぐに見つかった。千尋は祈るような眼差しで、そのまま同じ組の生徒名を見ていく。どうしても太一と同じクラスになりたいのか、千尋の手は無意識のうちにぐっと握りしめられていた。


「黒岩・・・黒岩・・・」


「やっぱり」


先に自分の名前を見つけた太一が呟く。遅れて、千尋も太一の名前を見つけた。


「3組! 3組だ! 太一、また一緒のクラスだね。これで何年連続だっけ・・・良く分からないけどやったぁ!!」


「11年連続だな。いや、幼稚園とか考え始めるともっと・・・ブハッ」


太一が何か言いかけたが、千尋が喜んだ勢いのまま、太一に抱きついた。抱え込むようにして抱きつかれたので、太一の発言は強制的に遮られる。


「太一〜! 良かった。良かったよ〜!」


「千尋・・・嬉しいのはわかったから離れろ」


「家と部活は抑えられてるし、このままクラスまで別れたら私どうしようかと・・・」


「千尋、聞け。千尋!」


「はっ・・・」


クラスが一緒になった喜びで太一に抱きついていた千尋だったが、クラス替えの発表といえど、流石に男女で抱き合うのは珍しいのか、千尋と太一の回りはポッカリと穴があいている。ザワザワとしていた喧騒もおさまり、クラス分けを発表する紙に向いていた視線はは全て太一達に向けられている。


「すごい。大胆ー」


「初々しいね。いいなぁ」


「女の子のほう、めっちゃ背高いね。珍しくない?」


2人が付き合っていると勘違いした周囲の生徒が感想をつぶやき合う。


「あ、あはは・・・」


「はぁ・・・千尋、行くぞ」


太一が千尋の手を引く。手を繋いだ時にどこかからキャアと歓声があがる。


「あ、うん・・・」


千尋は太一に連れられたまま、生徒の輪を抜ける。先ほど別れたトモと雪が待っていたので合流して、4人でクラスに向かう。


「太一、あの・・・ゴメンね?」


「いや、別に構わない」


「つき合ってないとか言わなくて良かったかな・・・」


「いいだろ。同じ学校の生徒とは言え、他人ばっかりだ。関わりがない人達ならすぐ忘れるだろうし、仲の良い人には、言い訳なんかしなくても伝わるさ」


「そうね。はぁ・・・さっきのは私が悪いんだけど、そこまで淡々と対応されるとイラッと来るわね」


「というか、千尋・・・」


「ん?」


「そろそろ手を離してくれ」


太一が繋いだままの手を見ながら言う。


「こ、これは私じゃなくて、太一が離してくれないんでしょ!? そもそも手を繋いだのだって太一からだし・・・」


「まぁ、それはそうなんだが。もうあの輪は抜けたわけだし、繋いでる必要ないだろ?」


「もー、太一の馬鹿!!」


千尋は太一と繋いでいた手を思いきり上下させて振りほどき、そのまま太一を置いて走り出した。


「・・・なんだあいつ。今朝から機嫌が悪すぎる」


「太一・・・」


「太一くん・・・」


千尋の後ろ姿を見ながら呟く太一に残った2人は呆れた目を向ける。


「なんだ、平沢、姫川。言いたいことがありそうだな」


「なんだろう。いや、かける言葉が見つからないよ」


「太一くんって、頭は悪くないのに、馬鹿だよね。頭の中空っぽなの? それとも、心が空っぽなの? 両方かな?」


「姫川・・・辛辣すぎるんだが」


太一がちょっと引きながら抗議する。


「まぁ、さっきのは千尋ちゃんも無理筋だったけど。それにしてもだよねぇ」


「何が言いたい」


太一の質問を受けて、姫川は太一のほうをジッと見る。5秒ほど見つめた後、姫川は太一のほうへ近づき、太一の肩を持って鼻と鼻がぶつかりそうなくらいに顔を近づける。


「おい、ユキ・・・」


「ねぇ・・・太一くん?」


「姫川・・・近すぎる。離れてくれ」


「馬鹿のフリしてない?」


「・・・何を言ってるかわからん。わかるように話してくれ」


姫川が太一から顔を話して、ため息をつく。


「まぁ、今日はいいけど。ちゃんと千尋ちゃんのこと見てあげてね? とりあえず、千尋ちゃんが行っちゃったから早く教室に行こう? たぶん千尋ちゃん、今ごろ『太一が追いかけてこない・・・』とか言って、テンション下がってるから」


「ユキ、流石にそれは・・・いや、でも、あいつ案外乙女だしあり得るか」


「千尋ちゃん、超乙女・・・」


「はぁ・・・とりあえず、教室に向かうのは賛成だ」


太一への追及が終わり、3人が教室に行くと、不貞腐れて机に突っ伏している千尋が待っていた。



その後、千尋をフォローしようとした太一が失敗し、千尋がさらにヘソを曲げてしまったが、HRや始業式が終わり、クラスで簡単な事務説明がされて、昼前に解散になった頃には千尋の機嫌も直っていた。


午前解散、しかも、新しいクラスということで、クラスはザワザワとしている。新しい知り合いを作ろうとする者もいれば、去年までの友人と談笑してる者もいて様々だったが、千尋は当然のように太一へ声をかける。


「太一ー、今日、お昼食べて帰らない?」


「いいぞ。どうしようか?」


「やった! んー、どうしようかな。とりあえず、商店街行く?」


ニコニコと行き先を考え始める千尋だったが、その時、教室の入り口に来客者が現れる。


「太一せんぱーい!」


明るく良く通る声に、クラスの全員の視線が入り口に集中する。視線の先には小さい女の子が一人。太一のことを先輩と呼んだことから一年生だと思われるが、とても幼く見える。


一瞬でクラスの注意を釘づけにした女の子は、ぐるっと教室を見渡して太一を見つけると、満面の笑顔になる。そして、自分を見つめる数十の視線に臆することなく、太一のほうへ足早で向かう。


「な・・・な・・・」


想定外の展開に、千尋は大きく口を開けて呆然とする。女の子の歩くスピードは徐々に早くなり、太一まで一直線となったタイミングで、ついに走り出す。そして、その勢いのまま、太一に抱きついた。


「太一先輩! 楽器が吹きたいです!」


「緑園・・・」


ほとんど突進に近い衝撃を受けた太一は、しかし、予想していたのか倒れずに受け止める。緑園と呼ばれた女の子は太一の背中に手を回し、ぎゅっとしがみつくが、太一は両手を上に挙げながら、ジロッと自分に抱きついている女の子を見つめる。


女の子の突然の行動にクラスが凍りつくが、それは一瞬だけで、その後は一気に騒がしくなる。


「なんだあの男・・・」


「胸が・・・」


「つきあってるのかな?」


「太一って名前、なんか聞いたことある。なんか女の子が取り合いしてるとかなんとか」


「一時期噂になってたよね。確か社会人の女の人と同棲してるとか」


「また、この光景を一年・・・」


ザワザワとうるさいクラスメイト達を一瞥する太一であったが、無視して、目の前で自分に抱きついている女の子に声をかける。


「緑園・・・お前な・・・」


「先輩、紗奈って呼んでくださいって言ったじゃないですかー」


緑園紗奈と呼ばれた女の子は、太一に抱きついたまま不満そうな顔をする。


「緑園、とりあえず、離れろ」


「・・・」


太一が名前を呼ばないことが不満なのか、紗奈は太一の声を無視する。


「緑園、おい、緑園」


「・・・」


無視。


「はぁ・・・紗奈、離れろ」


「はーい!」


太一が名前を呼んだことに満足したのか、紗奈は体を離す。


「ほんとお前は仕方ないやつだな。あぁ・・・とりあえず、入学おめでとう」


「ありがとうございます! どうですか? 私の制服姿」


紗奈は制服のスカートの裾を持ち、くるっと回ってみせる。


「似合ってるよ」


「ありがとうございます! というか、太一先輩って、ほんと動揺しないですよね。私、さっき抱きついたのになぁ・・・」


「お前こそほんと疲れるやつだな・・・」


「おかしいなぁ。お母さんは私がこうすれば男はイチコロだって言ってたんですけど。ちょっと失礼しますね」


紗奈はそう言って、自分の右手を太一の首筋に添える。その動作があまりにも自然だったので、太一は動けない。


「んー」


胸に手を当てる。


「んー??」


手の脈をとる。


「んー・・・」


自分の思うような反応がないため、紗奈は難しい顔をしながら、太一の様子を探っていく。視線はどんどん下にいき、ついには太一の下半身を見て、よしと呟いて太一に近づこうとしたところで


スパァーンッ!!


紗奈の後頭部を千尋がどこからか取り出したハリセンで思いきり叩きつけた。


「いったぁーい! ちょっと赤坂先輩、何するんですか!?」


「な、何するんですか!?じゃないわよ。紗奈、あんた今何しようとしたのよ?」


「何しようとって、えっと、先輩のせんぱいを・・・」


「言うな! 紗奈、あんたいい加減にしなさいよ」


「先輩、先輩」


「なによ!?」


「私のこと、紗奈って呼んでましたっけ? あ、いや、私は別にいいんですけど」


紗奈がキョトンとした顔で尋ねる。それを聞いた千尋は一瞬『ゲッ』と言う表情を見せるが、すぐに何事も無いような顔をして、コホンと咳払いをしてから会話を再開する。


「失礼・・・取り乱したわ。緑園さん、悪いんだけど、太一は私とお昼に行くの」


「えぇー太一先輩、私、楽器吹きたいんですよー部室も見てみたいし、楽器も持ってきたのに・・・」


「そういうことなら先に言っておいてくれ・・・んー、どうするかな」


太一の困った様子を見て、長年の経験則から不利を悟った千尋は紗奈を手招きで呼ぶ。


「緑園さん。ちょっとこっち来て?」


「なんですか。千尋先輩」


「もっとこっち来る」


千尋は紗奈を呼び、周りには聞こえないくらいの小声で会話を始める。


「ちょっと、紗奈。ルール違反よ。今は私の時間でしょ?」


「千尋先輩、違います。今日の授業はもう終わってるから、今はフリータイムのはずです」


「そうなるんだっけ。でも、私もう約束・・・」


「うっ・・・それはぁ・・・私、やっと太一先輩と同じ学校になったから嬉しくて。千尋せんぱぁい・・・」


千尋と紗奈の間には何かのルールがあるようで、ルール確認を小声でし合う。紗奈自身は不利であることを理解しているのか、涙声で千尋にお願いをする。


「はぁ・・・あーもう! わかった。わかりました!」


紗奈の泣き落としに千尋はため息をつき、諦めたかのように叫ぶ。


「太一。さっきの約束やっぱなし。緑園さんに譲るわ」


「いいのか?」


「まぁ、今日は入学日だしね。入学祝いよ」


「そうか。助かる」


「千尋先輩、ありがとうございます!」


太一と紗奈は、千尋からの提案に感謝する。千尋も笑顔で応じるが、残念そうな雰囲気を少し漂わせていた。


「千尋、ちょっとこっち」


「なに?」


「いいから」


太一が千尋を手招きする。千尋が太一に近づくと、太一が千尋の頭をポンポンと叩く。


「ありがとう。千尋のそういうところ偉いと思う」


「な・・・な・・・な、何してんのよー!」


想定外の太一の行動に千尋が飛んで後ずさる。


「何だよ。嫌だったか? 褒めただけなのに、そんなに顔真っ赤にして怒らなくてもいいだろ?」


「嫌じゃない、じゃなくて・・・怒ってもないし、じゃなくて! そ、そう。急に変な事するなって言ってるのよ!! べ、別に自分より身長低い男にそんなことされたって嬉しくもなんともないんだからね!?」


「グハッ・・・」


気にしている身長のことを引き合いに出され、太一は胸を押さえながらよろめく。


「太一先輩、大丈夫ですか?」


「もちろん・・・だ。全く気にしていない・・・」


太一の様子を見て、紗奈が声をかける。問題ないと返事を返す太一だったが、気にしているのは明らかだった。


「まぁまぁ、太一先輩、大丈夫ですよ。太一先輩には私がいますから。身長差もちょうどいい感じです。千尋先輩はもっとお似合いの巨人を探されるみたいですし」


「あ、違う。そんなつもりじゃ・・・」


「さぁ、太一先輩。早く部室行きましょう! 楽器吹く時間なくなっちゃいます。あと、実は、今日二人分のお弁当作ってきたんですよ! 是非食べてください。いえいえ。いいんです。いいんです! 気にしないでください。弟と妹にも作ってますから。1人分増えたところで手間は変わりませんので・・・」


「あ、ちょっと待って! 太一! 太一ー・・・」


千尋の呼びかけむなしく、紗奈は太一を引っ張って教室を出ていってしまう。


「太一・・・」


そして、最後には、教室の真ん中で座り込む千尋と、この空気どうすんだよという顔をしているクラスメイト達が残された。


「初日は緑の勝ち・・・と。」


「千尋ちゃん、超不憫・・・」

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