水溶性水族館
君は水族館が閉館した後に魚たちがどうなるか知っているかい?
水族館が終わりを迎えるとき魚たちがその後どうなるか。
魚たちの移動とかいろいろ大変だと思うだろう?
実はとても簡単なんだ。
まずは、水槽の中身を移す。
すると、水槽が1つ空く。
そこで、水槽を壊す。
これを繰り返すんだ。
生態系もお構いなしに。
大きいのも、小さいのも。
暑いところのも、寒いところのも。
淡水のも、海水のも。
なんどもなんども繰り返すと、最後に1つだけ水槽が残る。
みんなみんな1番大きな水槽でごちゃまぜになっている。
じゃあ1番大きな水槽を壊すときはどうするのかって?
大丈夫。
真逆の魚たちは混ざり合って溶けてしまうんだ。
大きいのが、小さいのと。
暑いところのが、寒いところのと。
淡水のが、海水のと。
そして1番大きい水槽が水と僕だけになる。
ひとりだけでこの広い水槽を漂っている。
僕は水みたいなものだから、ひとりぼっちだと自分がいるのかどうかもわからなくなってくる。
でも、もうすぐ僕も溶けて消える。
誰とも混ざらずにひとりで。
そして、最後の水槽が空く。
そしたら閉館。たぶんね。